相続には「期限」があります、登記や分割協議 早めの対応を!
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
令和5年6月3日付日本経済新聞電子版「くらしの数字学」に「相続の「期限」に注意、登記や分割協議 早めの対応を」と題してと題する記事が掲載されていました。
物事を行う上で「期限」はつきものですが、相続に関わる期限にはどのようなものがあるのでしょうか?
身近な人が亡くなったら? あまり想像したくないことではありますが、万一の時には悲しみに暮れる間もなく、様々な「期限」に気を配る必要がでてきます。それは最近、相続に関わるルールが見直されているためです。
相続税の申告・納税期限は10カ月
日経記者は昨年、親を亡くしたそうですが、悲しみと同じくらい役所などへの連絡や手続き、実家の片付けなどで忙しかった記憶が残っているそうです。
ただ、今後はそうした作業だけに忙殺されてもいられないので、最低3つの期限を頭に入れる必要があるということなのです。これらの3つは決して知らなかった、では済まないことなのだそうです。
最も早く来る1つ目が「10カ月」という相続税の申告と納税期限です。
相続税がかからない人には無関係ですが、2015年に税のルールが変更された後、対象となる人は増えています。相続税の申告・納税期限に間に合わせるのは意外に難しいようです。
税理士の市川恭子さんは「金融機関などとのやりとりに時間がかかり、普通の人が思うほど円滑に進まない」と話します。遺産の分け方などでもめればさらに時間がかかることになります。
10カ月以内の税の期限は個人的な都合では延長されない
遺産分割の話し合いが終わらないといった事情では期限は延長されません。ルールを守らなければ延滞税、加算税がかかる場合もでてきます。
意見がまとまらない時は法律が決める相続分(法定相続分)などで税を計算し、申告と納税を済ませます。問題はこの時、実際にお金を払う必要があることです。「遺産が不動産ばかりといった場合、納税資金の用意に苦労する人もいる」と市川さんは話します。
登記しないと10万円以下の過料
以前は相続税がかからない人は期限は基本的に関係ありませんでしたが、現在、状況は様変わりしています。
2024年4月から登場するのが「2つ目の期限」、「3年以内」という相続登記の期限です。登記とは不動産の様々な情報を記録しておくことです。
現在は実家などの不動産を相続しても「登記はいつまでに」と決められていませんが、2024年のルール改正後は3年以内の登記が義務となり、正当な理由がないのに登記しないと10万円以下の過料の対象となります。
登記をするのは通常、遺産の分け方が決まった後ですので、協議が難航し、3年以内にまとめるのが難しくなることも予想されます。
こうした事態に対応し、新しい救済措置がつくられます。
「相続人申告登記」と呼ぶ仕組みで、遺産の分け方が決まらなくても相続開始と自分が相続人であることを申し出れば申請義務を履行したとみなされるという制度です。
「相続人申告登記」では、申し出た氏名や住所は登記に付記されます。複数の相続人がいても各人バラバラに行えるが、義務を履行したと認められるのは申し出た人だけになります。
ただし、この「相続人申告登記」のままでは第三者に不動産の権利を主張することはできません。その後に遺産分割が成立した場合は、その日から再び3年以内に相続登記も義務になるので、いわば二度手間ともいえます。
専門家は「現実には3年以内に分割の話し合いも終えて、登記する方がトータルの負担ははるかに小さい」(日本司法書士会連合会・副会長の里村美喜夫さん)と話します。
遺産分割協議にも注意
2023年4月1日に始まったのが「3つ目の期限」、「10年以内」という遺産分割協議に関する期限です。
遺産分割協議は遺言がない場合などに相続人が「遺産をどう分けるか」を話し合うこと。新ルールは厳密には協議自体の期限ではなく「10年を過ぎると原則、法定相続分で遺産分割する」(里村さん)ということになります。
通常、相続人の中で生前に多額の財産を贈与されていたり、介護などで被相続人へ特に大きな貢献をしたりした人がいる場合、それらを遺産の分け方に反映することができます。
前者は「特別受益」、後者は「寄与分」といいます。法定相続分より公平な分割となる期待があるが、新ルールでは10年以内に話し合いがまとまらないと、原則これらを主張できなくなります。
これは協議の期限ではないので、10年経過後も相続人が改めて話し合い、全員が合意できれば法定相続分と異なる割合で分割することができます。
ただ、通常は話し合いの時間が長引くほど、合意のハードルは上がるといいます。それは生前の贈与や貢献について記憶が薄れたり、証明できる書類が散逸したりするからだそうです。
昔の相続も対象
今回の取材を経て、日経記者は「自分は親の相続がルール改正前でよかったかも」とやや不謹慎な考えが頭をよぎったそうですが、実は遺産分割協議や相続登記の新ルールは昔の相続と無関係とは限らないということなのです。
それは、ルール改正前に始まった相続でも一定の期限が設けられ、対応が必要になるからです。
相続登記は基本的にルール改正の2024年4月から3年、遺産分割協議なら「相続開始から10年」と「2023年4月の改正から5年」のいずれかの時点で後ろの方が期限となります。
里村さんは「今後、相続した人の大半が何らかの期限と関わる。昔の相続も対象なので、相続登記も来年の改正を待たず対応に動く方がいい」と話しています。
税から登記までの各期限は数え始める起点も微妙に違っています。自らの事情に照らし、早めに準備したいものです。
記事の概要は以上のとおりです。
まとめ
2024年4月からはじまる「相続登記」の期限3年というのは、相続業界でとくに注目されています。
また、2024年のルール改正後は3年以内の登記が義務となり、正当な理由がないのに登記しないと10万円以下の過料の対象となるというのもプレッシャーがあります。
今回の話題は、被相続人が死亡して相続が発生してからのいわゆる「相続手続き」に関する期限でした。
「相続手続き」は「被相続人の死亡」によって発生しますので、相続がいつ発生するのか分からない状況です。しかし、被相続人の死亡前であれば、生前の相続対策を施すことができます。
たとえば、有効な遺言書が残されていれば、遺産分割協議を行わなくても良くなります。さらに言えば、遺言に遺言執行者を指定しておくことで円滑な遺産分割を行うことが可能になります。
事前に(生前に)の有効な相続対策を行っておくことで、相続人たちは余計な手間やお金がかからなくなります。
ただし、生前に相続対策を行うには、意思判断能力がしっかりしている間でないと施すことが出来ません。もし、認知症などで意思判断能力が失われた場合には、残念ながら有効な相続対策を行うことは不可能です。
したがって、元気で意思判断能力があるうちに、有効な相続対策を準備しておきたいものです。もし、心身に変調が感じられてきた場合は、急いで相続対策を行う必要があるかもしれません。
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