公的年金、実質目減り 社会保険料の負担も重く

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

新年度に入り、日本経済新聞に公的年金制度の改正などの記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

新年度(2022年4月)から、公的年金と確定拠出年金(DC)など私的年金の改正法が次々に施行されています。全てが「人生100年時代」ともいわれる長寿時代の老後を強力に支える内容で、制度を理解し賢く使いこなすかどうかで将来不安や、シニア期の経済的な余裕に大きな差が出そうです。今回の年金制度改正のポイントをまとめた(1~9)上で、公的年金の目減りへの備え(A~D)を考えていきます。

(1)年金改正、増額へ広がる選択肢 働き方・もらい方で差

年金上積みのカギの1つは、加入期間の生涯賃金に応じて増える厚生年金です。生涯賃金の増加を後押しする改正の一つが、週20時間以上30時間未満の短時間労働者でも厚生年金に入れる対象企業を拡大する「適用拡大」です。夫婦で厚生年金に加入して働けば年金が「老後を支える力」は強力なものになるかもしれません。

(2)年金開始、75歳にすると…受給額8割増が生涯続く

年金の受給開始は原則65歳ですが、1カ月遅らせるごとに0.7%増えます。今年4月から選択期間がこれまでの70歳0カ月から75歳0カ月まで広がり、75歳なら年金が84%増となります。そして増額された額が終身で続きます。

こうした年金支給の選択を「年金の繰下げ支給」と呼びます。繰り下げすることで年金支給額は増えますが、繰り下げしている間の生活費をどのように捻出していくかは大きな課題となります。

(3)年金増やし長生きに備え 「繰り下げ受給」の心得

とはいえ、年金の受給を遅らせた場合に年金の受取総額が65歳開始をいつ上回るかというのは押さえておきたい点です。

繰り下げで増額になった分、税金や社会保険料の負担も膨らみがちで、額面の増額ほど手取り額は増えない可能性があります。手取りベースで「損益分岐期間」を計算すると、70歳開始なら87歳、75歳なら91歳で65歳からもらい始めた額を上回るという試算があります。

現在の平均年齢からすると(平均年齢まで生きると仮定した場合)、繰り下げを選択すると男性は貰い損になる可能性が高いと言えます。ただ、個々の人の寿命はそれぞれ違いますので何ともいえませんね。

ただ、公的年金は長生きリスクに備える保険のような意味合いを持ちますので、死亡すれば「生きるためのお金」は不要になるわけですので、色々考えてもしょうがないかもしれませんね。

(4)年金開始、65歳より前なら… 受給額減り遺族年金も制限

65歳より前の年金支給の選択する「年金の繰り上げ支給」ですが、厚生労働省によれば、2020年度の基礎年金受給者のうち70歳時点で繰り上げ受給をしている人は8.8%でした。減少傾向にあるものの、年金を早くもらいたいという一定のニーズはあります。しかし繰り上げ受給には、年金受給額が減ったまま生涯支給される、障害年金の受給ができなくなる、遺族年金も制限されるなど注意点がいくつかあります。

(5)パートに年金増額の恩恵 厚生年金に加入しやすく

今回の年金改正の大きな目玉が、パートやアルバイトといった「短時間労働者」への厚生年金の適用拡大です。勤務時間や日数が一般社員の4分の3未満である短時間労働者の場合、現在は勤務先の従業員数が500人超といった条件で厚生年金に加入できますが、こうした条件が主に2つ緩和されます。

(6)年金、65歳から就労で上乗せ 月収20万円で年1.3万円増

今回の改正で、65歳以上を対象に「在職定時改定」が導入されます。65歳以降も厚生年金に入って働き続けた場合、これまでは厚生年金の上限である70歳に達したときか、退職したときにしか、65歳以降に加入した期間に見合う年金の増額はありませんが、今年4月からは在職中も年1回年金額が見直され、毎年それまでに払った分の金額が上乗せされることになります。

(7)年金受給「66歳以降に」が3割強 増額で長い老後に備え

年金の受け取り開始時期を繰り下げたり、厚生年金に加入して働いたりすることで受給額を増やしたい――。日本経済新聞社が4月から施行された公的年金などの制度改正について全国の40歳から65歳の男女にアンケートを実施したところ、こう考える人が多いことが分かりました。長い老後の資金を賄うため、制度改正を生かそうとする姿勢がじわりと強まっています。

