見直しのススメ、サブスクリプションの注意点は?
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
前回のブログで銀行口座や証券口座、クレジットカードなどの申込と(不要なものの)解約のススメとともに、サブスクの見直しについても言及しました。
音楽や動画配信の「定額使い放題」などでおなじみのサブスクリプションです。
今回は、サブスクリプションの見直しのススメとその注意点についてです。2022年7月14日の日本FP協会「いまどきウォッチング」に、「サブスクリプションの注意点」についての記事が掲載されていましたので、それについて投稿していきます。
「サブスク」(もう既にサブスクリプションというよりサブスクの方が一般化しているかもしれませんが(笑))と言われるサービスはコロナ禍による外出自粛などでその普及が一気に進みました。
それに伴い解約に関わるトラブルも浮上しています。関連法の整備も進められていますが、改めてサブスクリプションの注意点について確認していきましょう。
「解約できない」トラブル、苦情も増加中
サブスクリプション(subscription)は略称の「サブスク」として言葉の認知度も上がり、コロナ下での外出自粛などもあいまって、私たちの生活にすっかりなじんできた感があります。
改めて、サブスクリプション(以下、サブスク)についておさらいしましょう。
もともとは英語で雑誌の「予約購読」「定期購読」の意味で、そこから転じて「有限期間の使用許可」、「定額課金」として使われるようになりました。
従来の一般的なビジネスはモノやサービスを購入して永続的に所有権を得る「買い切り」型ですが、サブスクはモノやサービスの使用権を購入し、利用したい期間に応じて料金を支払うビジネスモデルになっています。
代表的サービスでは月額定額制の動画配信サービスや音楽配信サービスがあります。ほかにも、様々な新しいサブスクサービスが登場して、その市場は活況を呈しています。
活況を呈する一方で、サブスクに関するトラブルや苦情もまた増えています。
国民生活センターによると、全国の消費生活センターには2021年度以降、サブスクに関する相談が毎月500 件程度寄せられているということです。
「動画配信サービスの解約を忘れ、利用していないにもかかわらず代金を請求された」、「通販サイトの有料会員に登録したメールアドレスがわからず、解約できない」、「1週間の無料体験のためにダイエットトレーニングアプリをダウンロードした後、退会したと思っていたら自動更新され、クレジットカードから引き落としされていた」など、解約に関する内容の相談が目立っているようです。
2つの法改正で事業者の取り組み促す
このような実態を受け、法律面からこれらを規制する大きな動きがありました。
まず、2022年5月25日の参議院本会議で改正消費者契約法が成立しました。消費者契約法は事業者と消費者の契約について、消費者の利益を保護するための法律です。
今回の改正ではサブスクなどの消費者契約における事業者の努力義務として、解約に必要な情報を提供すること、解約料の算定根拠を説明することが追加されました。
サブスクリプションの契約を巡っては、消費者庁が2019年から検討を重ねていました。
消費者庁は2021年9月に公表された「消費者契約に関する検討会」の報告書の中で「サブスクリプション契約においては、締結の容易さに比して、解約手続きが困難に設定されている場合がある等の運用があり得る」と問題を提起、契約解除時の丁寧な情報提供を努力義務とするなどの対応策を提案していました。
消費者庁の検討会では、強制力のある義務とすることを求める声もありましたが、結局は努力義務でまとまりました。
また、電子商取引(EC)の表示ルールなど通信販売取引を規制する特定商取引法(特商法)が改正され今年6月1日に施行されました。
こちらは利用者が増えているインターネット通販によるサブスクの契約についても関係がある内容となっています。
ECサイトの最終確認画面などで、①分量、②販売価格・対価、③支払いの時期・方法、④引渡・提供時期、⑤申し込みの撤回、解除に関すること、⑥申込期間があるときには、申込期間を表示する必要があること、などが新たに定められています。
さらに、表示をしなかった、または不実の表示をした事業者への罰則(最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金)も設けられました。また、解約手続きを電話のみで受け付ける場合は、その旨の表示が義務づけられました。
ガイドラインでわかる問題表示の例
