年金制度改正法が2020年6月公布、2022年施行!改正の柱は?

 2020年6月に年金制度改正法が公布され、少子高齢化や長寿化に対応した改正が、一部を除き、2022年から施行されることになりました。

 改正の柱である「年金の受給開始時期の拡大」、「厚生年金の短期労働者への適用拡大」、「在職老齢年金の基準額の引き上げ」について、解説します。(私的年金のiDeCoの改正については、「【実践記】iDeCo 60歳を迎えて届いた通知」のブログ投稿で触れていますので、ご参照ください)

1 年金の受給開始時期の拡大 

 公的年金は65歳から受け取ることを原則としていますが、希望すれば60歳から70歳の間に受け取りを開始することができます。

・「繰上げ」は65歳より前に受給すること 

・「繰下げ」は66歳以降に受給すること を言いますが、この「繰下げ」の期間が改正により延長されて、75歳まで拡大します。

 また、「繰上げ」に伴う減額率も今回改正されます。現在、「繰上げ」を選択すると、1か月当たり0.5%減額されていましたが、改正により1か月当たり0.4%減額となります。(60歳から繰上げ支給は、5年間(60月)で24%の減額)

 「繰下げ」を選択すると、年金は1か月当たり0.7%増額(今回改正なし)されますので、75歳まで繰下げが可能となる改正後は、最大で84%増額されます。(75歳から繰下げ支給は、10年間(120月)で84%の増額)

 「繰上げ」は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に行わなければなりませんが、「繰下げ」は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り下げることもできますし、一方だけ繰り下げたり、双方を別々の年齢まで繰り下げたりすることもできます。

厚生労働省の資料をもとに作成(地域社会ライフプラン協会 ALPS Vol.143)

 注意点としては、「繰上げ」や「繰下げ」は、一度選択してしまうと変更ができないことです。

 特に「繰上げ」を選択した場合には、減額された額の年金を一生涯受取ることになりますので、自分の健康状態や、収入・資産など、様々な点を考慮して慎重に選択しましょう。

 また、ご夫婦で年金受給を検討する場合も、ご夫婦とも同じ受け取り方にするのではなく、平均余命や健康状態を考えて、選択するようにしてください。一般的には、妻の年金受給を「繰下げ」することが有利な場合が多いようですが、個々のケース、置かれた環境によって変わりますので、十分な検討が必要です。(特に繰上げ受給)

2 厚生年金の短時間労働者への適用拡大

 パートで働く人の多くは、現在、厚生年金に加入していません。加入する要件に合致しないためですが、今回の改正により、厚生年金の加入要件が緩和されます。

 現在「労働時間が週20時間以上」、「賃金が月88,000円以上」の要件に該当し、「従業員501人以上の企業」に勤める短時間労働者が原則適用となっていますが、今回の改正で、この従業員の基準が引き下げられ、2020年10月からは「101人以上」、2024年からは「51人以上」の企業が適用となります。

 要件に該当して、厚生年金加入となりますと、厚生年金保険料と健康保険料の自己負担分が源泉徴収されることになりますので、目先の負担は増えますが、将来年金を受取るときには、国民年金と厚生年金のいわゆる2階建てとなり、年金受給額は確実に増額となります。

 さらに、健康保険に加入することで、病気やけがで就業できなくなった場合に、所得補償である「傷病手当金」を健康保険から受け取ることができます。

3 在職老齢年金の基準額の引き上げ

 「在職高齢年金」は、就労している60歳以上の老齢厚生年金の受給者の年金月額と賃金の合計額が、一定額を超えた場合に年金を支給停止する仕組みのことです。

 現行では、65歳未満は28万円、65歳以上は47万円を超えた場合に支給が停止されます。改正後は、65歳未満の基準額も、47万円に引き上げられます。

 ただ、「特別支給の厚生年金支給」は、男性の場合、1961年4月2日生まれ以降の人には支給されない(私は1960年度生まれで、かろうじて64歳のみ受給)ので、そもそも64歳までに年金受給する対象者は非常に少数なのではないかと思います。⇒ 女性は5年遅れですので、女性は男性に比べて恩恵を得る方が多いかもしれませんね~。

 「在職老齢年金の基準額の引き上げ」改正により恩恵を得るのは、上でも述べたように、「特別支給の老齢厚生年金」を受取ることのできる人ですので、男性は1961年4月1日、女性は1966年4月1日より前に生まれた人です。それ以降に生まれた人は、そもそも「特別支給の老齢厚生年金」が支給されません、残念!

 年金について「諸先輩方から聞いた話と違う」と思われても、年金制度そのものが変化していますので、その都度、年金についての確認作業やライフプランの見直しが必要になってきます。

 特に年金は、シルバー期の長い期間を支えるメインの収入源になりますので、若いうちからしっかりとしたチェックが必要です!

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