(8)年金、企業型確定拠出で増額も 70歳未満まで加入可能

企業型確定拠出年金(企業型DC)は原則として企業が掛け金を出し、自分の運用次第で将来の年金額が変わります。現在、掛け金を拠出できる加入可能期間は原則60歳未満の厚生年金加入者で、会社が規約に定めれば60歳前と同じ会社や事業所で引き続き働く場合に限り、65歳未満まで加入できますが、2022年5月から5年延びて70歳未満に変わります。より多くの掛け金を出せるようになれば、将来の年金は増える可能性があります。

(9)iDeCo加入、65歳未満に拡大 運用資産・節税効果大きく

イデコは個人が原則自分で掛け金を出し、投資信託や預金などを選んで運用する私的年金制度です。強みは税優遇が手厚いこと。加入できる年齢は現在、60歳未満までですが、これが5月以降は65歳未満まで5年延びる。そのぶん掛け金を多く出したり、長く運用したりすることが可能になります。

(A)老後の生活設計は公的年金が増えにくいことを前提に

2022年度の公的年金額は前年度から0.4%の引き下げとなりました。公的年金額の減額は2年連続で、前年度(マイナス0.1%)より下げ幅が大きくなりました。年金額改定のルール変更などが影響し、物価や賃金が今後上がっても増加幅は抑制されることになりそうです。一方で年金から天引きされる社会保険料などの負担が増していて、額面通りに受け取れるわけではないことも知っておく必要があります。

「モノの値段は上がっている気がするのに、年金が減るのはなぜ?」。社会保険労務士の山本礼子氏は役所の年金相談で60代の女性からこんな質問を受けたそうです。年金額は物価や現役世代の給与水準で変動し、新年度は物価と賃金が下がったので減額になると説明しましたが、「数字を示すと驚いていた。物価などが下がったという実感がないのだろう」と山本氏は話しています。

(B)2022年度年金額、0.4%減

2022年度の年金額は、自営業者らが加入する国民年金(満額)の月額は6万4816円と前年度より259円減り、主に会社員の人が受け取る厚生年金(夫婦2人分の標準的な金額)は月額21万9593円と903円減っっています。

毎年度改定する年金額は現在、2つのルールで決まります。1つは賃金や物価の変動に応じて本来の改定率を決める基本的なルール。もうひとつが、本来の改定率から少子高齢化に伴う調整率を差し引く「マクロ経済スライド」です。本来の改定率がマイナスならマクロ経済スライドは実施しません。2022年度はマイナスだったので、本来の改定率がそのまま適用されています。

新規に年金を受け取る人は賃金、既存の受給者は物価に連動するのが本来の改定率の原則です。ただ賃金の変動率が物価を下回る場合、新規・既存とも物価変動率を採用したり、ゼロにしたりするパターンがありました。2021年度にこうした場合の決まりを改め、新規も既存も賃金変動率を採用するようにしました。今回は賃金がマイナス0.4%、物価がマイナス0.2%だったので賃金変動率が採用され、新規も既存も年金額はマイナス0.4%となったのです。ルール変更がなければマイナス0.2%でした。

物価は前年1~12月の消費者物価指数の平均上昇率、賃金は2~4年度前の実質賃金変動率の平均などを使用します。「新型コロナウイルスの感染拡大で物価は昨年前半に下がったが、秋から年末にかけて上昇し、年平均でマイナスになった」とニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫上席研究員は説明していまする。賃金は2018~2020年度の数値などが使われましたが、コロナ禍で2020年度の下落が大きく、平均では物価を上回るマイナスとなっています。

消費者物価の昨年後半からの上昇、賃金水準の回復で「来年度は年金のプラス改定が考えられる」と中嶋研究員は指摘しています。ただし物価ほどは増えない「実質目減り」ということになりそうです。まず年金額は本来の改定ルールで賃金との連動が強まり、物価上昇率より低く抑えられやすくなっているのが原因です。物価と賃金が上がって本来の改定率が物価と連動することになっても、この場合はマクロ経済スライドが発動され、増額幅を抑える仕組みとなっています。

(C)手取りも厳しく

年金を受け取る人がもうひとつ注意したいのは、年金額の多くが額面で表されていることです。2022年度分の年金が実際に支払われるのは6月からとなりますが、あらかじめ税金や社会保険料が差し引かれた金額が振り込まれてきます。特に社会保険料が膨らんでおり、額面より手取り金額の減少幅が大きいという指摘もあります。「最近では額面より手取りの年金額を知りたいという問い合わせが増えている」と社会保険労務士の永山悦子氏は話しています。

