NISAなのに「配当金」に課税される?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

来月(2024年1月)からいよいよ「新NISA」がスタートします。本日12月20日付けの新聞をみると、新NISA制度で購入できる投資信託が出揃ったようです。公募投信全体の1/3にあたる約2000本が新NISA対象となり、そのうちの約250本がつみたて投資枠で投資することができるようになりました。

そんなことで前回に引き続き、新NISAの話題が続きます。今回は投資信託ではなく、株式投資の配当に関する話です。(日本経済新聞電子版 2023年11月21日付「お金のトリセツ」から) 

私もよく知らなかったのですが、「新NISA制度での株式投資」においても配当金に課税されてしまうケースがあるというのです。詳しくみていきましょう。

通常は「NISA株式の配当は非課税」

「憧れの配当生活」「今こそ配当株投資」――。来年1月から始まる新NISA(少額投資非課税制度)を機に株式の「配当金」が改めて注目を集めています。

株式投資のリターンは売買益と配当収入に大別できますが、どちらもNISA口座での取引なら、通常なら差し引かれるハズの20.315%の税金はかかりません。そう、通常は配当金も非課税のハズなんです。どういうことなのでしょうか?

新NISAスタートで注目される配当収入

夢があって派手な印象を受けるのは「値上がり益」ですが、結果は株価次第で予測はきわめて困難です。一方の「配当」は会社が業績予想に基づき、半ば公約的に発表するもので、地味ながら堅実で比較的あてにできる存在といえます。

株式を持っている限り毎年1~2回程度、配当として現金収入が得られます。今はやりの「ほったらかし投資」向きといえますが、「配当金受取りの設定」を間違えたままほったらかすと「NISAにもかかわらず配当金にずっと課税される」といった悲劇が起きかねません。制度スタートの前に一度しっかりと確認しておきましょう。

なお、今回の話は「株式投資でなく「投資信託」で運用」と考えている向きには関係ない話になります。

配当金の受取り方法は4つ

「配当への課税」がリスクになるのは、配当金の受取り方法の設定です。証券口座を開く際、配当金の受取り方法について下の4つの方式からどれを選ぶか選択しますが、このチョイスが問題になります。

①配当金領収証方式

②登録配当金受領口座方式

③個別銘柄指定方式

④株式数比例配分方式

長く分かりにくいネーミングな上、証券会社ごとに微妙に呼び方も違っているというではありませんか、さすがに覚えにくい感じがします。

簡単にいえば、配当金を(④)証券口座に入れるか、(②、③)銀行口座に入れのるか、(①)現金で受け取るかの違いになります。銀行口座がまとめて1つの場合は(②)、銘柄ごとに口座を変える場合が(③)となります。

NISAの場合「株式数比例配分方式」を選ぶ

この4つの受取り方法のうち、NISA口座で配当の非課税メリットを享受できるのは④の「株式数比例配分方式」だけになります。他の①~③の方式を選んでしまうと自分では非課税のつもりでも20.315%の税金が引かれての入金になってしまいます。

これからNISAを始めるために証券口座を開設する人は悩まずに④の「株式数比例配分方式」を選び、証券口座で受け取るようにしましょう。すでにNISA用の証券口座を開設している人は改めて確認が必要です。とくにベテラン投資家の方々。

なぜならば昔からのなじみの配当金受取り方法は①「配当金領収証方式」だったからです。これは、ゆうちょ銀行や郵便局で領収証と引き換えに配当金を現金でもらうやり方です。以前は①の方法しかなかったのですが、後に③が始まり、株券の電子化とともに2009年以降、②、④が可能になりました。

受取り方法は最後にあとで選んだ方式に「上書き」

ベテラン投資家の場合、「配当は領収証を持っていって現金でもらうもの」という認識の人もいるかもしれません。それでもNISAで配当金非課税メリットを享受したければ、「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。

厄介なのは、配当金の受け取り方法はどれか一つしか選べず、しかも最後に選んだものが全ての口座で適用されることになることです。最後に選んだ受取り方法に上書きされます。

これまで課税口座で①や②、③を選んでいた人がNISA口座開設時に④を選ぶと、すべての課税口座での配当受け取り方法も自動的に最後に選んだ④の受取り方式に変わってしまいます。「証券会社に『なぜ入金先が証券口座に変わったんだ』と顧客からの苦情が寄せられるケースもある」(日本証券業協会)といいます。ここは注意点ですね。

「デフォルト」は領収証方式になる!

さらに厄介なのは、受取り方式を選ばなかった場合、自動的に振り当てられる「デフォルト」の受け取り方は①の「配当金領収証方式」になることです。

NISA口座開設時に自ら確実に④の「株式数比例配分方式」を選んでいないと、自動的に①の「配当金領収証方式」に振り分けられて課税されることになります。

証券保管振替機構によれば、個人投資家を中心とする残高のある証券口座は日本に約2898万口座あり、そのうち株式数比例配分方式は約1681万口座ですが、NISA口座(一般、つみたて)は2023年6月末時点で1941万口座まで増えています。

NISAとは関係なく株式数比例配分方式を選んでいる人がいることを考えると「NISAなのに配当の非課税メリットがある口座を選んでいない人」は少なくとも300万人以上は存在する計算になります。

配当受取り方法の変更は可能、まずは確認を!

今回の話題はあくまで株式投資の配当に関する話であり、売買益についてはNISAならどの受け取り方式でも非課税になりますし、投資信託の分配金とは無関係です。

また、一度選んだ配当金の受け取り方式を変更することも可能です。対面証券なら丁寧に説明してくれるはずでしょうし、ネット証券の場合はマイページにログインして口座管理画面の自分の情報を変更する項目を操作すれば変更できます。保有株式の配当の権利確定日前に余裕を持って、「配当金の受取り方法」を再度確認しておくことが安心につながります。

「300万人」という数字は結構デカいかも

冒頭にも書きましたがこの真実、私は知りませんでした。そういえば以前は、配当金を郵便局で現金で受取って、それをゆうちょ通帳に入金していました。知らないあいだに、私は「株式数比例配分方式」に受取り方法を変更していました。きっと「株式数比例配分方式」が導入された時に変更していたのですね。

しかし、「NISAなのに配当の非課税メリットがある口座を選んでいない人」が少なくとも300万人以上というのは結構大きな人数だと思います。

かなり以前から証券口座を持っている人は改めて「配当金の受取り方法」を確認しておきましょう!

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