空き家解体、費用は?

今年も終盤を迎えていますね。こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

相続の発生で問題になることが多い「空き家」ですが、空き家解体にかかる費用に関する記事が令和4年11月6日付日本経済新聞電子版に掲載されていましたので、それに関連して投稿します。

私は「空き家相談士」という資格を保有しているほか、実家の空き家対策として「空き家バンク」を活用し、自治体を通じて子育て世代家族に賃貸しています。

空き家が手つかずでそのままにしているケースも多いわけですが、今回は「空き家を解体」した場合にかかる費用について考えてみましょう。

空き家の解体では重機を使うことが多い

千葉県に住む40代の女性会社員Aさんは今月始まった実家の解体工事について「台風や地震で万が一倒壊したときの被害が心配だった」と話しています。

千葉県内で一人暮らしだった母が亡くなったのは2022年3月で、実家はAさんが相続しましたが、自分で住む予定はありませんでした。実家は築50年超と古く、1階と2階あわせても約45平方メートルと狭いためです。最寄り駅から徒歩で約15分かかることもあり、貸したり売却したりできる見通しもつかなかったようです。

Aさんの実家は住宅が立て込む密集地にあり、敷地面積は約40平方メートル、幅数メートル程度の道路に面しています。解体費は200万円前後の見込みだといいます。建物を取り壊して更地にすると固定資産税が高くなりますが「隣近所に被害が出ることを避けるにはやむを得ない」とAさんは話しています。

鉄骨、RC造は解体に手間がかかる

総務省の調査によれば、全国の空き家は2018年に約850万戸と1998年に比べて5割弱増えています。空き家は親など親族が亡くなって相続で取得するケースが多く、維持・管理費が負担になりやすくなっています。維持・管理費の主なものは、定期的な手入れの際に必要な光熱費や水道代、万が一の火事に備える火災保険料などになります。

住宅の立地条件などが悪く、賃貸や売却が難しければ、建物を解体するのが一案だといいます。NPO法人、空家・空地管理センターの伊藤雅一理事は「現地をみたとき更地の方が老朽化した家があるより状況が分かりやすいため、買い手が付きやすくなる可能性がある」と指摘しています。

また相続した土地が不要な場合に国に所有権を引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月から始まりますが、この対象となるには多くの条件があり、更地にすることは条件の一つとなっています。

それでは、空き家の解体費は一体どれくらいかかるのでしょうか。まず知っておきたいのは、規模が同じ建物でも構造や立地によって費用が大きく変わるという点です。

家屋の構造は主に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)があります。鉄骨造とRC造は木造に比べ頑丈なため解体に手間がかかり、工期が長くなりやすい傾向にあります。鉄骨造とRC造は、廃棄する建材の量も多く、運搬・処理を含めた解体費は一般的には高くなります。

立地では空き家が住宅密集地にあるかどうかがポイントになります。密集地に明確な定義はありませんが、建物の前面が接する道路が幅4メートル未満、隣家との距離が60センチメートル未満とする考え方があります。

道路幅が4メートル未満など狭くなると、一般的な戸建ての解体で使う中型重機を搬入できないことがあります。そうした場合の多くは小型重機を使うために作業効率が落ち、工期が長くなりやすくなります。隣家との距離があまりなければより人手を掛けた作業が必要になりがちで、費用がかさむのだそうです。

構造と立地で費用にどの程度の差が出るかについて、解体工事の一括見積もりサービスを手掛けるクラッソーネ(名古屋市)に延べ床面積約100平方メートルの空き家の場合で試算してもらったところ、密集地にあるRC造が280万円程度と最も高くなりました。この金額は非密集地にある木造を約130万円上回ります。これはあくまで目安の一つで実際の費用は物件ごとに異なりますが、参考材料にはなりそうです。

石綿は除去費が発生

構造と立地以外の要因で解体費が増えることも多いようです。都市部で目立つのが敷地いっぱいに家が建ち、重機を入れるスペースがない場合です。場所をつくるため建物の一部をバールなどを使って手で壊す必要があり、費用増につながります。

建材にアスベスト(石綿)を使っている建物は除去費用が発生します。石綿は吸い込むと肺がんなどを起こす恐れがあり、2006年9月に含有製品の製造・使用が全面禁止されました。クラッソーネの最高執行責任者(COO)、堀口晃司氏は「禁止前に建てた家の多くは石綿を含む」と話しています。敷地に浄化槽といった埋設物や大きな木・石がある場合も別途費用が必要になります。

それでは、解体工事に伴う家計の負担を抑えるにはどうすればよいのでしょうか。

まず大切なのは解体業者から相見積もりを取ることだといいます。「保有する重機や作業員の人件費などが業者で異なり、見積額に差が出ることは珍しくない」(伊藤氏)のだそうです。

工事の時期も注意が必要となります。家屋がある住宅用地は200平方メートルまで特例で固定資産税が本来の6分の1になっているが、更地にすると特例が原則外れます。「負担調整措置の適用で税額は3~4倍程度になる場合が多い」(総務省)ようですが、課税判断は1月1日時点なので、これ以降の解体を考えた方が良いようです。

仙台市や神戸市、東京都墨田区など解体に補助・助成金を出す自治体も多くなってきています。適用条件や金額は自治体により異なるため、解体したい空き家のある自治体の状況を確認する必要があります。

まとめ

相続した土地が不要な場合に国に所有権を引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が来年4月からスタートしますが、この対象となるには多くの条件があり、その一つの条件に「更地であること」があります。

たとえ、国に引き取ってもらえたとしても管理費用は発生しますので、よく検討したうえで判断することも大切になってきます。

もし、実家が売却・賃貸ができるのであれば、それを優先的に考えるのも良いかもしれません。賃貸するための改修費を補助する自治体もありますので確認した方がよいかもしれません。

ちなみに、私が実家を賃貸した際にも、改修費20万円を自治体に補助していただきました。

一番やってはいけないこと。それは「そのままにしておく」ことです!空き家の崩壊が進み、自治体から「特定空き家」に指定されると大変なことになります。

「特定空き家」とは、国土交通省が示している基本指針である「倒壊などの著しく保安上危険となる恐れがある状態」「著しく衛生上有害となる恐れがある状態」「著しく景観を損なっている状態」「放置することが不適切である状態」の4項目のいずれかに該当する空き家のことです。また空き家と判断する基準としては、水道やガス、電気などを1年以上使用していない、1年以上人の出入りがないといった要素を考慮して判断されます。

特定空き家に指定された場合、自治体から所有者に対して、特定空き家に対して修繕などの措置を行うように助言、指導、勧告、命令が行われます。命令に対して所有者が従わない場合は、50万円以下の過料が発生します。さらに、命令を受けても改善が見られない場合、行政代執行の方法によって強制執行が行われ、建物が解体されるケースもあります。これまでに特定空き家に指定された空き家が、行政代執行によって解体された事例は多くあります。たとえば神奈川県横須賀市の事例では、木造戸建て解体費用として約150万円、北海道室蘭市の事例では約800万円の費用がかかっています。

それだけでなく、特定空き家に指定されて自治体から勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。「住宅用地の特例措置」の対象ではなくなるため、固定資産税は更地の場合と同じように最大6倍にまで膨れ上がる可能性があります。

まとめの最後にもう一度。空き家の対策で一番やってはいけないこと「そのままにしておく」ことです!

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