「デジタル遺品」万が一のとき、どうしたら?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

前回の投稿に引き続き、相続手続きなどについて投稿します。今回はいわゆる「デジタル遺産の取扱い」です。日本FP協会「エコノミストの視点」に関連記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。(エコノミストの視点 2022年10月06日)

デジタル遺品とは? 

デジタル遺品に厳密な定義は存在しませんが、一般に、遺品となったパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に保存されたデータや、インターネット上の登録情報などを指す、とされています。すなわち、故人が遺したあらゆるデータ、情報がデジタル遺品となり得ます。

デジタル社会の進展に伴ってデジタル遺品に対する注目が広がりつつあります。デジタル遺品は財産的な価値を有するか否かで大きく2つに分類できます。

前者の例としては、デジタル機器を通して管理された銀行口座や証券口座、ビットコインなどの暗号資産、Suicaなどのチャージ式の電子マネー、○○Payに代表される二次元コード決済などが、後者の例としては、写真データやSNS・電子メールの情報、故人が運営していたブログやホームページなどが挙げられます。

また、いわゆるポイントサービスのポイントやサブスクリプションサービスの利用情報などもデジタル遺品に含まれます。

相続できないデジタル遺品も?

「包括承継」という考え方に基づき、法律上、相続人は例外となる財産を除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するためです。

もっとも、実際に相続の可否を検討する際には、デジタル遺品の種類ごとに個別に確認することが望ましいでしょう。

一方、財産的価値を有しないデジタル遺品の相続の可否は、基本的には各サービスの利用規約等によって個別に判断されます。

財産的価値を有しない遺品の相続の可否については法律上の定めがないことが、個別判断の理由となっています。

例えば、利用者としての地位が利用者に一身専属的(※1)に帰属する場合、原則として相続対象とはなりません。

個別に判断されるために、財産的価値を有しないデジタル遺品については、サービス内容等が類似した場合でも、相続の可否や相続時の手続き等が異なりうるのが現状です。

一例として、国内におけるSNSの相続に係る取り扱いは下図のようになっています。企業・サービスごとの対応の違いが見て取れます。

SNS相続取扱い一覧

(※1)権利や義務が本人のみに専属し、他の人に移転できない性質をもつということ

デジタル遺品が絡んだ相続トラブルはある?

大前提としては、デジタル遺品であっても、相続時に必要な手続きは通常の遺産、遺品と同様です。

しかし、データや情報といった「形がない」デジタル遺品の特徴から、特有のトラブルが発生しうる点には注意が必要です。

例えば、手がかりが少ないことから、相続人等がデジタル遺品の存在に気づかないというトラブルがあります。

また、故人が設定したパスワードが分からずデジタル機器にアクセスできないために、デジタル遺品の有無や所在を確認することができない、といった問題も発生しています。

特に財産的な価値を有するデジタル遺品に関しては、本来相続されるべき財産の手続きが進められなくなることが懸念されます。

暗号資産(※2)やFX等の資産価格の変動が大きい財産に関しては、デジタル遺品として存在すると相続人等が気づかないうちに、多額の損失を抱えてしまうようなリスクも想定されます。

また、特に暗号資産については、「パスワードを本当に知らないのか」というような事実関係を課税当局が判断できないため、パスワードがわからず資産を引き出せない場合でも当該資産は課税対象となる、という旨の答弁が国会でなされており、注意が必要です。

(※2)国会答弁当時(2018年)の呼称は仮想通貨でしたが、便宜上、暗号資産と表記します(2020年5月より呼称変更)。

デジタル遺産。遺す側、遺される側へのアドバイスは?

デジタル遺品を遺す側へのアドバイスとしては、デジタル機器のロックを解除するパスワードやデジタル遺品の所在の情報等を、あらかじめ紙などに書き残し、なおかつ、それを保管してある場所をわかるようにしておくべきでしょう。

極めてアナログではありますが、遺される側の負担を軽減する効果は大きいです。

デジタル遺品の有無や所在の把握が困難であることは、遺される側が直面しうる大きな課題であるためです。

遺される側からアプローチ可能な備えとしては、遺す側と遺される側がデジタル遺品について話し合う機会をつくることが考えられます。

それによって、デジタル遺品となりうるデータ・情報についてお互いに認識することができれば、万が一の際でもスムーズに対応可能となると思われます。

もっとも、何が起こるかわからないという意味では、いつ誰が遺す側になっても不思議ではありません。

インターネットの利用率は現役世代ではほぼ100%となっています。この観点からは、誰もが一度は、自分が遺す側になったら、という視点でデジタル遺品について考えてみることが望ましいといえるかもしれません。

今後考えられる課題や新たなサービスは?

インターネットを利用する人の割合は上昇傾向にあるものの、高齢世代を中心に今なおインターネットを利用していない人も存在しています。そのこともあり、デジタル遺品が問題となるのは、比較的若くして亡くなる方の相続等、一部のケースにとどまっていました。

しかし、今後は、故人がデジタル遺品を遺すケースは増加していくことでしょう。それに伴い、デジタル遺品に関わる人も増加していくことが想定され、デジタル遺品をめぐるトラブル数の増加が懸念されます。

デジタル遺品における、類似のサービスであってもサービスごとに相続の可否が異なっているような状況は、遺す側、遺される側、双方にとって状況を一層複雑にし、対応を困難にしています。

政府や業界団体等が相続の対象となりうるサービスへの取り扱いに関するガイドラインを制定し、一定の方向性を示すことで、遺す側、遺される側、双方の予見可能性を高めることが望まれます。

同時に、いわゆる「終活」の1つとして、将来的なデジタル遺品の発生を想定したうえで、各人がその把握や整理をスムーズに実施できる環境や新たなサービスを整えていくことも、ますます重要になっていくのではないでしょうか。

デジタル遺産の相続手続きって?

私の保有資格である「相続診断士」や「遺品整理士」でも「デジタル遺産」についての知識を学ぶようなカリキュラムがあり、今後、その必要性はますます増大していきそうです。

相続対策に特化した当事務所としては、「デジタル遺産の対策」にも手を打ち始めています。最新版の「デジタル遺産」相続手続きの専門書籍を購入して知識を深めているほか、パソコンなどのデジタル遺産の扱いについて相談できる”デジタル専門家”とも連携しています。(デジタル専門家といえども解決できないことも多いようですが・・・)

しかしながら、今後、デジタル遺産に関連したご相談案件も増えていくことでしょうね。パスワードやデジタル遺品の所在の情報等を紙に書き残すという対策が、シンプルながら一番有効のような気がします。

年齢順に相続発生(すなわち死亡すること!)するわけではありませんので、デジタルを扱うすべての人が心掛けなくてはいけない点かもしれませんね。

デジタル遺産もご相談はディアパートナー行政書士事務所へ

私たちディアパートナー行政書士事務所では、遺言書作成や家族信託、任意後見契約、生前贈与など、各種の生前相続対策について、ご提案・サービス提供しております。

また、当職は、相続診断士や遺品整理士の資格も有することから「デジタル遺産」についてのご相談も承っておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。(お問い合わせや初回相談は無料です)↓

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