働き方改革を考える!~転職者を再雇用~

 日本の総合エレクトロニクスメーカーの「富士通」では、転職や留学を含む退職者を再雇用する「カムバック制度」を2016年に始めました。

 背景には、顧客企業のデジタル化を支援できる即戦力の中途採用を2015年から強化し始めたところに、IT(情報技術)エンジニアの転職が当たり前となり、一度会社を去った人材に門戸を開く必要性に迫られていたことがあります。

 IT業界では人材獲得競争が激しい状況にあり、再雇用者は社外で鍛えたスキルと社内に精通した実務力を持つ即戦力としての価値が高いとされています。

 富士通では、離職中に積んだ経験や習得したスキルは給与や職責に反映させ、キャリアの断絶が起きないよう工夫しています。現在の「出戻り組」は約30人で、今後はイノベーションや新規事業の創出につなげたいとしています。

 また、再雇用だけでなく退職者とのつながりも模索していて、2020年秋に退職者を集めた「アルムナイ(卒業生)」ネットワークを立ち上げ、若手を中心に登録者は150人以上にもなるそうです。

「富士通」の「アルムナイ(卒業生)ネットワーク(R3.4.13 日本経済新聞イメージ図)

 米IT企業の間で普及する退職者との関係を保ちながら経営に生かす手法は日本企業にも広がり始めているようです。

 「出戻り社員」の受け入れは人材の流動性が高いIT企業だけではありません。食品大手の「明治」は、2020年4月に退職理由を問わずに再入社できる「リ・メイジ制度」を導入しました。これまでも再入社制度はありましたが、育児などに条件を限定していて、利用実績はほとんどなかったということです。

 制度導入には、顧客の変化や海外進出などで多様な考え方が求められるようになったことがあるようです。制度導入を受けて、外資系メーカーなど複数企業で経験を積んだ人材が戻ってきたそうです。

 大日本印刷(DNP)も2019年に退職理由を問わずに再入社できる「ジョブ・リターン制度」を導入しました。

 このように、人材の流動化で、他社での経験や専門性を自社に生かす考えに変わりつつあり、転職などで退職した人材を再び正社員として受け入れる企業が増えています。働く人もキャリア形成の選択肢が広がることが期待されます。

 「出戻り社員」、「再雇用」を定着させるには、再入社する人と会社に残った人の双方から納得感が得られることが重要であり、再入社の経緯や、給与、人事評価などの公平性が求められることは言うまでもありません。(出展:日本経済新聞R3.4.13「働き方innovation」)

 パーソナル総合研究所(東京)の調査によると、再入社後の方が満足度は高いものの、給与水準は2~3割が「年収がダウンした」と答えています。「再雇用社員」の待遇や評価の決め方が難しく、課題があります。

 とはいえ、「働き方改革」、「副業・兼業」など、徐々に進んでいる感がありますね。

 

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