厚生年金、保険料負担よりも増える受取額を重視して!

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

2022年5月27日付け日本経済新聞「人生100年の羅針盤」電子版に、「厚生年金の加入対象者」についての記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

厚生年金への加入対象者は広がる

長寿のリスクにさらされるシニアと呼ばれる年代以降、正社員ではなくても、パートやアルバイトの立場で働き続ける人が少なくありません。

その際に気になるのが、勤務先で厚生年金などの社会保険に加入するかどうかということです。2022年10月から順次始まる年金制度の改正では、短時間勤務の非正規雇用者も厚生年金に加入できる条件が広がっていきます。保険料は一時的な出費になりますが、将来受け取れる年金額が増え、障害へ保障も手厚くなります。

「パートでも厚生年金といった社会保険に加入する必要があるのでしょうか」。従業員100人ほどの事務所で週25時間ほど働く60代女性はこんな疑問を持っています。

年金制度の法改正により、10月から自身が社会保険の加入対象になると聞かされましたが、気になるのは給与から保険料が差し引かれることです。「手取りが減るくらいなら、勤務時間を調整して今まで通り加入の対象外のままのほうがよいのでは」と悩んでいます。

社会保険というと、一般的にフルタイムで勤務する正社員が対象のイメージがあるかもしれませんが、労働時間や賃金、企業規模などによりパートタイマーでも被保険者になる可能性はあります。労働者が加入対象になれば、手続きは事業主が行うことになります。

厚生年金の加入条件は?

現在、パートタイマーが厚生年金に加入するには

①従業員501人以上の企業で勤務

②週20時間以上働く

③月収8万8千円(年収約106万円)以上

④継続して1年以上勤務期間がある見込み

⑤学生ではない

といった条件を満たす必要があります。

しかし、法改正で対象は拡大し、今年10月からは従業員が101人以上、2024年10月からは51人以上の企業に勤める人も加入の義務が生じることになります。

勤務期間の要件も現行の1年以上より短くなり、2カ月を超える雇用の見込みがあれば対象者になるようになります。

年金制度の専門家である社会保険労務士は「保険料負担が目先で生じても、ゆくゆくは年金額が増える。将来の備えとしてシニア世代にも加入を勧めたい」と強調しています。それは、国民年金の加入期間を基に65歳から受け取れる老齢基礎年金に加え、報酬に応じた老齢厚生年金として年金額が上乗せされるためです。

例えば、月収が8万8千円(年収約106万円)で社会保険に加入した場合、厚生年金保険料は月額8052円。仮に10年間加入すると、老齢基礎年金にプラスして老齢厚生年金を月額約4500円、終身で受け取ることができるようになります。

病気やけがで日常生活や仕事に制限が出た場合に受け取ることができる障害年金でも利点があります。

病気やけがで初めて医師などの診療を受けた際、国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金が請求できます。障害は1~3等級に分かれ、障害厚生年金は最も軽度な3級までカバーし、保障範囲が広いので、国民年金に比べて有利です。

別の社会保険労務士は、心臓のペースメーカー装着や大腸がんによる人工肛門の造設などを挙げ、「60歳以降に有病率が上がる病気を含み、安心度も高まる」と話しています。

配偶者の扶養の範囲内で勤めてきた人にとっても、厚生年金への加入は意義があるといえます。

これまでは年収が130万円を超えると保険料の負担が発生するのみで、年金の支給に恩恵はありませんでしたが、法改正により、年収106万円を超えた場合には社会保険料負担は発生しますが、年金も増えることになります。

無理のない働き方で収入を増やしながら、あわせて社会保障の恩恵も受けられる厚生年金の制度を賢く使いたいものです。

健康保険の恩恵も

社会保険に加入することのもう一つの利点は、公的な健康保険の恩恵を受けられることです。

主に自営業の人や、現役世代を正社員として過ごした人が定年退職後に加入する国民健康保険は、年金収入を含めた所得を基に保険料を算定します。

一方、企業の健康保険料は、給与と賞与が基になり、収入が少ない場合は比較的低くおさえられます。また、会社と折半して支払うため、労働者個人の負担は小さくなります。長寿リスクに備えて、なるべく長く働き続ける意識をまず持つことが大切なのかもしれません。

まとめ

今回の厚生年金の加入対象者の拡大は、短期的に考えれば、年金掛金が控除されるため、手取り収入が減少しますが、長い目で見れば、厚生年金の受給額増加という大きなメリットがあります。しかも掛金は雇用主との折半ですので、このうえなく有利だといえます。

そのうえに、障害者になってしまった場合の年金支給も、国民年金よりも有利なものになっていますので安心です。

また、健康保険への加入という「おまけ」まで付いているのですから、長寿リスク(長生きするリスク)に対処していくためには、今回の年金制度の法改正を上手に活用することが大切かもしれません。

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