定年後再雇用は手取り急減、運用や貯蓄で資金確保

みなさん、こんにちは!「家族信託」に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
今回は、日本経済新聞に定年後再雇用の壁について記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

「定年後の再雇用の手取りの減り方が予想外に激しいことに驚き、相談に来る人が多い」と話すのはファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんです。定年前に年収800万~1000万円前後だった人が、再雇用後に毎月の手取りベースでみて10万円台に激減する相談例も多いといいます。手取り急減の仕組みを知るとともに、資金計画を早めに考えることが大事になってきます。

税・社会保険料の影響大きく

再雇用ではまず収入が大きく減ることが多く、パーソル総合研究所が今年1月実施した調査では、「50%より下がった」が最多で27.6%、「50%程度下がった」も22.5%を占めています。日本労働組合総連合会の「連合・賃金レポート2021」によれば、60代前半の所定内賃金は53業種中41業種で中央値は月に20万~29万円でした。

重要なのは額面から税・社会保険料を差し引いた手取りです。定年前に年収800万円(うち賞与200万円で額面月収は50万円)の人が、再雇用後に年収300万円(額面月収25万円)になる例をみてみましょう。手取り月収は定年前の約37万円から定年直後は約14万円へ急減します。ただこの金額がずっと続くわけではなく、12月退職なら翌々年の6月から20万円に戻ることになります。

手取りの急減と若干の回復の大きな要因は住民税のしわざです。税額は所得の10%が課税される「所得割」と、通常は年5000円の均等割の合計です。所得税は収入減に連動して減りますが、住民税は年末調整や確定申告で決定した1~12月の所得に翌年の6月以降課税される仕組みです。

例えば今年12月に定年になった人は、来年の6月から23年の5月までは高収入だった今年の所得に基づく住民税がかかります。低くなった収入が住民税に反映されるのは23年の6月以降となります。

負担見直す制度も

年金・健康・介護の各社会保険料は、月の収入を数万円ごとに区分した標準報酬月額を基準に計算するルールです。社会保険料の本人負担は報酬月額に対し合計約15%となります。報酬月額の区分は「等級」と呼ばれ、基本給など固定的な賃金の変動から3カ月の平均で報酬月額が2等級以上下がると「随時改定」という仕組みで4カ月目に社会保険料も下がります。ただし、その前は定年前の高収入に基づく社会保険料が手取りを圧迫することになります。

60歳以降に退職し継続して再雇用になる場合は、随時改定を待たずに、収入の減少と同時に社会保険料を見直す「同日得喪」という仕組みもあります。ただ中小企業などを中心に制度を知らず、手続きをしない会社も多いようです。

社会保険労務士の漆原香奈恵さんは「社会保険料が下がると病気の際に受給できる傷病手当金や将来の年金が若干減るなどデメリットも知ったうえで、早く保険料を下げたい場合、会社に相談するのも一案」と話しています。

再雇用後の収入が60歳時点に比べ大きく下落すると一定の条件を満たせば高年齢雇用継続給付を受けられます。給付の上限は再雇用後の収入が61%以下になった場合で再雇用後の賃金の15%です。年収800万円から300万円への下落なら、再雇用後の月収25万円の15%で月に3万7500円となる計算です。

税金や社会保険料はかからないので、定年後の実際に使えるお金は、この金額を手取り月収に加えたものになりますが、ただ高年齢雇用継続給付は25年4月から上限が10%に縮小、その後も段階的な縮小や廃止が見込まれています。

家計の改善も大切

手取りの急減で、住宅ローンなどを抱える家庭なら赤字状態になることも多いかもしれません。再雇用後の手取り水準を早めに把握し、預貯金や個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)、少額投資非課税制度(NISA)などで自己資金をなるべく多く準備しておきたいものです。

支出削減や配偶者のパート収入による家計改善も重要となります。「夫が大きな収入減を妻にきちんと告げて協力を求めるべきだ」と深田さんは話しています。メンツもあって妻に収入減を言えないまま多額の取り崩しを続け、5年間で貯蓄を1000万円超減らした相談者もいたといいます。

手取り減を補うため企業型確定拠出年金(DC)やイデコを受給するなら税負担を小さくするよう心掛けたいものです。一時金で受け取る場合は勤続・加入年数に応じて増える非課税枠である退職所得控除の対象となります。ただ原則、退職所得控除は退職金との共通の枠になりますので、「退職金との合計額が退職所得控除を上回れば超過分の半分が課税所得となる」(税理士の福田浩彦氏)ようです。

60代前半は企業型DCやイデコを年金で受給する際の非課税枠である公的年金等控除が年に最低60万円あります。この枠を活用するのも税負担を抑えながら「手取り急減の崖」を乗り切るために有効となります。

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