起業で成功する人の準備リストとは?

 こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所 代表の瀧澤です。

 定年退職後の起業に取組んでいる私ですが、起業事業成長の土台づくりに重要な「起業準備」についての投稿です。

徹底した準備で成功率を高める

 「起業を成功させるためには、3つのフェーズ(段階)を越える必要がある」と専門家は言っています。

 1つ目の段階は、起業する前の準備期間です。起業をして、最初から順調にいくことはめったにありません。事業を興していく上で、想定外の事態や何らかの苦労はあり得るものです。起業後の数年間を意識した準備が成功の鍵を握るということです。

 最近はコロナ禍の影響も大きいですし、気候の大変動や災害など、まさに想定外の出来事が起こることも大いにあり得ます。

 2つ目の段階は、起業後の2年間だといいます。この時期は「最も脱落する人が多い時期」と専門家は話しています。変化が最も大きなこの時期には、経営者としてもプレーヤーとしてもすべきことが膨大です。特に大切なのは、起業後の半年間といわれています。(私としては、とても耳が痛いお言葉です!)

 事業を成長させるための市場の開拓や商品・サービスの値決め、収益の仕組みづくりなど、企業の存続に直結する重要な決断が連続します。

 私も今、まさにこの段階にいることになります。「最も脱落する人が多い」という指摘には、「ありえるな~」という実感があります。

 3つ目の段階は、起業後3~5年間の時期だそうです。企業としての経営力が問われる段階であり、組織体制を強化したり、中長期の経営計画を作成したり、新たな利益を生むために、停滞している事業の改革を行うのもこの時期になります。過去の事例や実績を基に、販売戦略をさらに練り込む必要がありということです。

 最近は新型コロナウイルスの影響が長引き、経済が低迷している一方で、小規模ビジネスを新たに立ち上げる動きが活発になっています。

 起業を志す人は、大学生から20代・30代のビジネスパーソン、定年間近の方、定年退職者まで、性別を問わず世代も幅広いのが特徴となっています。

 起業の業態は、本業の延長上での起業に限らず、業種転換のパターンも増えていて、資格や経験が乏しい場合は、『副業から始める』『資格を取る』『フランチャイズを利用する』ことから独立・起業に発展するケースもでてきています。本業で固定収入を得ながら、準備を進めて起業をするというリスクヘッジをしている人も少なくありません。副業解禁の動きやテレワークなどの働き方の変化によって人々の意識が変わり、起業のチャンスは広がっているといえます。

 副業容認や週休3日制など働き方改革の進展は、起業の選択肢も広げている感があります。

 その一方で、起業をした数年後には多くの人が倒産・廃業しているという現実にも向き合う覚悟が必要だと専門家は指摘しています。

 起業のやり方に正解ルートがないといわれることがありますが、少なくとも『やるべきこと』と『してはいけないこと』は明確です。将来起業を考えている人は、メンタル面に加えて、現実的なリスクや実務的な作業を俯瞰(ふかん)して知っておくことも大切なことです。

 起業の敷居が低くなってチャンスが広がっているとはいえ、今までの経験が生かせるような形で独立したほうが事業の生存確率は高まります。準備段階に入るときには、失敗要因をできる限りなくして『生き残る経営者』を目指すことが成功の秘訣の秘訣のようです。

 やはり、今まで経験したスキルを生かした事業形態の方がしっかりとした計画や綿密な準備が可能となりそうです。

起業準備に重要な成功の法則は?

 ある起業コンサルタントは、起業前の準備段階で成功する人の法則を5つ挙げています。

①自らのビジョンを明確に持っていること

②起業の前に徹底的に準備し、成功率を可能な限り高めること

③損得勘定よりビジネスの存続を優先すること

④過去を起点に「自分ができること」を念頭に置いてビジネスモデルを考えること

⑤自己資金を初期費用に使わず、万が一のときの余剰資金として取っておくこと

 これらには、小規模ビジネスは向いていそうですね。

起業で成功する人、失敗する人の特徴は?

