認知症700万人時代 介護費用や財産管理の備えは?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。


今回は、日経ヴェリタス(2021年11月5日)に認知症対策の記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

2050年には高齢者の約3割が認知症を患うと試算されている

高齢化に伴い認知症患者が増えています。その増え方ですが、2025年には約700万人と65歳以上の5人に1人がなる見通しとなっています。認知症に向けて介護費用や財産管理などマネーの備えは欠かすことができません。今から準備できる対策をまとめました。

「認知症は人ごとではないと痛感しました。家族に負担をかけないようお金の準備はしておきたいです」

東京都内の大手企業に勤める吉田加奈子さん(仮名、40代)は最近、70代の義母が認知症と診断された。まだ症状は比較的軽いが、一人息子の夫と義母はこれまで老後資金について話し合っておらず、今後の介護費用など心配は尽きないといいます。

社会の高齢化を背景に認知症患者は増加傾向にあり、厚生労働省によると、2025年の国内患者数は有病率が上昇するケースで、15年比4割増の730万人に拡大する見通し。50年には1000万人を突破し、高齢者の3割近くが患うと試算されています。

認知症が進行すると基本的に介護が必要になります。生命保険文化センターの21年の調査では、毎月の平均介護費用は8万3000円で18年の前回調査から5000円増えました。

平均介護期間も5年1カ月と長期化傾向が続いています。住宅改装や介護用ベッドの購入といった一時費用の平均額74万円を合算すると、介護費用として約580万円かかる計算になります。調査には認知症以外の介護も含まれ、重度の認知症になればさらに介護費用が膨らむ可能性もあります。

認知症高齢者の予測(厚生労働省資料から)

介護費用、認知症保険が選択肢

認知症患者の増加を受けて大手生保は近年、認知症になった場合の経済的負担に備える「認知症保険」を相次いで発売しています。いずれも認知症と診断されると保険金を受け取れるタイプで、認知症の早期発見や予防にも力を入れています。

大手で先駆けて発売した第一生命保険は、米国のテクノロジーベンチャーの技術を採用して認知機能をチェックできる契約者専用のスマートフォンアプリを展開しています。スマホに次々と表示される画像を見ると、人工知能(AI)が視線の動きを分析。年1回のチェックで、脳の認知機能が低下していないかなどを簡単に確認できるものです。

明治安田生命保険では契約者が血液検査など健康診断データを提出すると、認知機能の低下リスクを評価してくれるというものです。認知症に関連する生活習慣病になるリスクもあわせて分析し、今後10年で入院する可能性を表示します。

日本生命保険も契約者の「声」で認知機能をチェックできるスマホアプリを手掛けています。「今日は西暦で何年、何月、何日、何曜日ですか?」という質問に答えるだけで、声の周波数などをAIが分析し、20秒程度で認知機能の状態を判定するものです。

住友生命保険では契約者がオペレーターとの対話方式で簡単な記憶力を問うテストを受けられるサービスを提供。約10分の電話で認知機能を評価する仕組みとなっています。

また明治安田生命、日本生命、住友生命の認知症保険は、認知症の診断時だけでなく、その前段階とされる軽度認知障害(MCI)の場合も保障対象となるのが特徴。保険金は認知症診断時の約1割で、契約者がMCIの症状を放置せず、早めに専門医の診断を受けることを促す目的があります。

もっとも、認知症保険の加入には注意点もあります。高齢になると認知症以外の病気・けがで介護を受けるリスクが高まるが、こうしたケースは認知症保険の対象外となります。介護費や医療費が膨らんだ場合に自己負担を軽減する公的制度もあります。社会保険労務士の井戸美枝氏は「介護の備えは預貯金を基本としつつ、家計の大きな負担にならない範囲で民間の認知症保険に入っておくのは有効な選択肢になる」と指摘しています。

賠償責任補償、不測の事故に対処

認知症になると思わぬ事故に遭うリスクが高まります。認知機能の低下とともに、患者本人が事故でけがを負うだけでなく、第三者の体や所有物を傷つけてしまったり、公共交通機関を止めてしまったりするケースは少なくありません。重度の症状で本人に責任能力がないとされると、家族が賠償責任を問われる可能性もあるのです。こうした賠償リスクには、損害保険の個人賠償責任補償で備えることができます。

大手損保の個人賠償責任補償は自動車保険や火災保険などの特約で加入するのが一般的となっています。賠償費用を保険金として支払う個人賠償責任補償は以前からある特約だが、最近では認知症に対応して補償の範囲を広げています。例えば、患者が徘徊(はいかい)して線路に立ち入り電車の運行を止めてしまった場合にも保険金を受け取ることができます。

保険の対象者も拡大し、損害保険ジャパンなどは加入者に責任能力がなければ、監督義務がある配偶者や同居親族、別居の未婚の子供、別居する既婚の子供なども補償を受けられます。

認知症の親が加入していなくても、監督義務がある子供が契約していれば賠償に備えられるというものです。認知症の住民向けに補償制度を導入する自治体もあり、あわせてチェックをしてみてはいかがでしょうか。

個人賠償責任補償のほかにも不測の事故に対処する保険商品があります。

東京海上日動火災保険の「認知症あんしんプラン」は、個人賠償責任補償に加え徘徊で行方不明になった人の捜索費用を1回の事故につき30万円、保険期間を通じて100万円まで補償するものです。患者の発見・保護を支援するため持ち物に貼り付ける「緊急連絡ステッカー」も提供し、発見した人と家族が迅速に連絡を取れるようにしています。

