【実践記】知らないなんてモッタイない! 小規模企業共済に申し込み!!
「経営者の退職金制度」とも呼ばれる小規模企業共済。
小規模企業の経営者や役員の人が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てるのが小規模企業共済です。
4月1日に松本税務署に個人事業の開業届出書を提出して個人事業者となりましたので、同日、松本商工会議所で契約申し込みをしました。
掛け金が全額所得控除できるなどの税制メリットに加えて、事業資金の借入れもできる、おとくで安心な小規模企業の経営者のための「退職金制度」です。
協業を予定している行政書士の先生も、フリーランスとして独立した月から始めたとのことで、節税メリットが大きいので、加入を勧められました。
契約申込には、開業届出書(控)が必要ですが、当日提出したので、商工会議所に電話してから、申込みのため足を運びました。
〇小規模企業共済の特徴
①国が定めた制度で、約4割の経営者が加入しています。法律(小規模企業共済法)に基づく共済制度で、国が全額出資する独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しています。
②掛け金は全額所得控除で節税することができます。掛け金は、月額1,000円から7万円までの範囲(500円単位)で自由に設定することができます。払い込んだ掛け金は、確定申告をすることによって全額所得控除となります。
③共済金受取り時も節税メリットがあります。共済金は、廃業や退職時のほか、65歳以上で180ヵ月以上掛け金を納付した人も受取り可能となります。受取りは「一括」「分割」「一括と分割の併用」が選択でき、税制のメリットがあります。
・一括受取り
共済金を一括で受取ると、「退職金所得扱い」となり、掛けた年数に応じて控除額が増えます。
・分割受取り
共済金を分割で受取ると、「公的年金等の雑所得扱い」となり、公的年金と同じ扱いになります。
〇世代別のポイント
①若手経営者/若手起業家
・小規模企業共済加入後、企業規模が大きくなって加入資格を失っても、当該共済に加入し続けることができますし、掛金の増額もできます。
・事業資金に困ったら、掛金納付月額により掛金の7~9割の範囲で貸付制度を利用し、速やかに資金を調達することができます。共済金等の請求権は差押えが禁止されています。
・共済金受取り時の税制メリットである退職所得控除額は、掛金の大小に関係なく掛金納付期間が長いほど大きくなります。若いうちに加入すると有利です。
※退職所得控除額
加入年数20年以下は、40万円×加入年数
加入年数20年超えは、800万円+70万円×(加入年数ー20年)
・当該共済は、生活の安定や事業の再建を図るために資金をあらかじめ準備しておく共済制度です。やむを得ず廃業する場合などに、最も有利な共済金タイプを受取れます。
②40~50歳前後
・50歳までに加入すれば、65歳の年金受給開始時に老齢給付で共済金を受取ることができ、年金の不足分を補完することができます。しかも事業を継続しながら受取ることができます。また、一度共済金を受取った後に再度加入することもできます。
③60歳前後
・60歳を過ぎても、現役で仕事をしていれば当該共済に加入できます(年齢制限なし)。⇒私も60歳になってから加入しました。
・会社等役員が65歳以上で任意に退任した場合でも、有利な共済金を受取るようになりました(平成28年4月法改正による)。
〇節税効果
一番関心が集まる節税効果ですが、実際にどれだけおトクなのでしょうか。
運営している独立行政法人中小企業基盤整備機構の啓発パンフレットによると以下の【例】が示されています。
【例】課税される平均所得金額が400万円、月々3万円の掛金を15年間納付したSさんが共済金A(事業の廃止など)を受取った場合。
節税額合計:109,500円×15年=1,642,500円
掛金合計額=5,400,000円 共済金A:6,033,000円
受取額ー納付額=633,000円 合計2,275,500円(おトク)
〇加入要件(以下の2つの条件を満たす人が加入できます)
①個人事業主及びその共同経営者、または会社等役員(登記があること)
②常時使用する従業員人数の条件が以下を満たしていること
・小売業・卸売業・サービス業等/5人以下
・製造業・建設業・運輸業・農業等/20人以下
・宿泊業・娯楽業/20人以下
まとめ
私は掛金最高額の月7万円の掛金で申し込みました。年間84万円の所得控除がありますので、60歳から受け取る予定の私的年金の雑所得や駐車場の賃貸料などに対して、有効な節税効果を生み出してくれると思います。
(サラリーマンではなく、)フリーランスになったからには、自らの収入に対して出来る限りの節税の工夫をしていきたいと思いますが、今回の小規模企業共済加入がその第一弾です。
加入要件を満たす方は、月1,000円の掛金からでも加入してみてはいかがでしょうか?毎年の掛金の「全額所得控除」のほかに、共済金受取り時の「退職所得の扱い」は、非常に有効に節税効果をもたらしてくれるハズです。