認知症、預金や株式凍結防ぐ事前手続きとは?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。


2022年2月27日付け日本経済新聞「人生100年の羅針盤 認知症と生きる」に家族が認知症に備える事前手続きについて記事掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

「認知症」金融機関の課題は?

金融機関の間で最近、課題となっているのが、顧客が認知症になったときの対応です。判断能力がなくなってしまうと、本人の資産を守るために金融取引に制限がかかります。

ただ、生きている限りお金は必要で、資産が「凍結」されれば生活を支える家族が困ることになります。こうした事態に備えようと、あらかじめ準備しておくことで、万一の際に家族が資産を管理しやすくなるサービスが最近、相次いで登場しています。

銀行預金は親族による使い込みなどの不正を防ぐため、預金者本人の意思が確認できなければ引き出せないのが原則となっています。これは資産を守るための対応ですが、もし認知症になり意思を確認できない状態になると、引き出しや振り込み手続きが難しくなり、家族が生活費や介護費用を立て替えなくてはならなくなります。そうなれば家族の家計にも影響が大きくなります。

緊急時に家族が引き出し

支払いに充てる優先順位が高い銀行預金について、全国銀行協会は2021年、高齢者の判断能力が低下した際に家族の引き出し依頼にどう対応するか、銀行の指針となる「考え方」をまとめました。

その中では、成年後見制度の利用が基本としたうえですが、医療費や介護費で緊急に支出が必要なときに限って家族が代わりに引き出すことを認める考えを示しています。

具体的な対応は加盟の各銀行で異なる場合がありますが、全国銀行協会では預金者本人の通帳やキャッシュカードと家族関係がわかる書類、入院費の請求書など資金使途がわかる書類などを用意して銀行に相談することを勧めています。

ここ2~3年で銀行に広がっているのが「後見制度支援預金」です。本人の判断力が全くなくなった場合、成年後見制度に基づく法定後見人が預金を管理することになります。預金を使う際は家庭裁判所の指示書が必要で、後見人が使い込むなどの不正を防ぐ効果があります。ただ、財産保護に重点を置く仕組みで手続きに時間がかかるのがデメリットです。

しかし、意思能力があり、元気なうちに事前に準備をしておけば、家族が生活費などを柔軟に管理することができます。

まず預金は「代理人」を銀行に届け出るのが選択肢となります。この代理人には専用のキャッシュカードが発行され、本人が健康なときも認知症になった後も入出金などが家族ができることが可能となります。

関係者がお金の使い道を確認

信託銀行では、認知症になった際に家族を代理人として資産を任せる信託サービスがあります。三菱UFJ信託銀行の「つかえて安心」は、代理人が買い物代金や医療費などを立て替えたらレシートをスマートフォンのアプリで撮影して請求すると、5日後に代理人の口座に振り込まれます。請求があると閲覧者として登録した人に通知され、関係者全員でお金の使い道を確認することができます。

三井住友信託銀行の「人生100年応援信託100年パスポート」は、元気なうちは本人に、判断力が低下したら親族などの代理人に月々定額を払い出すサービスです。

また、みずほ信託銀行の「認知症サポート信託」は認知症になる前は資産を預かり、診断後に定期的な払い出しを始めるサービスです。

有価証券はどうなるのでしょうか。認知症と診断されると証券口座は凍結されてしまいます。こうした事態にも対応するサービスが出てきています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の「予約型代理人」サービスでは、本人があらかじめ配偶者か2親等以内の親族を代理人として届け出れば、認知症時に限って代理人が株式や投資信託などの売却・解約・出金などが可能になるサービスを提供しています。

家族信託の仕組みも活用

マネックス証券の「たくす株」では、本人が申し込み、判断能力が低下したときに家族に任せる株を専用口座に移しておきます。口座の株は、本人が元気なときは自分で売買し、認知症を発症したら家族が代理人として売却・現金化することができます。

野村証券や楽天証券では家族信託の仕組みを使い、一部の資産の売買を家族(家族信託の受託者)ができるようにしています。家族信託を組成する場合には、公証役場において公正証書で契約書をつくる必要があります。

生命保険では代理人を届け出る「指定代理請求特約」を利用することで、本人が認知症で意思表示できなくなった際に代理人が保険金を請求できます。

このように救済措置の幅は拡がりをみせていますが、いずれにしても備えは早めに考えることが重要となります。

本人が判断能力を失った場合、どの金融機関に資産があるのかを家族が調べなくてはいけない可能性が出てきます。

生命保険では生命保険協会がワンストップで加盟会社の保険契約の有無を調べる有料サービスが存在します。認知症の際は、法定代理人や任意代理人がいないときは3親等以内の親族が照会することができます。

証券口座の有無確認できるサービス

証券口座は証券保管振替機構に口座の有無を照会する有料サービスがありますが、認知症で本人が確認できない場合の照会は原則、成年後見人か代理人が対象となっています。

そして銀行にはそもそもワンストップの窓口が存在しません。家族に口座の情報をあらかじめ知らせておくことが重要になります。

まとめ

認知症に対応できそうなサービスは拡がりをみせていますが、それを準備できるのは意思能力を有した認知症発症までの段階までです。認知症になってしまった後の対応策は「法定後見」に限られてしまいます。

いざという時のための準備を元気なうちに行っておくことが大変大事ですし、準備することがご家族の安心安全な生活にもつながります。

ディアパートナー行政書士事務所では相続対策に特化した行政書士として、家族信託をはじめ、遺言や任意後見など生前の相続対策のご相談に随時応じておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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