「ミニ保険」として注目を集める少額短期保険
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
今回は、少額短期保険、いわゆる「ミニ保険」といわれる保険商品が注目されていることについて、日本FP協会「FPいまどきウォッチング」に記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。(いまどきウォッチング 2022年05月12日)
注目を集めるミニ保険
少額短期保険、いわゆる「ミニ保険」といわれる保険商品がコロナ禍をきっかけに改めて注目を集めています。
少額短期保険のジャンルはユニークな商品も多く、「今すぐにでもこのリスクに備えたい」というピンポイントのニーズに応えられる、頼りになる存在でもあります。利用する際の注意点も押さえつつ、ミニ保険について確認していきます。
コロナ禍のリスクに対応したミニ保険
新型コロナの感染拡大により、コロナに対応した様々な保険が発売されました。
例えば、新型コロナに感染するなどして1泊2日以上の入院をした場合、給付金として10万円が受け取れる、感染して自宅などで医師の治療を受けたときも給付が受けられる、という内容の保険です。
しかしながら、感染者の急増を受けて多くの保険会社が販売停止や保険料の引き上げを行いました。
また、例えば保険料3万6,000円のコースで、結婚式を中止した場合最大500万円が支払われるという結婚式総合保険の販売件数が伸びました。新郎新婦の入院などで直前に結婚式を中止した場合のキャンセル料に備えたい、という目的で選ばれたようです。
さらにコロナ禍で行けなかった旅行やイベントのチケットの費用をカバーする保険も契約が増えました。新たに修学旅行への参加を生徒本人の事情でキャンセルするリスクを補償する保険も登場しました。
これらのコロナ禍による様々なリスクに対応した保険は「ミニ保険」=「少額短期保険」と呼ばれるものです。
“第三の保険会社”が取り扱う「少額短期保険」
「ミニ保険」とは「少額短期保険」のことで、改正保険業法が施行された2006年4月以降に生命保険会社、損害保険会社に続いて”第三の保険会社”として誕生した少額短期保険会社が取り扱う保険を指します。
少額短期保険会社は定められた3つの要件を満たしていれば、第1分野の保険(生命保険)、第2分野の保険(損害保険)、第3分野の保険(医療保険・介護保険・傷害保険など)のいずれも取り扱うことができます。また、生命保険と損害保険の双方を取り扱えるのも従来の保険会社との違いです。
3つの要件は?
(1)保険金額に上限がある
被保険者について引き受けられる保険金額に上限があり、死亡保険300万円、医療保険80万円、損害保険1,000万円などとなっています(2006年3月以前に営業していた会社には経過措置あり)。
さらに複数の保険を契約する場合、合計保険金額は1,000万円が上限です。少額短期の「少額」にあたります。
(2)保険期間が短い
保険期間が、第1分野(生命保険)・第3分野(医療保険・介護保険・障害保険等)については1年以内、第2分野(損害保険)については2年以内と決められています。
満期時に希望すれば更新はできますが、更新の取り扱いがない商品もあります。保険期間が1年か2年の商品しか扱えないという点が、少額短期の「短期」にあたります。
(3)取り扱える保険に制限がある
取り扱える保険は、掛け捨て型の保障(補償)性商品のみです。
そのため、個人年金保険、満期保険金を支払う積立型の学資保険や養老保険、変額保険、外貨建て保険などはありません。
年々増加するミニ保険の注意点
ミニ保険には前述の3つの要件があるため、契約更新を続けることで実質的に長期の保障(補償)を得ることは可能なものの、大きな保障(補償)額で備えたいというニーズや長期保障(補償)のニーズに応えるのはやや難しいといえます。
生損保会社が経営破綻した場合には、契約者を保護する「保険契約者保護機構」のような仕組みがありますが、少額短期保険会社にはありません(代わりに管轄する法務局に供託金を供託しており、万一の場合は契約者保護に充てられます)。
