確認しよう!住まいの保険とハザードマップ
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所 代表の瀧澤です。
最近、天気があまりよくないですね~。全国的に日照不足の影響で、野菜が高騰しているようです。最近、大きな自然災害が頻発しています。先月、静岡県熱海市で発生した大規模な土石流の映像は、自然災害列島に住む恐ろしさを印象づけました。
こうした教訓を生かし、私たちがせめてできることとして万一の場合の支えになる保険の加入状況を確認しておきたいものです。
住まいの被害をカバーする火災保険
生命保険や医療保険など「もしも」に備える保険の中でも、住まいに対する補償を担当するのは主に火災保険になります。
地震保険というものもありますが、東日本大震災後に認知度が高まったように、地震保険単独では加入できず、火災保険の土台を作った上でセットで加入することになります。政府と民間が共同で運営しており、どの保険会社で加入しても、地震保険の保険料や補償内容はどこでも同じです。
一方の火災保険は、「火災」の文字のイメージが強いですが、火災の他にも、風、洪水、雪、ひょう、落雷から、盗難や家に自動車が突っ込んできたような人災まで守備範囲は広くなっています。
それぞれの原因で家屋や家財が損害を受けた場合に保険金が支払われるが、漠然と「火災保険に入っている」とは認識していても、実際にどの災害でどこまでカバーされるかは加入している契約次第であり、思わぬ落とし穴もあり得るので注意が必要です。すぐにでも保険内容の確認をおすすめします。
例えば、今回の熱海のように雨が原因の土砂災害は火災保険の中の水災補償の対象になるが、地震に起因する土砂崩れであれば地震保険の守備範囲となりますし、地質が原因の崩落など火災・地震、どちらの保険によってもカバーされない事態もありえます。
水災補償の付帯率は7割程度
災害自体は水災補償の対象でも、実際に補償が受けられるかは契約したプラン次第となります。最初から水災補償がプランに含まれている契約もあれば、ないプランもあります。さらには、もともと付いている補償を「節約目的で外す契約者も最近は特に多い」(損保代理店)といいます。水災補償の付帯率は全国で7割程度にとどまるということです。
長野県でも、昨年、台風災害で千曲川が決壊し、新幹線車両基地が水没したのは、記憶に新しいところです。私は、あの災害後、実家の火災保険に水災補償が付いていなかったため、追加で加入しました。
実家は現在、賃貸していますので、私が追加加入したのは建物本体部分のみです。賃貸の場合は、家財部分は賃借人が加入することになります。持ち家の場合の火災保険は、建物と家財と分けて入る場合も多いので注意が必要です。
保険料は値上がり続く 更新も短期間に
最近、温暖化が原因なのかは不明ですが、世界中で自然災害が多発し、日本でも同様に自然災害が多発、保険料もジリ高になっています。
火災保険などの保険料は損害保険料率算出機構が公表する「参考純率」を目安に決められますが、機構は今年6月、平均1割強の参考純率引き上げを発表しました。
過去4年間で3度目の値上げで上げ幅は過去最大となっています。2022年度以降の契約者負担増に反映されることになります。
しかも契約期間についても現在の最長10年から5年へと短縮されるといいますので、長期かつ包括的に火災保険を掛けていた方がお得になった格好です。
ハザードマップのチェックを
最近の新たな常識になったものに「ハザードマップ」のチェックがあります。洪水など災害が起きた場合、危険が高いと思われる場所を地図上で図示したもので自治体などが発表しているほか、国土交通省のハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)の「重ねるハザードマップ」も一覧性があって使いやすいといわれています。
自宅の住所を入力すると、洪水や津波など複数の災害に対応した周辺の想定被害が色分けされて図示されます。昨年からは不動産取引時の重要事項説明において説明義務が不動産会社に課されるようになった大切な情報です。
ハザードマップで確認した上で、火災保険のスリム化を検討することはできるのでしょうか。
保険料の節約を検討する場合も一度、保険の基本に立ち戻って考えることです。保険が底力を発揮するのは「発生確率は低いが、起きると損害が甚大なケース」です。これらの自然災害はまさにこれに当てはまります。年間せいぜい数万円の節約で安心が毀損しないか、慎重な検討が必要です。
災害を機にサバイバル資金を考える
「どこで災害が起きても不思議ではありません」――。降りやまない雨の中、ニュースで連呼されるこうした注意喚起フレーズは災害多発列島に生きる恐ろしさを印象づけています。誰もが無関係でいられない、もしもの時に知っておくべき「サバイバル資金」の基本について考察します。
非常用バッグに最低3日分の現金を
何はともあれ非常用持ち出しバッグに入れておくべきなのが現金です。普段の生活ではキャッシュレス化が進み現金を持ち歩かない人も増えましたが、ライフラインさえおぼつかない被災地ではクレジットカードや電子マネー決済に頼ることは到底望めません。