年金からは通常、住民税と所得税、社会保険では国民健康保険料や後期高齢者医療保険料といった公的医療と介護の保険料が引かれます。住民税や社会保険料は65歳以上で年金収入が年間18万円以上などの場合、原則として年金から天引き(特別徴収)されます。社会保険料は住んでいる地域で金額が異なるため、「年金から保険料を引いた結果、税金がゼロということもある。確認したければ市区町村に問い合わせをお願いしたい」と永山社会保険労務士は話しています。

厚生年金の平均は男性が額面で年200万円程度(2020年度)になります。仮に65歳以上75歳未満の夫婦で夫が年200万円の年金を受け取り、扶養家族は妻1人(妻の年金は年90万円)の場合、市区町村によるが国保の保険料約10万円(夫婦2人分)、介護保険料約5万円が夫の年金から引かれます(妻は自分の年金から介護保険料約3万円が引かれる)。その結果、住民税・所得税は非課税というケースも出てきます。夫の年金が年220万円(妻は年90万円)なら国保保険料約11万5000円(夫婦2人分)と介護保険料約8万円(妻は約7万円)を引き、所得税・住民税は計約7000円という場合もあります。

目立つのは介護保険料です。介護が必要な人が増えて介護保険料が急ピッチで上がっています。また65歳を境に被保険者の種別が第2号から第1号に切り替わり、それまで給料天引きだった人も年金天引きになります。保険料の計算の仕方も変わり、金額が大きく増えることがあります。「以前は会社が半分負担したことで月数千円で済んだが、65歳になって月1万円近くに急増する人もいる」(山本氏)といいます。

年金は額面で増えにくくなるだけでなく、介護など社会保険料の増加で手取りも一段の抑制が見込まれます。これから年金を受け取る人は長く働くなどして年金本体を上積みしたり、運用で蓄えを増やしたりして老後に備えたいものです。年金を受給しているなら資産を浪費せず、計画的に使うことが大切になります。

(D)スライド調整、期間短縮も

マクロ経済スライドは2004年の年金改正で導入されたものです。ただしこれまでに3回しか発動されていません。前年度の年金額を下回らないようにする「名目下限措置」と呼ぶ決まりがあり、物価・賃金変動率がプラスのときにしか実施できないためですが、年金財政の健全化のため、マイナスの場合などでも発動できるようにする完全適用を求める声は続いています。

マクロ経済スライドの完全適用の代わりに2018年度にキャリーオーバー制度が導入されました。未調整分を翌年以降に繰り越し、景気回復期などにまとめて調整する仕組みです。中嶋研究員によると、2023年度の年金額は本来の改定でプラスを見込み、マクロ経済スライドによる調整とキャリーオーバー分(0.3%)を差し引いた後の増額率は新規の受給者で0.6%、既存の受給者は0.2%程度になりそうだといいます。

このマクロ経済スライドの終了時期も今後は注目されそうです。昨年秋に田村憲久厚生労働相(当時)が基礎年金の給付減を抑えるために同スライドによる調整期間を短縮すると述べました。現在の終了時期は2047年度などの見込みですが、2033年度にするという案です。厚生年金は2025年度などから2033年度にして統一します。厚生労働省は試算もしており、2024年に予定される次回の年金の財政検証とその後の改正に向けて検討していくことになりそうです。

まとめ

結局のところ、厚生年金を掛けている人は、なるべく長く働くなどして年金掛金を上積みする努力をし、一方で、資産運用で蓄えを増やす努力をして老後資金を上積みしていく。

すでに年金を受給している人ならば、資産を浪費せず、計画的に使っていくことが大切なようです。

しかしながら、まだしっかり動けるシニアがあまりに節制した生活をするのは如何なものか、と私は思うのです。しっかりと動ける間は、行きたいところに旅をしたり、美味しいものを食べたりすることも人生の中では大切なのではないかと感じています。(自分が還暦を過ぎ、やはり食べられなくなったりお酒を飲めなくなったりするのを最近本当に実感しています。)

人の寿命は誰にも分からないわけで、長生きリスクに備える公的年金でもあるわけですので、「極度の節制はしたくないな~」というのが私の感覚です。みなさんはどうお考えですか?

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