長野銀行 LGBTカップルの住宅ローンを解禁
以前、全国の地方銀行や信用金庫で、LGBT(性的少数者)のカップルが住宅ローンを利用できるようにする動きが広がっている(日本経済新聞 金融経済版 2021年4月14日)というブログを投稿しましたが、長野県松本市に本社を置く金融機関「長野銀行」でもその取り組みが5月10日から始まることになりました。
同性カップルを公的に認めるパートナーシップ制度を導入する自治体が徐々に増え、長野県内でも4月1日から県内自治体で初となる「パートナーシップ宣誓制度」を松本市(4月1日から中核市)が導入し、宣誓カップルも誕生しています。
こうした状況を踏まえて、長野銀行の「女性活躍推進チーム」と商品開発を担う部署が検討し、長野県内に本店を置く金融機関では初めて取組むことになりました。
自治体に証明書の発行制度が導入されていない場合は、任意後見契約の公正証書なども認め、広く対応できるようです。
これは、金融面で「性の多様性」に応えていくという金融機関の動きのひとつですが、従来は接点が少なかった顧客を開拓する効果も出てきそうです。
電通が8日に公表したインターネット調査では、性的少数者に当てはまる人の割合は、全体の 8.9%に上ります。
【参考】「電通LGBTQ+調査2020」概要 ⇒ https://www.dentsu.co.jp/news/release/2021/0408-010364.html
ただ、LGBT対応で先行する地域金融機関の取り扱い状況をみると、需要の掘り起こしはこれからと言えます。
各金融機関も地域の実態に即して、臨機応変に対応していることがうかがえますし、また、それを無視していてはその地域の金融機関として生き残れないともいえるでしょう。
前回も述べましたが、全国自治体が導入する「パートナーシップ制度」の対象は、同性パートナーシップが殆どです。少数ですが、事実婚などの異性間のパートナーシップを認める自治体が存在し、「千葉市」や「横浜市」がそれにあたります。千葉銀行が「事実婚カップル」も対象にしているのは、それを象徴しているものと思われます。
起業や創業などで、これから事業を展開するにあたっても、この「多様性」という観点・視点は特に重視していく必要がありそうに思います。
今回は「性の多様性」を金融面からアプローチしたものと考えられますが、「多様性」。今、いろいろな場面で注目されています。
例えば、2021年アカデミー賞の最多受賞作品、3冠の「ノマドランド」も、賞を選考する映画芸術科学アカデミーの会員が白人男性に偏っていると批判されて、「多様性」(この場合は「人種」や「性差」の多様性でしょうか)を目指して改革を進めてきた「一定の成果の表れ」といわれています。
東京オリンピック・パラリンピック成功の原動力として東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は「多様性」も挙げています。「多様性」が求められる、「多様性」が容認される、日本に限らず、世界全体がそのような時代になっていくのでしょうね。
私も起業したばかりの身、立場として、こうした流れや動きに対して、敏感に反応し、対応していかなければならないと改めて考えています。