老後の生活「年金だけで暮らす」は可能なの?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

節分も過ぎて、春の足音が聞こえてきそうな時期となってきましたね。

令和5年2月10日付日本経済新聞電子版「学んでお得」に「年金生活」についての記事が掲載されていました。今回は「老後の生活を年金だけで暮らすことができるのか?」について考えてみましょう。

老後の生活は誰もが不安に感じるもの

老後の生活は誰にとっても不安が尽きません。生涯を終える時期やそれまでにかかる病気などが決まっていないわけですから、不安に感じてあたりまえかもしれませんが・・・。

老後を迎えてから「働かないで生活できるか」といった相談も寄せられますが、年金と貯蓄だけで生活している世帯は減少しているのが現状だです。

今回、年金の範囲内で生活する場合に、かけられる費用を試算してみました。

所得を年金収入だけに頼る世帯、大幅に減少し2021年で約25%

2023年度の年金額改定では3年ぶりに増額と発表されました。2022年度の食料品や光熱費などの物価上昇に配慮した形ですが、少子化に応じた支給抑制の仕組み(マクロ経済スライド)も影響しますから、実質は目減りとなる見込みです。

貯蓄が少ない年金受給世帯には不安な状況が続いている状況です。

現役世代の相談には、こうした年金のニュースを耳にして、老後、年金収入だけで生活することは難しいのではないか、という声も多く寄せられます。

年金を受け取り始める65歳を超えると病気やケガ、認知症のリスクも高まるため家計に不安を感じるようです。

現状どのくらいの年金受給者が、年金収入と貯蓄だけで生活しているかは、厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」が参考になります。

直近データによれば2021年で24.9%。さかのぼると2019年は48.4%、2017年は52.2%と、この4年間で所得を年金収入だけに頼って生活している世帯の割合が大きく減っていることがわかります。

年金額や生活費を知った上で貯蓄する

働かずに年金だけで生活するための方法はつぎの2つがあります。一つは「不足する分を貯蓄しておく」こと。そしてもう一つは「手取り年金額の範囲で生活する」ことです。当たり前かもしれませんがこの2つの方法しかありません(笑)

まだ貯蓄が可能な年代であれば、受給予定の年金手取り額と、生活費がどのくらいかかるかを調べ、その差額に備えておきたい期間をかければ、最低限生きていくためにためておくべき金額が算出できます。

備えておきたい期間は、65歳時点の平均余命から男性なら85歳、女性なら90歳までとしてもよいのでしょうが、「人生100年時代」ともいわれますから、100歳までなど長く見積もるとより安心かもしれません。さらに医療介護費として1人あたり500万円を目安にためられれば、不安は減ることになるでしょう。

年金範囲内で生活するなら収支管理を 一定の貯蓄は必要

二つ目の年金額の範囲で生活する方法を検討したい場合は、自分が受け取る予定の年金額で、毎月生活にかけられる費用を試算してみることが大事になります。

人によって最低限かかる金額は大きく異なります。たとえば、持ち家で住宅ローンを完済していれば住居費の割合は低くなりますが、賃貸の場合はどうしても高くなります。また、医療費の割合を落とせない人もいるでしょう。

そこで費目別ではなく、「生活に必要なお金」と「コントロール可能なお金」に分けて、目安となる割合に幅をもたせて生活費を考えてみましょう。

たとえば、会社員と専業主婦の世帯で予想される世帯の手取り年金月額が16万円の場合で考えていきましょう。

住居費が5万円かかるとき、住居費で約30%使うため、残りは約70%になります。このうち、今の生活費から老後をイメージし、食費や日用品費、通信費など生活費が9万円でまかなえそうであれば、ここまでが「生活に必要なお金」となります。

娯楽費などコントロール可能なお金には、12.5%の2万円をあてられることなります。

住宅ローンについてですが、年金受給までにローン返済が終わっていた方がより柔軟性が高まり、コントロール可能なお金が多くなります。

老後の生活費を資産してみたら

老後の生活費を試算してみることで、「年金の範囲で生活できそう」とわかったり、「月3万円不足するからその分パートをしよう」など具体的にプランが立てられるようになります。

働く期間を延ばして、年金の繰り下げ受給をすることができれば、年金受給額を増やすことができ、年金内での生活をする一手となりえます。

どちらの方法についても、早いうちに、ねんきん定期便やねんきんネットで年金額を調べることと、現在の生活費を把握し65歳時点でかかるお金を想定することが大切になります。

貯蓄目標がわかれば積み立てなどを始められる動機づけになりますし、年金だけでまかなえる生活費がわかれば、その金額を目指して、今から生活のダウンサイジングをはかることも可能となります。

ただし、施設入居を余儀なくされる場合などは、施設費がかさむこともありますので、貯蓄もやはり大切になってきます。

老後の生活は見込みがつけにくく厳しい状況は続きますが、老後不安を少しでも減らし、人生を前向きに乗り切るためにも、今すぐに準備を開始したいものです。

まとめ

自身の寿命や健康状況がどうなるのかは全く見込みがつかないため、老後の生活に不安を抱くのはしょうがないと思いつつも、何も考えず行動しないままで、老後を迎えるのはリスクが高すぎます。

政府の新しい資本主義実現会議は、昨年 11 月に「資産所得倍増プラン」を策定し、「成長と資産所得の好循環」を目指し、NISA の総口座数と NISA 買付額を 5 年間で倍増させる具体的な目標を掲げています。

その目標達成のために、NISA の抜本的拡充・恒久化など七つの政策の柱を打ち出しました。このうち NISA については、与党税制改正大綱において、NISA の抜本的拡充・恒久化を行うこととされています。

どの年代の方であれ、その方の年齢にあった老後資金対策があるはずです。現役バリバリの方、定年退職を意識し始めた方、すでに年金受給をしている方など、それぞれにできる対策はあると思います。ただし、早くから始めた方が選択肢も多いでしょうし、時間がありますので資産形成の可能性も高いのではないでしょうか。

「何が人生の幸せなのか」を考えることも必要

では、できるだけ長く働く続けた方がよいのでしょうか?

老後の不安をあおるような週刊誌などのメディアでは、経済的には「健康でできる限り長く働く」ことが推奨されていますが、それについても、「自分の人生にとって何が重要なのか」、「何に幸せを感じるのか」によって、人それぞれ違ってくるのではないでしょうか。

他にもやりたいことがあったにもかかわらず、ずっと働き続けて一生を終えてしまったなんてことにならないようにしたいと私は考えています。

老後になっても、いや老後になったほうが「ワークライフバランス」が重要なのではないかと考える今日この頃です(笑)

「老後の幸せな生き方」について、以下のブログもご参照ください↓

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