自治体のパートナーシップ宣誓証明で住宅ローンが利用可能に!
全国の地方銀行や信用金庫で、LGBT(性的少数者)のカップルが住宅ローンを利用できるようにする動きが広がっているそうです。(日本経済新聞 金融経済版 2021年4月14日)
同性カップルを公的に認めるパートナーシップ制度を導入する自治体が徐々に増えています。長野県内でも、4月1日から県内自治体で初となる「パートナーシップ宣誓制度」を松本市(4月1日から中核市)が導入しています。
これらは、金融面で「性の多様性」に応えていくという金融機関の動きで、従来は接点が少なかった顧客を開拓する効果もありそうです。
広島銀行は3月下旬、LGBT向け住宅ローンの取り扱いを始めました。同性のパートナーが2人分の年収を合算して審査を受けられる「収入合算」を認めます。これには自治体が発行する証明書類が必要となります。
京都信用金庫も4月、LGBTや事実婚のカップル向け住宅ローンの取り扱いを始めました。京都府内では、京都市や亀岡市がパートナーシップ制度を導入し、パートナーシップの証明書の発行を始めており、こうした動きに対応します。
電通が8日に公表したインターネット調査では、性的少数者に当てはまる人の割合は、全体の 8.9%に上ります。
【参考】「電通LGBTQ+調査2020」概要 ⇒ https://www.dentsu.co.jp/news/release/2021/0408-010364.html
ただ、LGBT対応で先行する地域金融機関の取り扱い状況をみると、需要の掘り起こしはこれからと言えます。
滋賀銀行は、2018年9月、同性パートナーをお互いの連帯保証人の対象とする住宅ローンを取り扱い始めました。1つの物件に2つのローンを組む事例がそもそも少なく、利用実績は1件のみでした。同行は2017年に持続可能な開発目標(SDGs)に積極的に取り組む宣言を発表しており、「連帯保証の枠組みとして当然備えるもの」(同行サステナブル戦略室)としています。
千葉銀行も2020年7月、同性同士や事実婚のカップルが住宅ローンを借りられるように連帯債務の対象者を広げました。融資実行件数は9件で、融資額は計約4億円でした。性的少数者からの相談は定期的にあるといい、潜在的なニーズを見出しつつあるといいます。
また、横浜銀行も「収入合算」対象に同性パートナーを含めています。
ここまでが、日本経済新聞からの引用ですが、各金融機関も地域の実態に即して、対応していることが伺えます。
全国自治体が導入する「パートナーシップ制度」の対象は、同性パートナーシップが殆どです。少数ですが、事実婚などの異性間のパートナーシップを認める自治体が存在し、「千葉市」や「横浜市」がそれにあたります。千葉銀行が「事実婚カップル」も対象にしているのは、それを象徴しているものと思われます。
これから事業を展開するにあたっても、「多様性」という観点は重視していく必要があります。今回は「性の多様性」を金融面からアプローチしたものと考えられます。東京オリンピック・パラリンピック成功の原動力として組織委員会は「多様性」も挙げています。「多様性」が求められる、そのような時代になっていくのでしょうね。その動きに私たちも対応していかなければなりません。