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、70~80代向けの傷害保険に行方不明時の捜索費用を補償する特約を付帯できます。保険期間を通じて50万円が上限で、認知症患者だけでなく軽度認知障害(MCI)が原因のケースなども幅広く対応しています。

親の財産管理 家族信託を活用

認知症に備えるうえで考えたいのが財産管理の問題です。親が認知症と診断されると、子供が同行しても基本的に金融機関で預貯金を引き出したり、金融商品や不動産を売買したりできなくなります。本人の資産が事実上「凍結」され、家族にとっては介護費用の捻出や資産運用で大きな壁に直面することになるかもしれません。

発症後の財産管理は原則として法定代理人の成年後見人が手続きすることになりますが、成年後見制度では、家庭裁判所が選任した後見人が本人の代わりに財産管理や契約行為などを担いますが、患者の家族からは使いづらいといった声が多く寄せられています。

その一因として家庭裁判所が選任する後見人は弁護士や司法書士といった専門職が多く、子供など家族を後見人の候補に申し立てても必ずしも選任されるとは限らないことが挙げられます。

財産額が大きくなる、紛争の恐れがあるなどの場合、専門家が選任されることが多くなるようです。現在では、成年後見人の約7割が専門家といわれています。

後見人は本人の財産を守るのを重視するため、金融商品や不動産の売買による資産運用が難しくなるうえ、専門職の中には日常的な支出まで過度に厳しく制限する後見人が少なくないといいます。

専門職後見人と親族で意見が対立しても、裁判所は後見人の交代を通常認めず、本人が死亡するまで資産規模に応じて月額2万~6万円程度の報酬を後見人に払い続ける必要があります。こうした状況を受けて、最高裁は2019年に各家裁に対し「身近な親族を選任することが望ましい」と通知。最近では親族の後見人は増えつつあるが、成年後見制度のデメリットはしっかり理解しておきたいものです。

一方、認知症の発症前からできる対策で注目を集めるのが「家族信託」です。自身が信頼する家族に財産管理を任せる契約を事前に結んでおくもので、成年後見制度では難しい柔軟な資産運用が行える仕組みとして利用が広がっています。

家族信託は民事信託の一種で、財産を託す委託者、託された財産を管理・処分する受託者、財産から利益を受ける受益者で構成されます。

認知症に備えた財産管理で家族信託を活用するケースでは、基本的に本人が委託者と受益者を兼ね、子供や配偶者といった親族が受託者となって信託契約を結びます。信託財産には不動産や現預金、金融商品などを具体的に設定することになります。(農地は農地法の絡みで信託財産にはできません!)

事前に契約、柔軟な資産活用が可能に

家族信託の最大のメリットは「契約の範囲内で機動的・積極的な資産活用が可能になる」(司法書士の村山澄江氏)ことです。

例えば、契約で「受益者の老後に資するように信託財産を運用する」とすれば、受託者はその目的に沿って財産を処分することもできます。

相場動向を見極めて株式や投資信託を売買したり、不動産を貸し出し賃貸収入を得たりして、収益を受益者の介護費や医療費に充てるといったやりくりが可能になってきます。死後に残った財産の承継先なども盛り込めるため、遺言のような役割も果たせます。

家族信託を利用するには、手続きに詳しい弁護士や司法書士、行政書士、税理士といった専門家への相談が欠かせません。信託目的、信託財産、委託者や受託者などを決めて、契約書を作成。契約書は公正証書で作成し、受託者の財産と分別管理するよう金融機関に信託口口座を開設するのが望ましいといわれています。

ただ、利便性が高い家族信託にも注意点があります。信託契約を設計するには法律や税務に関する高度な知識が求められますが、東京都内のある弁護士は「家族信託のニーズ拡大で知識・経験が乏しい『家族信託コンサルタント』が数多く参入している」と明かしています。

信託目的が不明確な契約や、受託者が信託財産を独り占めするような契約は裁判で無効となる可能性が指摘されています。専門家に十分な実績や知識があるか依頼前にしっかりチェックしたいものです。

また家族信託は財産管理を目的とする制度であり、例えば親が介護施設に入居する場合でも家族信託の受託者が代理人として入居契約を結ぶことはできません。身の回りの契約行為を含めて幅広く対応できるようにしておくには、あらかじめ後見人を指定する「任意後見」を活用するのも一案です。(任意後見制度の活用は、本人が認知症にならなければ発動する必要がありませんので保険的な位置づけになります。)

いずれにしても、家族信託は認知症の発症後に契約することは原則できません。認知症になった後も自身の希望に沿って財産を活用したいなら、早めの準備が重要となってきます。

家族信託は成年後見に比べて大幅に増加しています!

まとめ

認知症対策の切り札となされる「家族信託」は、認知度の上昇とともに、ますまるその利用が活発になっていくことが見込めれます。

認知症になってしまった後にできることは非常に限られています。(法定後見制度の利用ぐらいしか選択の余地がありません!)

今後も利用者が伸びることが予測される「家族信託」ですが、全国的にみても実績のある専門家が少ない状況が続いています。こうした家族信託を活用した相続対策の組成は、実績豊富な専門家のネットワークが必要不可欠です。

ディアパートナー行政書士事務所では、知識・実績とも豊富な、国内有数の家族信託実績を有する企業(トリニティグループ/トリニティ・テクノロジー株式会社)と業務提携しながら作業を進めますので、安全安心な全国トップ水準のサービスをご提供することが可能です。また、アフターサポートも業務提携と連携し、万全な体制で対応することが可能です。

とくに、受託者候補(子供など)が首都圏に在住している場合は、長野県(当事務所)と首都圏(トリニティG)の連携が極めて有効になります。お問い合わせや初回相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。

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