急増する水害リスクと水災補償の必要性

みなさん、こんにちは!「家族信託」に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
今回は、日本FP協会「FPいまどきウォッチング」に災害に対応する火災保険関連の記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

アメリカでも最近、甚大な竜巻被害が発生しました。日本は地形やその他の状況から、大きな水災を受けやすい傾向にあります。年平均気温は上昇しており、1時間に50mmを超える短時間強雨が発生する回数も増えています。台風や豪雨による水災のリスクが年々高まる中、保険や共済など自助努力による備えも重要になっていますが、内閣府の試算によると、火災補償に比べて水災補償の加入割合はまだまだ低い状況にあります。

そこで、今回は水災のリスクを確認しながら、水災補償の必要性について考えていきましょう。

火災保険のしくみと基礎知識

火災保険は、建物や家財などを対象として、火災、落雷、破裂・爆発、風水害などの災害による損害を補償する保険です。前述のように火災補償に比べて、水災補償の加入割合は、まだまだ低い状況にあります。

持家世帯における火災補償のある保険や共済に加入している割合は82%(内閣府試算)ですが、水災補償を含めて加入している人の割合はさらに低くなり、持家世帯の66%(同前)ほどにしかなりません。

火災保険の種類は、「住宅火災保険」と「住宅総合保険」の2つがあり、それぞれ補償される範囲が異なっています。「住宅火災保険」では、火災、落雷、破裂・爆発、風災・ひょう災・雪災などの保険事故が補償対象となっており、水災は補償されません。

一方、「住宅総合保険」は、「住宅火災保険」の内容に加えて、水災のほか、自動車の飛込みなど飛来・落下・衝突、給排水設備の事故によって生じた水濡れ、盗難なども補償します。

なお、7~8年ほど前より、「住宅火災保険」と「住宅総合保険」の2つの商品の販売を終了する損害保険会社が増えてきました。近年の個人向けの火災保険は、従来型の保険と異なり、補償内容を必要に応じてカスタマイズする形へと変化している傾向がみられます。

水災被害の特徴

こんどは水災被害の特徴について確認していきましょう。

・床上浸水:家の中に浸水し、床材や畳、壁紙の被害、家財などが壊れる。水や汚泥の掻き出しだけでなく、カビや細菌が繁殖しやすくなるため消毒が必要になる

・床下浸水:床上浸水には至らないが、床上浸水と同様、排水、乾燥、消毒が必要となる

・下水の逆流:急激な水位の上昇により、トイレやふろ場、洗濯機の排水溝などから水が噴き出る

・土砂崩れ:家のなかに土砂が流れ込む。あるいは、建物に土砂が崩れかかり外壁と柱が傾いた状態

・雨漏り:風災・ひょう災・雪災などの自然災害が原因であること。経年劣化による雨漏りは自然災害には含まれない

このように水災は建物や家財に大きな影響を与え、修理や建て替えを行うためにはそれなりの費用がかかることが想定されます。

床下浸水では保険金は支払われない?

保険会社によって異なる場合もありますが、一般的には次の要件を満たした場合に水災被害による保険金が支払われます。

・建物または家財の保険価額に対して30%以上の損害とみなされたとき

・床上浸水または地盤面から45㎝を超える浸水による損害があったとき

 ※水災の原因によっては水災補償の対象外となる場合もあります。

水災補償を付けている場合、床上浸水であれば保険金が支払われますが、床下浸水の場合には、支払い要件を満たさないことがほとんどです。なぜなら、乾燥や消毒などにかかる費用が建物の保険価額の30%以上となることは、考えにくいからです。

しかしながら、国土交通省が発表した2019年の水災被害の内訳を見ると、建物への被害は床上浸水よりも床下浸水の方が多く発生しています。

なお、保険金が支払われない場合でも、内閣府が定めた「災害に係る住家の被害認定基準運用指針(以下、指針)」に該当する場合、一部補助を受けられる可能性があります。

住家の被害認定は、指針に基づいて、「全壊」、「大規模半壊」、「中規模半壊」、「半壊」、半壊に至らない「準半壊」や準半壊に至らない「一部損壊」の6区分で被害の程度を判定し、認定するものです。

床下浸水の場合は、「一部損壊(住家の10%未満)」に該当する可能性があります。被害認定を受ける場合には、居住地の自治体に「罹災証明書」の申請が必要です。

水災補償の有無による保険料の違い

水災補償がある火災保険の保険料と、水災補償を外した火災保険の保険料ではどの程度の違いがあるのでしょうか。

東京都にある木造住宅(H構造)、保険金額1,600万円で加入したケース(保険期間1年、年払い)を比べてみましょう。

ある保険会社の場合、火災、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災、盗難、建物外部からの物体の落下、飛来、衝突等、給排水設備の事故等による水濡れ、騒擾(そうじょう)、労働争議に伴う暴力・破壊行為と、水災を含む保険料は約27,000円、水災のみを除外すると約18,000円であり、差額は約9,000円になります。また、補償内容を火災、落雷、破裂・爆発、風災・ひょう災・雪災、盗難のみに絞った保険料は、約15,000円です。

このように、保険料は補償内容の違いによって異なり、補償を減らすと保険料は安くなります。

しかし、水災被害のリスクが高い地域に住んでいる場合には、水災被害に遭う可能性も高くなるため、水災補償が付いた保険を検討することも大切です。

不動産取引時には水害リスクの説明が義務化

近年、大規模な水災害による被害が生じていることから、不動産の取引時において、水災リスクの存在が契約を締結するかどうかを決めるうえで重要な要素となっています。

そこで、2020年8月28日から、住宅の購入や賃貸する人に不測の損害が生じることを防止するために、宅地建物取引業法施行規則の一部が改正されています。

具体的には、不動産業者が行う契約前の「重要事項説明」の中で、「水害リスク」について説明することが義務付けられました。具体的な説明方法については、次のとおりです。

・水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップを提示し、対象物件の概ねの位置を示す

・水害ハザードマップは、市町村が配布する印刷物または市町村のホームページに掲載されているものを印刷したものであって、入手可能な最新のものを使う

また、次の事項については説明があると望ましいとされています。

・ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示す

・対象物件が浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮する

火災保険へ加入する際には、河川の有無やハザードマップで近隣の地勢も踏まえて水災の補償を付けるかどうかを検討することが基本となりますが、水災は特定の地域における特別な事象ではありません。

ゲリラ豪雨で排水が追い付かず、マンホールからあふれ出した雨水の浸水被害にあった例もあります。あるいは、マンションの2階であっても、ベランダの排水溝から水が逆流して室内に浸水したこともあります。

地球温暖化のせいばかりにしてはいけないとは思いますが、近年自然災害、特に風水害が頻繁に発生している感があります。このような状況を踏まえ、火災保険の見直しの際には、水災補償の必要性についても考えていきたいものです。

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