長い老後、夫婦2人で月20万円稼げば大丈夫?
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
令和4年11月30日付日本経済新聞電子版「日経マネー特集」に、収入面から見た老後の生活について「長く働いて安心老後」の記事が掲載されていましたのでそれについて考察していきます。
老後の生活資金を増やす手段は?
老後の生活資金を増やすための有力な手段としては、資産運用するとともに長く働くことが挙げられます。
実際、労働力不足の今日、シニアの力を必要としている職場は増えています。心身を無理させず健康に仕事を続けることが、心と体の幸せにもつながります。
ここでは、シニアの仕事とお金について考えていきます。著書『ほんとうの定年後』で、「小さな仕事」に満足しながら充実した定年後生活を送るシニアたちの姿を描いたリクルートワークス研究所の坂本貴志さんに、老後を豊かにするための秘訣を聞きました。
定年までに老後資金の3000万円を順調に貯められるといいのですが、そこまで貯められない人も少なくないかもしれません。不安に駆られる人も多いことでしょう。「貯められなくても過度な心配は不要」と強調するのはリクルートワークス研究所の研究員・アナリストの坂本貴志さんです。
年金世帯の家計が厳しいのは事実
「確かに年金世帯の家計が厳しいのは事実」。坂本さんはこう前置きして、総務省の家計調査(2021年版)のデータを例示しています。
そのデータによれば、2人以上の無職世帯では65~69歳の間に1カ月当たり約8万円、70~74歳の間には同5万円、75歳以上では同2~3万円の赤字が出ています。しかし、それはあくまで無職の場合です。「定年後、月10万円程度の収入を確保すれば、赤字が大きい65~69歳の間も楽に乗り切ることができ、貯蓄を続けることさえも可能」だと話しています。
60代の過ごし方で差が付く
「定年後も働く」と聞くと、抵抗を感じる人も多いかもしれませんが、住宅ローンの返済や教育費の支出が終われば支出額は減ります。そのため、必要以上にたくさん稼ぐ必要はなくなってきます。個人差はありますが、坂本さんが提案する「月10万円程度の小さな仕事」で十分な収入を得られるケースが多いそうです。
「60歳から月10万円稼げば、70歳までに1200万円、72歳までなら1500万円近い収入になる。夫婦2人で月20万円稼げば10年で2400万円。小さく稼ぐだけで、生活の余裕ができるだけでなく、老後資金を補充することもできる」と坂本さんは話しています。
働いて収入を得ることで、その間は年金を受け取らずに受給を繰り下げて、年金支給額を増やす道も選ぶこともできます。
年金受給を5年遅らせて70歳から開始すれば、受給額は約1.4倍に増えます。厚生年金に加入して働けば厚生年金部分がプラスされ、不安が募る人生の後半に手厚い収入を獲得することができます。(坂本さん)
短時間労働に追い風
さらに、シニアの短時間労働には追い風も吹いています。
正規労働者の賃金は長年横ばいですが、短時間労働者の平均時給は10年前と比べて20%以上も上昇しています。2020年は1263円だったので、月10万円を稼ぐなら1日7時間、週3日ほど働けば十分な金額にあります。
70歳では男性の約半数、女性の3割が仕事に従事
長く働けば良いことはわかりましたが、果たしてシニアに仕事はあるのでしょうか?この辺について、坂本さんはこう解説しています。
「働くシニアの割合は急増しています。60歳の男性は78.9%、65歳の男性は62.9%、70歳の男性でも45.7%が働いている状況です。その背景には退職金が減り、生活のために働く人が増えたこともありますが、働き口がそれだけあるということも意味しています。社会的な人手不足もあり、仕事に困ることはまずない」といいます。
実は稼げるシニア世代
では、現在のシニアは実際にどのぐらい稼いでいるのでしょうか。リクルートワークス研究所が2019年に行った調査の結果によると、65~69歳で働いている人の平均年収は256万円。極端に稼ぐ人に引っ張られない中央値では180万円となっています。70~74歳でも中央値で170万円を稼いでいます。賃金は上昇傾向で仕事もあり、収入を得る市場は整っていると言えます。働ける体さえあれば、むしろ60代は絶好の稼ぎ時となります。
実際、シニア世代は渋々働いているわけではなく、仕事の満足度は現役時代よりも高いことがデータで示されているということです。リクルートワークス研究所の調査によると、45~54歳の正社員で仕事に満足している人は34.1%だが、65歳以上では56.4%。非正規社員の満足度は、45~54歳の41.4%に対し65歳以上は56.5%と、シニア世代は満足して働いている実態が浮き彫りになっています。【 出典 :2021年 リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」】
その理由として挙げられるのは、定年後は大きな責任を持つ必要がなく、好きな仕事や時間で働けることが考えられます。
調査対象者には、ほどほどに働くことで生活にリズムが生まれ、健康にもよいと満足する声が多かったということです。70~80代で体力が衰えていくことを考えると、小さな仕事は多くの人にとって無理なく手堅い収入を確保できる有効な手段だといいます。
60代をどう過ごすかで老後資産の最終金額は大きく変わってきます。できるだけ細く長く働くことが資産だけでなく生活をも豊かにするのかもしれません。定年後に小さく長く働けるプランを練ることが、資産形成の仕上げとして大切な準備になりそうだと結んでいます。
まとめ
定年後も長く働くことで、生活にリズムが生まれ、健康にもよいと考える人は多いのですね。しかし、私自身、還暦を迎えて、体力・気力の衰えを感じる機会も多くなりました。
「働くこと以外のやりたいこと」を働きながら、叶えていければよいのでしょうが、時間的な制約などがあって仕事を持っていると叶えられない場合もあるかもしれません。
また、何も考えずに惰性、今までの延長線上で、ただ働き続けているというのもどうかと考えるところです。バランスをとりながら老後生活を楽しむのが良いのかもしれません。
ただ、どちらにしても、心身の健康が大事だということには言えそうです。そのためにも規則正しい生活に心掛け、定期検診も忘れずに受けることが大切かもしれません。
私の場合、亡妻の遺族厚生年金を受給しているため、厚生年金の受給繰下げを行うことはできずに65歳受給が決定していますので、受給繰り下げは「国民年金部分」しか選択肢はありません。
ただ、「ひとり合同会社」の代表社員として「厚生年金」掛金を掛けていますので、若干ながらではありますが、厚生年金受給額が増えることが期待されます。もともと報酬額が低額ですので掛金も少なく、大きな期待は持てません(笑)
生きがい対策としても、長く働き続けることは重要と考えます。今年も、仕事と遊びのバランスを考えながら、健康に過ごしていきたいと思います。皆様、今年もよろしくお願いします!!