 そもそも、起業に向いている人、向いていない人はいるのでしょうか。

 事業の成功確率を上げるには、起業家としてのマインドセットが最も大切ということです。起業コンサルタントが起業の相談を受けていると、大きく3つのパターンに特徴分けされるようです。

①生粋の起業家タイプ → 〇 成功しやすいパターン

 「どのような思いで何がしたいのか」「自分に○○ができるから、この事業をしたい」という自らのビジョン(信念)を明確に持っている人です。

 自分が経験をしたことに対して、お客さんが何に困っているか、解決すべき課題は何か、そのビジネスを選んだ理由が明確で、起業家としての資質があります。

 起業マインドが自然と備わっている人は、壁や失敗に直面してもいかに事業を継続していけるかを粘り強く考えられる人が多いということです。

②投資型思考タイプ → △ マインドセット、起業成功体験がない人は危険

 起業のための資金があり、「人・モノ・お金がそろっていれば成功するだろう」と、投資に近いイメージを持っている人です。

 事業存続の土台となるのはマインドセットであり、オーナー的立場で、損得勘定を優先するタイプは起業に適していません。マネジメント能力が秀逸で、いくつかの会社を成功に導いた経営者でない限り、こうした考え方は危険のようです。

 綿密な起業準備やマネタイズは得意な人が多いので、起業準備段階で起業マインドに目覚めれば大きく伸びるタイプともいえるようです。

③転職逃避タイプ → × 失敗するパターン

 「今の状況がいや」「職場の人間関係がつらい」「この仕事が向いていない」と、転職をするように起業する理由を考えている人です。

 希望の部署・業務ではないからといって、再就職するように起業しても、『思った以上にもうからない』『逆境に立ち向かえない』と新たな壁にぶつかります。起業は前向きな姿勢で挑まなければ成功しません。

 こうした人には、起業の計画はいったん止めて、本業で給料をもらいながら起業の準備期間を持ったり、素直に転職したりすることを勧めるようです。

過去・現在・未来は切り離せない

 成功への近道は、これまでに習得したスキルや知識をベースに『自分ができること』を念頭に置いてビジネスモデルを考えることです。

 今まで積み重ねてきた過去の自分と未来の自分を、今の自分がどうやってつなぐのかを考えます。それを無視して起業をするのは、失敗する起業の典型例だと専門家は指摘しています。

 そして、どうしても挑戦したいビジネスが未経験である場合は、まずは副業から始めることを専門家は勧めています。

 未経験のビジネスに挑戦する場合は、過去の経験を経て、今の自分が持っているはずの経験やスキルがないために、今から未来にかけて、本来備えるべき経験を補わなければなりません。

 まずは副業をして新たなスキルを高めながら独立するというのは、パワーが2倍かかります。起業コンサルタントは、その覚悟がないのであれば、起業は断念したほうがいいと解説しています。

起業前に必ず検討してほしい3つのこと

 起業前の準備として必ず行ってほしいこととして、専門家は、「起業後のサービス内容や収支について仮説を立て、検証すること」と話しています。

①誰に向けて売るのか?

 「女性向け」や「日本にいる若者」では不十分で、自分の商品・サービスは誰の痛みを解決できるのかというところから考えることが重要です。「都内に住んでいる30代」、「一人暮らし女性で、最近外食や旅行に行けず、気分転換をしたいと考えている人」など、ターゲットとなる人の顔が想像できるくらい明確に細分化をする必要があります。

 これは、マーケティングにおいて活用される概念で「ペルソナ」といわれるものですかね。ペルソナとは、サービス・商品の典型的なユーザー像のことで、リアリティのある詳細な情報を設定していきます。

②そのターゲットに本当に刺さる自分の商品・サービスは何なのか?

 ターゲットが求めているものでかつ、他社は手が届いていない商品は何かを探します。

 3C分析というビジネスのフレームワークを活用して、市場環境を把握し、自社の強みや弱みを把握することで、進むべき方向が見えてくるといいます。3C分析は、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字を取ったものです。

 自社のサービスで、競合が手を出しておらず、顧客が求めているものは、1カ所だけ出てくるものなのだそうです。

③単価をどう設定するか?

