60代は過渡期?「勤労」「資産」「年金」との向き合い方は?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

長野県にある諏訪湖に発生する冬の自然現象「御神渡り」は今年も出来ないようです。先日、諏訪湖「明けの海」宣言がされたことから、 諏訪湖の御神渡りは5季連続出現なしとなりました。残念ですが来季に期待しましょう!

さて、令和5年1月27日付日本経済新聞電子版「人生100年こわくない」に、60代の「勤労」「資産」「年金」との向き合い方についての記事が掲載されていました。私も60代前半の当事者として、じっくりと考えてみたいと思います。

60代前の方も、「老後資金の準備段階」として一緒に考察していきましょう!

定年後の雇用延長、年金受給開始年齢の引き上げなどで60代は「過渡期」

「老後2000万円問題」が大きく取り上げられましたが、単に老後の生活費が多く必要だということのメッセージよりも、「公的年金が機能していないからこんなに大きな資金が必要になる」とか、「これからの人口減少社会で公的年金制度はさらに厳しくなる」といった点が注目されたのかもしれません。

それほどに日本においては、退職した後の生活において公的年金への依存度が高いということなのでしょう。

以前の「人生100年こわくない」のコーナーでは、60代6000人アンケートの結果から、資産が多いほど生活の満足度が高まるものの2000万円くらいからその影響度が低下すること、いわゆる「資産2000万円の分岐点」を紹介しました。

今回は、同じアンケート調査結果から、「働いていることや公的年金の存在は、生活満足度(アンケート調査では生活全般の満足度と称している)に対する資産の影響度にどう変化をもたらすか」を分析しています。

生活満足度を左右する要素

このアンケート調査の分析結果からは、以下の2つのことがわかりました。

まず、年金を受け取っていない、いわゆる年金未受給者は、世帯保有資産が増えるほど生活満足度が有意に高まる傾向がありますが、年金の受給が始まるとその有意性が消えていました。

もう一点は、働いている60代を分析すると、資産が多いことによる生活満足度に対する影響度は有意でありませんが、働いていない60代ではその有意性が出てくることがわかりました。

この2つの点を、資産が生活満足度に影響を与えることを〇として簡単にまとめると、年金未受給=〇、受給=×、勤労者=×、退職者=〇となります。

退職していてまだ年金を受給していない人にとって、資産が生活満足度に最も影響を与えていることがうかがえます。

ちなみに、60代6000人アンケートの回答者を、勤労状況と年金受給状況で分類すると、つぎの通りになります。

回答者6486人のうち、退職している人は3734人で57.6%、年金を受給している人は3504人で54.0%と、どちらも過半を占めていました。ただ、退職しているのに年金をまだ受け取っていない人や、仕事をしながら年金を受給している人も一定数います。

これらにあわせて、それぞれのカテゴリーの平均年齢も考慮すると、各カテゴリーのペルソナがみえてきます。

①「60代になったけど、まだ働いていて年金を受け取っていない人」

①「60代になったけど、まだ働いていて年金を受け取っていない人」は、平均年齢は62.0歳となっていますので、まだ年金受給年齢に達していない人となります。資産の生活満足度への影響では、勤労=×、年金未受給=○の関係となります。

②「既に退職しているがまだ年金を受給していない人」

②「既に退職しているがまだ年金を受給していない人」は、平均年齢は61.8歳となっていますので、年金受給年齢に達していないが、すでに定年などで退職している人となります。1207人、全体の18.6%の規模となっています。

資産の生活満足度への影響では、退職=○、年金未受給=○で、非常に資産水準の生活満足度に対する影響度が大きいカテゴリーといえます。

③「退職して年金を受け取っている人」

③「退職して年金を受け取っている人」は、平均年齢は65.9歳となっていますので、最も一般的な退職世代といえるでしょう。資産の生活満足度への影響では、退職=○、年金受給=×の関係となります。

④「年金を受け取りながら仕事を続けている人」

④「年金を受け取りながら仕事を続けている人」は、平均年齢は65.4歳となっています。年金受給年齢に達していることから、年金を受け取りながらまだ働いている人たちで、977人、全体の15.1%の規模です。

資産の生活満足度への影響では、就労=×、年金受給=×の関係ですので、最も資産の多さが生活の満足度につながらないセグメントといえます。

この結果をどうみる?