消費者庁のHPでは「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」を公表しています。
このガイドラインでは最終確認画面で定期契約とわかるよう支払金額や契約期間、有料に切り替わる時期、解約方法など所定事項の明記などを、画面例を挙げながら示しています。
「いつでも解約可能と強調しておきながら、実際には解約方法を特定の手段に限定していたり、解約料が発生したりするなど、条件等が付いているにもかかわらず、具体的な解約条件等について『いつでも解約可能』等の文字から離れた箇所に、それと比較して小さな文字で表示しており、明瞭に表示していないもの」など、違反の恐れのある表示例とそのポイントが挙げられています。
改正特商法では、消費者を誤認させるような表示は禁止されており、事業者が消費者に誤認を与える表示を行ったり、表示しなかった場合、消費者は取消権を行使できることになります。これは利用者側もぜひ知っておきたい点です。
なお、この分野ではEUが先進的な取り組みをしています。例えばドイツでは「公正消費者契約法」が改正されました。
ドイツの「公正消費者契約法」では、「サブスク事業者はまず、ウェブサイト上の見えやすいところに『解約はこちら』という文言が書かれた『解約ボタン』を設けなければいけません。
そこをクリックすると消費者の情報や解約理由などを入力するページに移り、『いますぐ解約』という文言のついた『確認ボタン』をクリックすれば解約できるようになります。」(朝日新聞デジタル 2022.5.25記事)と、サブスクの解約が随分と容易になっています。
トラブル時には消費者ホットライン「188」へ相談を
前述のとおり、日本ではサブスクに関する法整備が第一歩を踏み出しましたが、利用者としてもトラブルにならないよう、引き続き自衛策が必要です。自らができる自衛策として、以下の対策が考えられます。
<契約時>
1)「契約条件」をよく確認する
2)「簡単に解約できるか」を確認する
3)トラブル時の事業者の連絡先を確認する
4)いつまで無料期間か、自動更新かを確認する
5)申し込み最終確認画面のスクリーンショットを撮っておく
<利用中>
1)利用中のサブスクをリスト化する
2)利用中のサブスクの利用状況を定期的に確認する
3)いつまで無料期間かを定期的に確認する
4)クレジットカード等決済手段の明細を毎月確認する
具体的な解約方法
具体的に解約する方法は、スマートフォンからの契約の場合、iPhoneでは「設定」→「サブスクリプション」、Androidでは「Playストア」→「定期購入」をタップ、契約のアプリを通じて解約する、というのが一般的な流れのようです。
パソコンから契約の場合はブラウザーから各サービスの公式サイトにログインして解約手続きを行います。
締め切り日に細心の注意を!
最も注意したいのは、締め切り日のタイミングです。
例えば実際の締め切りは月末最終日の14時59分で、15時~23時59分はメンテナンスのため解約不可、というサービスもあります。
「ギリギリまで使って解約」と思っていたら、時間を過ぎていて解約できず、翌月分も1カ月まるまる支払うことになりかねません。
念のため解約締め切りのタイミングは日付だけでなく時間も確認が必要な旨を注意しましょう。
解約方法が不明な場合は?
解約方法がわからない場合、一般的には「〇〇(サブスク名) 解約」でインターネット検索してその方法を検索するのが早道です。
それでも解決できない、事業者とのやりとりに疑問がある場合は、消費者ホットラインの「188(いやや!)」に相談することを覚えておきましょう。
「188」に電話をすると、最寄りの消費生活センターに繋がります。その際事業者とのやりとりなどを記録として残しておくと役に立ちます。
結構面倒くさいサブスクの見直しですが、物価が高騰している中、家計の節約のため「使っていないサブスクの見直し」をする人は確実に増えてくるものと考えられます。
まとめ
サブスクリプションとして新しいサービス提供も増えてきている中、本当に必要なサービスを継続し、不要なものは解約していくことは、家計の健全化のためにも大きな成果が見込まれます。
夏休みなど長い休みがとりやすいこの時期に、毎月数百~数千円くらいの課金が無駄に続いている状態のものがあれば見直しし、財布に優しい家計の運営を目指してはいかがでしょうか。
なお、見直しには、「サービスそのものの解約」のほか「プランの変更」なども含まれますので、それぞれの事情に応じた対応が必要になることは言うまでもありません。
これから、電気料をはじめ、食料品などの値上げも続きそうです。使っていない不要なサービスは積極的に見直していきましょう!