長野県消防防災ヘリコプター就航!
4月3日、松本空港内にある長野県消防防災航空センターで、長野県消防防災ヘリコプター「アルプス」の就航式がありました。
2017年3月、救助訓練に向かう途中、松本市内の山中に墜落し、搭乗員9人全員が殉職された防災ヘリ「アルプス」の後継となる新機体の就航です。
4月5日から緊急運航の一部を除き、運航が再開されます。運航の再開は2019年7月以来、約1年9か月ぶりです。
新機体は、昨年12月に納入され、離着陸や機材の操作などの訓練を重ね、今年3月末までに必要な訓練が終了し、今回の運行再開の判断となりました。当面、標高2,500mを超える山岳では、救助される人を吊り上げる”ホイスト”を使った救助活動は行わないということです。
2017年3月5日の「アルプス」墜落事故では、7名の消防隊員と操縦士、整備士の9名全員が殉職されました。殉職された隊員の皆さんは、働き盛りの非常に優秀な方々ばかりでした。心からご冥福をお祈りいたします。
私は、墜落事故当時、消防防災航空センター所長でしたので、今回の運行再開に至るまでの道のりは、石坂消防防災航空センター所長はじめ関係者の皆さんのご努力には大変なものがあったと思います。
消防防災航空隊の要である水崎消防隊長は、事故後、自ら手を挙げて消防防災航空隊へ入隊していただきました。彼は以前にも消防防災航空隊で救助などを行っており、救助や訓練について深い知識と技術を持っており、厚い人望とともに、長野県の消防防災航空体制の再構築にご尽力をいただきました。
消防隊員は、長野県内の13広域消防本部から派遣されますが、その全員が消防の経験・知識・技能に長けていて、所属する消防本部からの推薦を受けて派遣されています。皆さん、航空隊への入隊を自ら志願して来られる優秀な方々ばかりです。
墜落事故の発生は悔やんでも悔やみ切れない出来事でしたが、ぜひ、安全な運航に心掛けて、救助や訓練に取り組んでいただければと思います。安全な運航を心からお祈りいたします。
3,000m級の山々に囲まれた長野県内の山岳地域では、急峻な地形や、刻々と変化する天候などにより、飛行、救助や訓練は、困難を極めます。(平地で救助案件でなければ、救急時には医師が搭乗するドクターヘリ(長野県内には2機が常駐)が出動します)
2018年8月に群馬県消防防災ヘリコプター「はるな」が群馬県中之条町の山中に墜落し、搭乗していた9名全員が殉職されるという痛ましい事故が発生しました。「ぐんま県境稜線トレイル」の救助体制整備のための視察だったそうですが、山岳地帯での運航は常に危険と隣り合わせです。
長野県消防防災ヘリ「アルプス」の事故後、協定を結ぶ隣県から消防防災ヘリの受援を受けることが多かったのですが、群馬県消防防災航空隊は、山梨県消防防災航空隊に次いで受援回数が多く、群馬県防災ヘリ「はるな」もよく松本空港に離発着していました。心からご冥福をお祈りいたします。
全国の消防防災航空隊の消防防災ヘリ安全運航を心からお祈り申し上げます。