 サービスや商品の値付けというものは、金額の安い・高いではなく、「この問題を解決してくれるのならこの価格は惜しくない」と思えるお得感のある価格設定をするのがポイントだということです。

 起業した後の事業経営には資金に限りがあり、厳しい状況に陥りやすいものです。そんな中で競合の大企業と同じような低価格戦略を行えば、あっという間に倒産の危機に陥ります。この3C分析を活用して、いかに価格競争のないブルーオーシャン(未開拓分野)の市場に入るかが重要となってきます。

 仮説で考えたサービス内容は収支の目算は、起業後には大きく変わっているものかもしれません。

 変化の激しい起業後2年間でも定期的に見直していきますが、起業前にしっかりと考えたプランがその後変化に対応して成長していくための大事な基礎となっていきます。

起業前に知っておきたいお金の知識

 「起業後に必ず最初にぶつかるのは、損益分岐点の壁です」と専門家は話しています。

 この損益分岐点とは、黒字化をするために達成すべき売上高のことを指します。単月黒字化は、初めて事業が利益性を生む瞬間でもあります。

 この単月の利益を生むまでの期間について、事業が右肩上がりで成長するイメージを持っている人が多いのですが、実際にはほぼありえないということです。

 商品・サービスが市場に登場してから需要を失うまでには、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのカテゴリーがあり、プロダクトライフサイクルと呼ばれています。

 S字型のように、売り上げが上昇する直前まではマイナス方向に働くのが一般的です。事業を始めてから、単月の損益が黒字転換するまでの壁は意外と高いものです。

 どんなにお金を集めても、素晴らしい商品ができても、軌道に乗るまでには一定の時間とあと一歩のきっかけが必要です。

 起業後において会社の資金が枯渇してしまうまでの猶予期間をランウェイといいますが、厳しいランウェイ期間に損益分岐点を超えられるかどうかを起業前に仮説として計算しておく必要があると起業コンサルタントは指摘しています。

 売り上げアップを検証する手法として、「売上高=顧客数×客単価×購入頻度」というシンプルな公式があります。簡単に説明すると、売上高から支出を引いた月々のキャッシュフローがマイナス100万円で、手持ちのキャッシュが1000万円だとすると、この企業のランウェイは10カ月ということになり、この企業は10カ月の間にビジネスを軌道に乗せなければならないことになります。

起業時の融資戦略は?

 専門家は、ランウェイ期間を十分に取るために必要な資金を創業融資で調達し、単月黒字化して赤字がストップするまでの期間まで余裕を持って経営することを勧めています。

 この創業融資は、創業時にしか利用ができないという条件付きの融資制度のことで、起業をするときに利用できる最も条件がいい制度をいいます。ただし、自己資金要件の設定や提出書類の多さなど、さまざまな条件が設定されますが、基本的に無担保・無保証で借りられることが大きなメリットとなっています。

 女性・若者・シニア向けに金利が安く設定されたプランがあり、日本政策金融公庫や保証協会付き融資を扱っている金融機関で申し込みをすることができます。創業融資は一度利用すると、一定期間は追加融資を受けることができないので注意が必要です。

 事業運営において、自己資金には簡単に手を付けず、最終手段としてストックしておくことが大事と専門家は強調しています。

 金融機関の融資を受ける際は、手持ちの自己資金に応じておおよその融資額が決まる傾向があり、自己資金の準備は必須です。

 融資額の目安は自己資金の4倍程度となります。創業融資の申し込みをするときには、ランウェイに基づいた融資計画書を作りますが、このとき、自己資金の使い方として一番避けなければならないのは、初期費用に自己資金を充てて計画をしてしまうケースだとしています。

 その理由を起業コンサルタントアは以下のように説明しています。

 自己資金は何の制限もなく使える唯一の資金なので、見通しが立たないものにこそ使うべきです。

 起業後のランウェイ期間、追加の資金調達が必要な場面で金融機関からどうしてもお金が借りられないときがあります。例えば、事業はまだ黒字になっていないけれど、あともう一回投入したら日の目を見られるというケースです。

 そのときにこそ自分のお金は使ったほうがいいということで、万が一、事業がダメになっても、自己資金を使って再起をかけるという考え方もあります。自分で用意した自己資金は極力使わず、調達した事業融資で事業を構築することが起業の鉄則です。

まとめ

 私にような定年退職起業では、設備資金も運転資金もあまりかからないスモールビジネス・小規模ビジネスを楽しみながら取り組んでいますが、融資を受けて行わなければならないような規模の事業であれば、リスクも大きくなるのですね。

 定年退職起業は、自分一人で取り組めるような「スモールビジネス・小規模ビジネス」が向いているようです。そして、定年退職起業には「焦らない」、「あきらめない」という2点が大変重要になってきます。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です