「年110万円までは贈与税の非課税」がなくなる!

 こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤です。

年110万円までの像族税非課税枠は?

 今週7月31日の「週刊東洋経済」に「年110万円までの非課税がなくなる!」というショッキングなフレーズが表紙を飾っています。

 先週開催した相続対策セミナーでも説明させていただいたのですが、相続対策は早めに着手・準備することで、円満でかつスムーズな相続手続を行うことができます。早く準備するほど、選択肢が広がりますし、何より、被相続人が死亡した後では、対策の手段の選択肢はほとんど残されていません。

  今週の「週刊東洋経済」によりますと、相続をめぐる環境が激変しているとのことです。

 それは、昨年末の税制改革大綱で「相続税と贈与税の一本化」が打ち出され、年110万円まで非課税だった生前贈与が認められなくなるかもしれないということのようです。

出生数と死亡数の将来推計

 現代は少子高齢社会で、今まで経験したことのない少出産多死時代を迎えようとしています。

出生数と死亡者数(内閣府)

 このグラフは、出生数及び死亡数の実績値と推計値を時系列で表したグラフです。よく、「少子高齢化」という言葉を聞きますが、まさに今後の推計値も「少子高齢化」の状況がさらに進むことがわかります。
 それに加えて、現在は死亡する人が多い、「多死時代」になっています。10~20年後には、年間160万人を超える人が亡くなる時代になります。
相続は人の死亡によって発生しますので、今後も「相続」の件数は増えていきます。

相続税に関する法改正

 平成27年(2015年)に相続税に関する法改正が行われ、相続税の増額や基礎控除額の圧縮が行われました。これにより、相続税課税対象者が以前より増加することになりました。

 下のグラフ=国税庁の発表資料した「相続税の課税割合」によりますと、相続税法改正前の平成26年は全体の4.4%だったのですが、法改正された平成27年は、8%にほぼ倍増しています。相続税法改正により、課税対象者が約2倍になったといえます。
 とはいえ、課税対象者は10%未満で、9割以上の人は相続税は課税されないので、一見関係ないようにも見えます。

相続税課税対象の拡大(H26⇒H27)


相続トラブルは相続税課税対象者以外が多い!

 それでも、相続税の課税対象者は、全体の1割弱にすぎませんが、「相続」、「遺産分割協議」は、トラブルになることが多くなっています。

 

 上のグラフは、平成27年司法統計からの出展ですが、遺産分割訴訟の金額別割合をグラフ化しています。1000万円以下が3割強、5000万円以下が全体の約3/4を占めています。

 この統計時の基礎控除額が、「5000万円+1000万円×法定相続人」だったことを考えると、この3/4は「相続税が課税されていないケース」です。このように少ない金額の方がむしろ相続トラブルが多いといえます。

 相続税の対象とならない相続案件でも、多くの相続トラブル(「争族(そうぞく)」といいます)が発生しているのが現実です。

迫る相続・贈与税の一本化

 昨年末に発表された「令和3年度税制改正大綱」には以下のような記載があります。

〇相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税のあり方を見直す。

 この一文は、贈与税の実質廃止を目指すと読み取ることができます。贈与税には暦年課税と相続時精算課税があり、どちらか一方しか選択できません。

(1)暦年課税

 1年毎の贈与に対して課税するものですが、年110万円までなら原則非課税となります。そのために、毎年コツコツと長期にわたって、生前贈与をして節税する人は多いようです。

(2)相続時精算課税

 贈与した時は2500万円まで非課税だが、相続した時に贈与時の非課税分も含めて精算し、相続財産として課税するものです。価格が上昇傾向にある財産であれば、贈与した時の低い評価額への課税で済むというメリットがあります。

(3)(1)と(2)の利用状況

 2019年の申告を見ますと、暦年課税の45万件に対して、相続時精算課税は4万件で1/10以下と少ない状況です。

贈与税が廃止されるとすれば

 贈与税が実質廃止されるとすれば、以下の方法があるということです。

(1)暦年課税を廃止し、相続時精算課税のみにする。形式上はかなり相続税に統合される感じです。

(2)暦年課税を存続させるが、実態を相続税に近づけること。暦年課税は相続発生前3年以内の贈与については相続税扱いにしていますが、これを10年ないし15年以内などに拡大する方法です。

 いずれも過去の贈与税に訴求して課税することはないということです。

国際基準に揃える?

 甘利自民党税調会長は「公平・公正な制度になるように国際基準にそろえる必要がある。資産のある人に税制が有利に働くのはよくない」と発言しています。日本も今後、国際基準である、「生前贈与を活用した節税はできなくなる」という可能性が高まります。富裕層への課税強化が今後進むのは間違いなさそうです。

 その後は、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与に対する非課税の廃止も控えているようです。昨年末の税制改革大綱では「廃止も含めて検討」と記載されているようです。

 もともと、金融機関や保険会社などの関与が大きく制度だとは思っていましたが、ファミリー内の資産移転が進むだけで格差是正にはなっていないということで、その風当たりは強いようです。

 いずれにしても、今後、相続関連の課税制度も大きく変わりそうな気配がします。しっかりと情報把握をしていく必要がありそうですね。

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