認知症になった場合、家族が保険手続き??

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

4月16日付け日本経済新聞に、認知症になってしまった場合の保険の手続きに関する記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

認知症に備えて保険の手続きを確認!

「せっかく加入しても、保険金の請求ができなければ意味がない」。こう話すのはファイナンシャルプランナー(FP)の清水香氏。80代の両親がそれぞれ契約する医療保険で、3月に代理人登録をしてもらったといいます。両親はいまのところ健康状態に大きな問題はありませんが、認知症などを今後患って保険金を請求できなくなるといった事態に備えるためです。

保険に加入する高齢者は増えています。生命保険文化センターの調査では、医療保険や医療特約に加入する80歳以上の世帯は2021年に8割超と18年の6~7割程度から増加しました。「80代でも契約できる終身タイプの医療保険が増えたことが影響している」と清水氏は指摘しています。

一方、厚生労働省の資料によると認知症の患者は2025年で推計約700万人と65歳以上の約5人に1人を占める見通しとなっています。このことから、何らかの保険に加入しながら認知症になる人も多くなってきそうです。

ただし保険会社は個人情報保護の観点から、原則として契約者以外に契約の有無や内容を開示しないのが原則です。保険の手続きも契約者や被保険者本人がするか、成年後見制度を利用する場合に限られることになります。

このため契約者などが認知症になると、家族が保険の存在や内容を知ることが難しくなったり、必要な手続きができなかったりする可能性がでてきます。

万一の際に代行

そこで選択肢の一つになるのが、前出のFP清水氏も利用する「指定代理請求制度」です。病気やけがなどで被保険者の判断能力がなくなった際に備えて、あらかじめ代理人を決めておけば、万一の際に被保険者に代わって保険金の請求と請求に必要な情報を照会することができます。

指定代理請求制度と並んで多くの保険会社が導入しているのが「家族情報登録制度」です。事前に登録した家族などが契約内容を教えてもらえます。契約者の判断能力が十分で、登録する家族の同意があることなどが条件となるといいます。2018年に導入したかんぽ生命保険は「高齢の新規契約者のほとんどが利用する」(契約サービス部)といいます。

生命保険の保険金は請求しないと受け取れないため、契約があることを知っていれば請求漏れを防ぐことができます。入院などで治療費がかかっても医療保険金を代理で請求することは基本的にできませんが、各社が個別のケースに応じて対応することが多いということですので、契約している保険会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

大手生保の一部がここ数年で導入し始めた「保険契約者代理制度」は、あらかじめ登録した家族などが代理人として契約内容の照会や住所変更、解約などをすることができるものです。2022年4月に金融機関の窓口販売商品からこの制度を始めた日本生命保険では「高齢の親などが加入する保険の手続きを代行したいといった問い合わせが増加傾向にあることに対応した」(お客様サービス部)と説明しています。

日本生命保険の制度で登録できるのは主に3親等内の親族で、契約者本人が家族を1人指定し、氏名や連絡先などを登録します。手続きが完了すると登録家族にも通知が送られてきます。日本生命保険のほか住友生命保険や朝日生命保険などが導入しています。

契約の有無を一括で照会

家族情報登録、指定代理請求、保険契約者代理制度はいずれも契約者や被保険者に判断能力があるうちに手続きをする必要があります。もしも手続きをする前に認知症になったり、亡くなったりしたらどうすればよいのでしょうか?

こうした場合に家族の保険契約の有無を一括で確認できるのが「生命保険契約照会制度」です。生命保険協会が2021年7月から運営を始めた制度です。法定相続人や3親等内の親族などが利用でき、照会する際には戸籍や診断書などの書類を提出します。利用料が1回3000円(税込み)かかりますが、生保42社に契約があるかどうかが分かります。

契約がある場合に家族などが保険会社に連絡すれば各社が個別で対応してくれるようです。ただし手続きには時間がかかるため、「加入している保険の種類や受取人、保険証券の保管場所などを本人と家族が事前に共有することが大切」(FPの田中香津奈氏)といいます。

損害保険でも生命保険と同様の仕組みを設ける例があります。東京海上日動火災保険の「親族連絡先制度」は、配偶者や2親等以内の親族を登録すれば契約者に代わって契約内容を確認することができます。損害保険ジャパンは被保険者に面会などで確認してから配偶者などに代理請求を認める場合があります。「被保険者が手続きできない場合の代理請求については商品の約款に記載するのが一般的。まず約款を確認したい」と日本損害保険協会では話しています。

各分野で認知症対策の運用が始まった!

長寿化の流れから、また、認知症の発症者が多くなる傾向から、ご紹介した保険会社だけではなく、各分野で認知症に対応した運用が始まってきています。

加入している各種保険を家族がすぐわかるように、エンディングノート的なものが必要なのでしょうか。こういった類の整理を始めると、すぐ「終活」と結び付けてしましますが、生身の人間、年齢順に動けなくなるわけではありませんから、若いうちから、こういった基本情報はきちんんと整理して、変更した都度、家族と情報共有しておくことは非常に大切になります。

私の場合は、証書、または通知を1冊のとじ込みファイルに入れて管理しています。家族も何かあったら、そのファイルを探せば、加入している保険商品などがわかるという仕組みです。(古い通知は、新しい通知が来た段階で入れ替えます!)

まとめ

長寿化の進展は今後も見込まれていますので、長寿リスクである「認知症対策」、「老後資金」などは、ますます深刻になるでしょうし、各分野での対策も進んでいくことでしょう。

前述していますが、2025年には、国民の5人に1人が認知症という厳しい見通しも厚生労働省から発表されています。

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