保険料が「生命保険料控除」や「地震保険料控除」の対象とならない点も注意が必要です。
少額短期保険会社は2022年4月1日現在で115社。
参入へのハードルが低いことから、2021年だけでも新たに7社が登録されるなど、新規参入が活発です。
さらに生命保険会社・損害保険会社が子会社として少額短期保険会社を設立するケースもあり、従来の保険会社と少額短期保険会社の関係はより複雑になってきています。
また、ミニ保険の特徴を取り入れた保険が、従来の生損保会社から発売される動きも見られます。
そのため、生活者から見ると違いがわかりにくくなっています。
ニッチなニーズ向けの商品設計に特徴
ミニ保険の主な商品には死亡保険や医療保険、地震補償保険、賃貸住宅入居者用の家財保険(家財の火災保険・借家人賠償責任保険)、ペット保険などがあります。
一般の生命保険には入りにくい対象者にフォーカスした商品がそろうのもミニ保険の特徴の1つといえます。
例えば、知的障害・発達障害のある人が対象の総合保険、糖尿病の人向け、妊婦専用の医療保険などです。
また、冒頭で紹介した新型コロナ対応の保険のように、タイムリーな保障ニーズに対応する商品が登場するのもミニ保険の特徴です。
損保分野では、地震補償保険が注目されます。
損害保険会社の地震保険は火災保険とセットでしか加入できませんが、ミニ保険では単独での加入が可能です。ただし、原則1,000万円という保険金の上限があります。
ミニ保険で取り扱う会社が多いのがペット保険です。保険金が支払われるのは対象のペットが通院・入院・手術をした場合で、かかった医療費の一定割合(50%か70%が一般的)を補償するものです。
70%なら医療費1万円に対し7,000円が補償され、飼い主が3,000円を負担します。基本的には犬や猫が対象ですが、中には小動物、鳥、爬虫類も加入できる保険、手術・入院に限定したもの、ペットの年齢が上がっても保険料が変わらない保険もあります。
ペット保険には損害保険会社も参入しており、商品内容に大きな違いはありませんが、前述のような少額短期保険会社ならではの制限には注意が必要でしょう。
足りない保障を補えるメリット
こうした特徴をもつミニ保険は、多様化した私たちの生活上のリスクに対応できる可能性を有しています。
それは、従来の保険では対象とならないリスクや、短期間のリスクをカバーしたい場合など、手ごろな保険料で備えられる点で魅力があるからです。
現在加入している保障(補償)額にしばらくの間、少し上乗せしたい事情ができた場合にミニ保険を組み込む形が考えられます。
例えば、本格的な保障は結婚を機に検討したいと考える人の場合、結婚までの”つなぎ”としてミニ保険を利用することも考えられます。
また、子どもの大学進学で一時的に家計の負担が重くなるケースでは、その間だけ地震に対してはミニ保険でカバーする、という使い方も合理的でしょう。
時代を反映した新商品にも注目
日本少額短期保険協会では、毎年「おもしろミニ保険大賞」コンテストを開催しており、「あったらいいと思う保険」のアイデアを募集しています。今年3月に発表された最優秀賞には『ヤングケアラーサポート保険』が選ばれました。
家族の介護などで自らの学業やスポーツ活動などに影響が生じている「ヤングケアラー」が近年問題になっていることに注目したアイデアです。
また、保険に精通しているファイナンシャルプランナーからアイデアを募集し、優秀作品を選ぶ「ファイナンシャルプランナー部門」が新たに創設され、「仕事を続けながら介護する人を応援する保険」が優秀賞に選ばれています。
これらのアイデアが実際商品化されるかは別にして、時代のニーズを反映した商品の発売は今後も見込まれることから、こうした「あったらいいと思う保険商品」の動向にはチェックが必要がです。
保険の原則は「発生頻度は低いが、起きると被害が甚大」なことへの備えです。ミニ保険に限らず、自分や家族にとって、本当に必要な保険か、加入にあたっては十分検討することが必要です。
また、ミニ保険の保険期間は短いですが、他の保険とともに、定期的な見直しをしていくことも必要になるでしょう。
多様なライフスタイルが存在する昨今、どのようなミニ保険が登場するのか、ちょっと楽しみでもありますね!