この結果をどう見たらよいのでしょうか。このコラムにストの感想は、「正直、この結果に若干の危惧を覚えた」ということです。

この4つの分類を時系列で考えたとき、60歳で定年を迎えてその後仕事をしていない人は、まだ年金を受け取れる年齢ではないから、②の層に該当します。このカテゴリーの人にとっては、保有している資産が多いほど生活の満足度は高く、少ないほど満足度が低くなるわけですから、資産の重要度が強く意識されている状況です。

しかし、その層が年金を受け取れるようになると、資産の多さはあまり生活満足度に影響をしなくなってきます。

ある意味で、「やっと年金を受け取れるようになってほっとした」といったところなのでしょうか。それは年金の持っている重要さだといえるのでしょうが、もしかすると保有する資産が年金受取までの期間のつなぎ資金のように認識されているのではないかとの危惧もあるとコラムニストは述べています。

過渡期にある現在の60代

生活を支える収入源が年齢とともに、勤労収入から資産収入へ、そして年金収入と変わっていくとすれば、現役時代の資産形成は「年金受給までのつなぎ資金」を作り上げればいいという見方の人が多いのかもしれません。

そのため2000万円以下といった相対的に資産額が少ない層ほど、資産の生活満足度への影響度が大きくなっていると考えることもできます。

現在の60代は過渡期にあるとコラムニストは記しています。実際のところ、公的年金の受給開始年齢は65歳への引き上げ途上にあり、移行措置として2023年に64歳を迎える男性には64歳から特別給付が支給されます(女性は5年遅れ)が、それ以降は移行措置も終了して65歳に一本化される(女性は5年遅れなので、5年間は特別給付が続きます)。

一方で、2021年4月から65歳までの雇用確保が企業に義務付けられましたが、現在の60代前半の方がすべてその対象になっているわけではありません。60代6000人のアンケート調査では、「仕事をしておらず、まだ年金を受け取る年齢になっていないという人」が1207人、18.6%いるという調査結果が出ています。

さらに働いているとしても大半の企業は60歳の定年を維持して、その後は雇用延長か再雇用といった形で雇用確保をしているため、収入は大きく低下してのが実態でしょう。

2021年の労働力調査によりますと、60〜64歳の就業率は71.5%とかなり高い状況ですが、令和3年(2021年)賃金構造基本統計調査によれば、60〜64歳の平均賃金は29.28万円と55〜59歳の36.55万円から20%減少していることがうかがえます。

高齢者の勤労意欲の高まりから今後は65歳まで、さらに70歳までと働く年齢が延び、ある程度の勤労収入が見込めることが期待されます。それが資産を年金受給までのつなぎ資金といった見方をするのではなく、保有する資産からの取り崩しが年金受給分との併用で生活満足度を高めるといったマインドセットにつながってほしいとコラムニストは結んでいます。

まとめ

公的年金の特別支給という移行措置も、男性に関しては終了が近づき、女性の場合でも7年後には終了をみることになります。

老後資金は、公的年金受給までの「つなぎ資金的なもの」ではなく、「保有する資産からの取り崩しと年金受給分との併用」により、長い老後を過ごしていく資金として運用していくというのが、今後の流れになるのではないでしょうか。

下に以前投稿したブログ「長い老後、夫婦2人で月20万円稼げば大丈夫?」がありますが、「長く働いて安心老後」という流れになっていくのでしょうね。

60歳以降も長く働くことで、生活にリズムが生まれ、健康にもよいと考える人は多いでしょう。(私自身は還暦を過ぎて、体力・気力の衰えを感じる機会も多くなったのは事実です(笑))

ただ、何も考えずに惰性、今までの延長線上で、ただ働き続けているというのもどうかと自分的には考えているところです。バランスをとりながら60代以降の老後生活を楽しむのが良いのかもしれません。

いずれにしても、心身の健康が一番大事だということに明言できます。健康維持のためにも規則正しい生活に心掛け、定期検診も忘れずに受けることが重要になってくるでしょう。

ビル・パーキンスの著書「DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)~人生が豊かになりすぎる究極のルール~」の中には、こんな言葉が語られています。

“人生は経験の合計だ。あなたが誰であるかは、経験の合計によって決まる。振り返った時、合計された経験の豊かさが、どれだけ充実した人生を送ったかを計る物差しになる。”

「DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)」の詳しくはコチラ↓

「DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)」で述べられているのは、つまり、人生で一番大切な仕事は「思い出づくり」だということです。

しかしながら、生きがい対策という観点でも、長く働き続けることは重要とも考えられます。

これからも、仕事と遊びのバランスを考えながら、健康に過ごしていきたいと思います。

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