成年後見 自宅売却などで思わぬ盲点も

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

2022年2月26日付け日本経済新聞「人生100年の羅針盤 認知症と生きる」に「成年後見制度」について記事掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

高齢化の進展に伴い、認知症の人が増える中、耳にする機会が増えた「成年後見制度」というワード。判断能力が大幅に低下した人などに代わって資産を管理したり、医療や介護サービスなどの契約を結んだりすることができる国(法務省)が用意したサービスです。

ただ実際に何ができて、何ができないのか、理解が不十分なことも多いという声も多く、本人や家族が「こんなはずではなかった」とならないために知っておきたい要点を探ります。

自宅を売却できないことも

「家族全員が同意しているのに家が売れないなんて、納得がいかなかった」。4年前、認知症の母が介護施設に移り、母名義の空き家を成年後見制度を利用して売却しようとした男性は振り返りました。母は認知症になる前、「施設に移るなら自宅は売る」と話し、家族全員が同意していました。しかし、法定後見人に選ばれた司法書士は一向に手続きを進めてくれず、結局母が亡くなるまで実家は塩漬けとなったままでした。

成年後見制度には判断能力が不十分となった後に家庭裁判所が選ぶ法定後見と、事前に自ら契約しておく任意後見があります。法定後見は代理権の及ぶ範囲などに応じて後見、保佐、補助に分かれていますが、もっとも範囲が広い後見でも自宅売却には、家庭裁判所の許可が必要になります。

自宅売却が本人の利益になり、本人も反対ではないと明確なら普通は許可が下りるはずですが、司法書士のひとりは「認知症が進んでいても自宅のことなどはしっかり認識していることがあり、極力その意思を確認する」といいます。

既に意思表示が難しい場合は、事前に残した記録や会話の内容などを通じて丁寧に意思の確認を図ります。ただ、司法書士などは専門職とはいえ、そのノウハウや行動力には個人差があるのが実情であり、家族が不満を抱くケースも起こり得ます。

一方、十分な判断能力があるうちに公正証書で契約しておく任意後見人は、契約の内容に自宅売却を含むのならば家庭裁判所の許可は不要で手続きを進めることができます。ただ家庭裁判所が選任し、任意後見人をチェックする任意後見監督人が「不適切だ」と指摘する可能性はあり「万が一、売却で本人に損害を与えたとなれば任意後見人が賠償を請求されることもある」と司法書士は話します。

自宅売却を考えているであれば、認知症になる前に「家族信託」を契約しておく方法もあります。契約次第では子の判断で親の家を売り、介護施設費に充てることができます。家族信託に詳しい宮田浩志司法書士は「後見制度にはない柔軟さが家族信託の特徴。ただ、後見制度ではできて信託ではできない事項もあるため、何が本当に必要なのかよく考えておきたい」と話しています。

宮田司法書士は、私が家族信託契約書のリーガルチェック提携としている「一般社団法人家族信託普及協会」の代表理事でもあります。

医療行為への同意は含まず

後見制度には、医療面でも盲点があります。成年後見の経験が豊富な社会保険労務士によると「成年後見人は通常、医療費支払いなどを行うので誤解されがちだが、手術など医療行為への同意は業務に含まない」と話します。医師だけに判断を委ねるのも適切ではなく、京都府立医科大学の成本迅教授は「医療従事者だけで決められないことが実は多い」と指摘しています。

現在、厚生労働省のガイドラインは認知症で判断能力がなく、家族がいない場合などは医師や成年後見人、ケアマネジャーらが議論して最善策を探る方向が示されています。成年後見人らだけを頼らず「受けたい治療方針などは、判断能力がある間に記録して残すことも大切だ」と成本教授は話しています。葬儀や墓の希望などの事務的な情報も事前に書き残しておく方が無難なようです。

認知症となった人の資産や意思を守るため後見人ができること、できないことは厳しく定められているうえに家庭裁判所の関与も存在します。自分の判断能力が十分あるうちに制度の仕組みを理解しておくことが重要かもしれません。

後見人、専門家が7割強

成年後見制度の利用者は2020年末で23万2287人で、推定600万人超の認知症患者数と比べて非常に少ないことがわかります。2020年は成年後見人に親族が選ばれた割合は約2割で、司法書士や弁護士、社会福祉士、行政書士ら専門家が7割強を占めている状況です。

また、本人の財産から成年後見人(任意後見監督人)に報酬を払うのが一般的であり、月2~6万円(1~3万円)程度が目安になりますが、自宅売却などがあると付加報酬がかかり、高額になる事例もあります。

現在は通常、後見制度の利用を始めたら本人が亡くなるまでやめられず、報酬が大きな負担になる可能性もあります。(認知症を発症した時点から死亡までの期間は平均約7年といわれています!)

2021年に国が開いた専門家会議では「一時的な利用も可能とすべきだ」といった指摘も出たということですが、制度の現状に加えて、今後の制度改革にも注意を払いたいものです。

まとめ

認知症対策として国が準備している成年後見制度ですが、使いにくい側面もあり、あまり利用されていないのが現状です。

それでも認知症に対応できそうなサービスは徐々に拡がりをみせていますが、それを準備できるのは意思能力を有した認知症発症までの段階までです。認知症になってしまった後の対応策は、成年後見制度(法定後見)に限られてしまいます。

いざという時のための準備を元気なうちに行っておくことが大変大事ですし、準備することがご家族の安心安全な生活にもつながります。いままで見ていただいたように、成年後見制度にはない柔軟さが「家族信託」の特徴となっています。

ディアパートナー行政書士事務所では相続対策に特化した行政書士として、家族信託をはじめ、遺言や任意後見など生前の相続対策のご相談に随時応じておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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