銀行の振込手数料引下げと個人間無料送金新事情
みなさん、こんにちは!「家族信託」に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
今回は、日本FP協会「FPいまどきウォッチング」に10月に実施された銀行の振込手数料引下げなどの記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。
10月以降、多くの銀行が振込手数料を引き下げました。その背景にはどのような理由があるのでしょうか。また、最近はスマホアプリを利用した手数料無料の個人間送金サービスも増えています。便利に低コストで送金できる方法もあわせて確認しましょう。
他行宛振込手数料の引下げとその背景
銀行から他の銀行の口座へお金を振り込むときに必要な振込手数料が、2021年10月以降、多くの銀行で引き下げられています。
銀行ごとに違いはありますが、多くの銀行では、振込金額3万円未満で60円前後、3万円以上で110 円程度引き下げています。
背景には、銀行から他の銀行への送金に使われる全国銀行データ通信システム(全銀システム)の手数料見直しがあります。
これまでは、「銀行間手数料」として送金額が3万円未満なら117円、3万円以上なら162円を、送金元の銀行から送金先の銀行へ支払う必要がありました。この金額は40年以上変わっておらず、批判もあったことから2021年10月より新たに内国為替制度運営費が創設され、金額は一律62円となり、実質的に引き下げられました。
各銀行の振込手数料引き下げは、この改定を反映して行われたものです。
なお、全銀システムの銀行間手数料は他行宛にしか適用されていなかったため、同行宛の振込手数料には変更がありません。
ネット銀行、ネットバンキングによる振込手数料無料サービス
店舗を持たないネット銀行は、元々振込手数料が安くなっていることが多いですが、こちらも今回の改定を受けて手数料を引き下げたり、振込金額による区分(3万円未満/以上)を廃止したり、といった動きがありました。
1回当たり100円未満で振込ができる銀行もあり、振込金額による区分がないので3万円以上を振り込む場合には店舗のある銀行との差が大きくなっています。また、ネット銀行は無条件で月1回は振込手数料を無料としているところもあります。
預金残高や投資性商品の保有残高、住宅ローンなど利用状況に応じ手数料無料の回数が多くなるサービスは店舗を持つ銀行のネットバンキングを含め多くの銀行で導入されています。
他行宛の振込が毎月あるような家庭では、こういったサービスを有効に使えるようにしたいですね。私はイオン銀行で月5回他行振込が無料というステージにするために、イオン銀行で積立投信を始めましたが、ここのところ順調にこのステージを維持できています。
スマホアプリを利用した個人間送金
家族や友人などにお金を渡したいときには、現金を直接渡すほか、会えなければ相手の銀行口座に振り込む、現金書留を送る、などの方法が一般的でした。個人間送金とは、銀行口座を介さずにパソコンやスマートフォンアプリを利用して主に電子マネーとして個人から個人へ送金する方法です。
現在、主要な決済アプリはいずれも個人間送金が可能になっています。キャッシュレス決済を個人間のお金のやり取りでも利用するイメージです。飲食代等を割り勘するとき、直接会えない人から寄付やお見舞いのお金を集めるとき、家族に仕送りをするときなどにも使えます。
具体的な使用方法としてPayPayやLINE Payを例にとると、まず送り手側、受け手側ともに同じアプリを利用する必要があります。送り手側はPayPayやLINE Payに残高をチャージし、送金先を指定して送金します。
なお、送り手側は初回送金時には本人確認手続きが必要となり、送金先の指定方法によっては、受け手側で都度受取手続きが必要な場合もあります。送り手側、受け手側ともに手数料はかかりません。受け手側は受け取った残高をPayPayやLINE Payの残高として飲食店や量販店、コンビニ等の店舗で利用することができます。
メリットとしては、銀行口座を聞かなくても簡単に送金できることや、銀行口座を介さないので24時間いつでも送金でき、手数料がかからないことが挙げられます。
しかし、デメリットもあります。
まず、同じアプリ内でのみ送金可能なため、相手が同じアプリを利用していない場合は送金できません。また、受け手側がキャッシュレス決済を使い慣れていない場合や加盟店が近くにない場合は、送金されても受け取った残高をなかなか使えません。
受け手側は指定の銀行口座に出金することもできますが、その場合には概ね220円の出金手数料がかかります(PayPayの場合は、PayPay銀行口座への出金は無料)。
送金に特化したアプリや今後のサービス
送金機能をメインとしたアプリ・サービスも出てきています。
pring(プリン)は、個人間送金をメイン機能としたアプリで、自分の銀行口座と紐づけてチャージしておけば、アプリを利用して簡単に無料で送金ができます。受け取った人も月1回は銀行口座への出金やセブン銀行ATMからの出金を無料で行うことができる点がメリットです。
Money Tapも自分の銀行口座と紐づけて使用し、アプリを利用して相手の銀行口座に手数料無料で送金することができます。ただし、相手の銀行口座は提携銀行のものに限られ、現状では4行しかありません。
いずれも利用者がまだ多くないので、今のところ個人間送金に気軽に使える状況ではありませんが、例えば生活費の引落し口座と貯蓄用の口座など、複数の口座を持っている人が振替に使っている例もあるそうです。
大手5行(三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそな、埼玉りそな)も、全銀システムを使わずに1回当たり10万円以下の送金ができるサービスを提供すべく、2021年7月に新会社「株式会社ことら」を設立しています。「ことら」は「小口トランスファー」=少額の送金を意味しており、「多頻度小口決済のための新たなインフラを運営する」ことを目的としています。
開発段階ですが、送り手側は個人のスマホアプリから、相手の携帯電話番号やメールアドレスなどを入力することで送金できるようになり、受け手側は携帯電話番号やメールアドレスと銀行口座を紐づけておくことで、自動的に口座に入金できるようになる構想のようです。
1回の送金額は10万円以下に限定されますが、銀行口座とスマホアプリの垣根を越えた送金が手軽にできるようになるかもしれません。事業開始は2022年上期の予定です。
従来の銀行振込以外にも、個人間送金や口座間振替の方法は増えてきています。費用を抑え、簡単に送金できる方法を押さえておきたいものですが、常に情報のアップデートは必要でしょう。最近の技術革新(この言葉自体が古いかもしれませんが・・・)は目を見張るものがあります。コロナ禍になってますます拍車がかかってきた感があります。私自身、こうした革新技術に乗り遅れないようにしたいと改めて感じたところです。来年も変化の大きい年になりそうですね。皆さん、気張っていきましょう!