認知症、正しく恐れて! 創薬に期待も根治は難しく
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
2022年2月26日付け日本経済新聞「人生100年の羅針盤 認知症と生きる」に「病としての認知症」について記事掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。
アルツハイマー病をはじめとした認知症に備えるには、この認知症という病気を正しく知ることが大事になります。ふだんの日常生活にどんなに気をつけても、生活習慣病とは違って予防はなかなか難しいと考えられます。
がんのように早期発見・早期治療というシステムにも当てはまらない病です。年を重ねていけば、認知症を発症するリスクも当然上がっていきます。人生100年時代では誰もが避けて通れず、認知症と向き合っていくしかありません。認知症を正しく恐れるすべを身につけていきましょう。
今がいつ、ここはどこ?
昨年、ヒットした映画「ファーザー」は、今がいつで、ここがどこか、がわからなくなる認知症の恐怖を描いています。この映画は、名優アンソニー・ホプキンスが認知症を患った一人の老紳士の内面を好演しました。
家族なのに見知らぬ他人が突然、我が家に居座るように思え、大切にしてきた時計や家具が次々となくなっていく。認知症の人たちの視点で描いたまか不思議な世界を再現しています。
お風呂に入るのを嫌がる、目的もなく歩き回る、といった周囲を困らせる行動をとるわけを理解する一助になる書籍「認知症世界の歩き方」(ライツ社)も興味深い一冊です。認知症とは「認知機能が働きにくくなったために、生活上の問題が生じ、暮らしづらくなっている状態」のことと同書は訴えています。
認知症は老化現象に伴う深刻な物忘れと思っている方もいることでしょうが、れっきとした脳の病気です。患者の7割近くを占めるアルツハイマー病の場合、医学的には脳の海馬が萎縮する神経変性疾患として位置づけられ、時間や空間をとらえる認知機能がじわじわと衰えていきます。
今なお、発症の仕組みは詳しくはわかっていないが、50代、60代から脳にたまっていくたんぱく質「アミロイドベータ」などが原因となり、神経細胞を壊していくとされています。
「5分おきに同じことを繰り返し聞く、ものがなくなり盗まれたと騒ぎ立てる。こうした言動は認知症の症状であって、人が変わってしまったわけではない。胃潰瘍で胃が痛い、狭心症で胸が痛い、と同じように捉えてほしい」。こう助言するのは横浜市立脳卒中・神経脊椎センター臨床研究部長の秋山治彦さんです。家族にとっては理不尽なことが日常生活で繰り返されがちですが、それでも「周囲の人の接し方次第で症状は変わることもある」と話しています。
アルツハイマー病、米では新薬承認、日欧は未承認。
昨年夏、アルツハイマー病の進行を食い止められると期待される初の新薬が米国で承認されました。米バイオジェンとエーザイが共同開発した「アデュヘルム(一般名アデュカヌマブ)」です。この新薬、欧州では承認されず、日本でも臨床試験の結果が十分でないとの当局の判断から、承認は見送られています。
とはいえアデュヘルムの実用化で、アミロイドベータを標的とする創薬が今後大きく前進することは間違いないとされています。10年単位で考えると、根治はできなくても、大幅に症状をやわらげる薬はいずれ登場することになるでしょう。
認知症は進行すると幻聴や妄想、徘徊(はいかい)や暴力を振るうといった周辺症状が出るケースも少なくありません。故に社会のスティグマ(差別や偏見)を生みやすい社会的構造になります。しかし、多くはこの病への理解の欠如と過度な恐れに起因しているに過ぎません。
地域や職域で「認知症サポーター」を養成する取り組みが始まっています。認知症に対する正しい知識を身につけ、理解を深める格好の場といえるでしょう。多くの人が認知症の人たちと接する機会をできるだけ持つことで、認知症と共生する社会は必ずや実現すると考えられます。
医療と介護の垣根解消を
2000年に介護保険制度が導入されて以来、認知症の人への支援が進みました。社会が寄り添う仕組みが広がり、介護する家族の負担も減りつつあります。認知症の人が集う「カフェ」などの取り組みも活発で、認知症への理解は着実に広がりつつあります。