非常用食料備蓄のガイドラインと同様「最低3日、できれば1週間」をメドに家族が生活できる現金を準備しましょう。夫婦と子ども2人の4人家族なら10万円程度と結構な額になります。高額紙幣(1万円札など)が使いにくい場面も想定すると、500円玉貯金をそのまま非常用バッグに入れるといったアイデアもありますが、500円硬貨は1枚7グラム強。10万円となると1.4キロとそこそこ重いので半額程度の活用が現実的となります。
預貯金は10~20万円 引き出せる措置あり
金融庁によると、東日本大震災で金融機関が営業再開までに要した時間はおよそ4日だったそうです。長めにみてもその程度で自分の預金口座からの現金引き出しが可能になるとして、問題はキャッシュカードや預金通帳、印鑑となります。これら貴重品は防災マニュアルの持ち出しチェックリストの常連であり、持ち出せるに越したことはないが、実は必ずしも不可欠ではありません。
なぜならば、大規模災害時には簡易な本人確認で引き出しが可能になる特例があります。日銀が被災地の銀行・証券・保険などの金融機関に対して弾力的な取り扱いを要請することで、多くの金融機関で1日10万円、ゆうちょ銀行では20万円まで通帳などがなくても引き出しが可能になります。ネット銀行の場合はコールセンターに連絡すれば原則、振り込み手数料なしで近くの銀行に送金してくれます。同様に保険会社や証券会社でも資産の現金化や資産を担保にした貸し出しが受けやすくなる措置を講じます。
この場合、重要なのが本人確認に使える身分証明証です。1枚で済む顔写真入りのものが望ましいといわれており、代表例がマイナンバーカード、運転免許証、パスポートの3つとなります。それ以外の健康保険証や年金手帳などはその他補助書類と組み合わせることで本人確認書類と見なしてもらえます。手続きをスムーズにするには口座番号も分かった方がいいので、番号が書かれた通帳のページをコピーして非常用バッグか、口座番号を控えておきましょう。
マイナンバーカードはマストの身分証明書
今後は、身分証明書のなかでも、マイナンバーカードはマストとなります。それは、避難所等での安否確認や食料・生活用品の支給するアイテムとして、活用していく計画があるためです。
そのため、マイナンバーカードが未発行の人は早く発行してもらい、携帯していることが、自分の命を守るために重要となります。
ゆくゆくは、健康保険証代わりにもなり、受診や投薬の履歴なども一元化して確認できるようになるわけですので、早めの対応をおすすめしたいところです。
3カ月は必要なサバイバル生活費
災害にあったとき、頼りになるのはやはり預貯金、なかでも全国ネットを持つゆうちょ銀行などです。長引く低金利で残高が増えないばかりでなく、下手をするとATM利用などで「手数料倒れ」になる口座だが、1つは準備し一定の残高を保持しておきたいものです。
今は、天災だけでなく新型コロナウイルス禍などで予期せぬ失職などもある時代です。失業手当の振り込みはどんなに早くてもおよそ1カ月後、多くは約2カ月後の受給と考えると、大体3カ月分は生活費を賄える資金をプールしておくべきです。
最近は投資を武器に早期退職を達成する「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」の流行もあって、ギリギリの生活費以外すべてを運用に回す人もいるようですが、サバイバル資金は別財布にして管理することが必要です。
再建支援金は最大300万円
被災し、仮設住宅に入居する事態になれば家賃は必要ないが、それ以外の費用はかかります。水道光熱費や駐車場代などに加え、生活に必要なテレビや冷蔵庫、家具などの負担もかかります。仮設住宅の入居期間は通常最長で2年間です。損害の一部をカバーできるその他の公的な制度は以下の通りです。
①被災者生活再建支援金
自治体レベルで適用対象と認定される必要がありますが、災害で家が全半壊するような大きな被害を受けた場合、生活再建支援金が受け取れます。住宅の被害の程度に応じた「基礎支援金」と再建方法に応じた「加算支援金」の2種類があり、合計で最大300万円まで受け取ることができます。必ずしも住宅資金とする必要はなく、生活費としても利用できます。
300万円はけっこうな金額ですが、東日本大震災のデータでは全壊住宅の新築費用は平均約2500万円にのぼります。多額の持ち出しが必要なのは変わりません。
②災害救助法に基づく応急修理
半壊などの住宅に対しては修理の「現物給付」という支援もあります。屋根や居室、トイレなど生活に欠かせない箇所の必要最小限の応急手当てといった位置づけとなります。1世帯あたりの上限は現在60万円弱です。
③災害弔慰金
不幸にして家族に死者が出た時は災害弔慰金の対象になります。上限額の範囲内で自治体ごとに支給額が決められます。上限は生計 維持者の場合500万円、それ以外のメンバーは250万円となります。
いずれの制度を利用する場合も自治体が窓口となり、罹災(りさい)証明書が必要な場合があります。被害に遭ったらまずはスマホなどで写真を残しておくと後々役に立つことが多いようです。
まとめ
最近の自然災害の多発。いざという時の補償としての火災保険・地震保険の加入内容の確認は今すぐに行いましょう。
そして、マイナンバーカードを持っていない方は、ぜひ、発行手続きを行いましょう。ゆくゆくは、どうせ必要になるものですので、防災の観点からも早く入手するのが賢明です。