これからは医療の世界が「認知症」とどう向き合っていくかが問われます。今のところ決め手となる治療法がなく、診断後にさじを投げる医療機関も少なくありません。
個人差はありますが、高齢だと認知症の状態での寿命は10年前後とされています。(ある統計では認知症を発症してからの平均生存期間は約7年間とされています。)
がんにおける緩和ケアや終末期医療のようなアプローチも必要になってくるでしょう。認知症には「医療」と「介護」の垣根の解消して取り組んでいくことが今後さらに必要になります。
低栄養も認知症を招く原因のひとつ
厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年度)によると、低栄養傾向の人の割合は65歳以上は16.8%、85歳以上は23.6%。高齢化が進む中、今後さらに比率が高まる懸念も指摘されています。
高齢者の中には「食べ物を飲み込めない」「食事の量が著しく減った」という相談が相次いでいるといいます。
フレイルの懸念も
背景には加齢による食欲減退だけでなく、かみ砕いたり飲み込んだりする力が弱まったことがあります。栄養不足を放置すれば、筋肉量が低下し運動が困難になり、フレイル(衰弱)が進行。さらに免疫機能が低下し、感染症や要介護につながりかねない事態となります。このように食の質が健康へのリスクを高める可能性もあるといいます。
九州大学の研究チームは1988年から17年間、福岡県のある自治体の住民約600人(65~79歳)を対象に血圧と認知症の関係性を継続調査。すると、中年期(50~64歳)に高血圧だった人は通常値の人より認知症を患う確率が約2倍になる恐ろしい結果が出たそうです。
高齢期の健康を維持するには塩分や糖質の過剰摂取を避けながら、不足しがちな栄養素を補うことが欠かせません。高齢者はこうした意識を高めることが求められるが、「何をどれだけ食べればよいのか分からない」といった声は多いようです。
手軽な対策として、おやつを有効活用するのがポイントだと専門家は話しています。
3回の食事を補う意識
高齢になれば、買い物や料理はおっくうになり、即席麺などで済ますことが増え、十分に栄養がとれないという悪循環に陥りがちですが、専門家は「栄養をおやつで補うと考えると、気持ちが楽になる」と話します。
注意すべき点は主に3つ。まず朝昼夜の食事で不足しがちな栄養を補う視点を持つことが欠かせません。例えば、たんぱく質やカルシウム、食物繊維などの栄養素です。
手軽に補給する方法としてチーズやヨーグルト、牛乳などの乳製品、ナッツ類のほか、野菜の甘みを生かしたスイーツが専門家のオススメだとか。
次にグラム数よりエネルギー量を確認する視点が重要となります。そして食べ過ぎは厳禁。1回あたり100~200キロカロリー程度にすると、食事への影響も出にくくなります。
おやつの摂取は午後3~4時が理想
「脂肪の合成を促進する遺伝子が最も少ない時間帯とされる午後3~4時ごろが理想的」といいますので、おやつの摂取の時間も意識したいものです。
最近はカロリーオフや減塩、栄養補助をうたう「機能性おやつ」も開発されているとのことですので、試してみる価値はありそうです。
まとめ
今回は認知症を「病気」という側面からみてきました。「医療」や「介護」の分野でも徐々に前進していくことが期待されますし、着実に前進していくことでしょう。また、食生活の分野でも研究が進んでいくことでしょう。
「社会保障」や「保険」などの分野でも「認知症対策」のサービス・商品が目立つようになってきました。
そして、法務サービス。私たちが取り組んでいる「相続対策」ですが、認知症に対応できそうなサービスは拡がりをみせていますが、それを準備できるのは意思能力を有した認知症発症までの段階までです。認知症になってしまった後の対応策は「法定後見」に限られてしまいます。
いざという時のための準備を元気なうちに行っておくことが大変大事ですし、準備することがご家族の安心安全な生活にもつながります。なによりもご本人の安全安心につながります!
ディアパートナー行政書士事務所では相続対策に特化した行政書士として、家族信託をはじめ、遺言や任意後見など生前の相続対策のご相談に随時応じておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。