相続手続き、最近便利になってきました!

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

当職は長野県松本市内において、家族信託や遺言書など相続対策の業務をメインにしている特定行政書士です。相続対策に関連して、相続がすでに発生している場合の遺産分割協議書作成など、相続の手続きについてもサポートさせていただいています。

最近はこの相続手続きにかかる手間や時間が省けるような法令や運用などの改正が行われています。

便利になった相続手続きのあれこれについて、日本経済新聞電子版2024年8月19日付け「相続手続き、手間少なく 預金・不動産で一括照会可能へ」を参考にご紹介していきます。

相続手続き効率化の進展

最近、相続で遺族などが直面する煩雑な手続きの効率化が進みつつあります。

2024年3月から被相続人(亡くなった人)などの戸籍情報について本籍地が遠かったり、生前の転居などで請求先が複数あったりする場合に最寄りの役場でまとめて取得できるようになりました。

これに続き、故人の財産を一括で照会できる制度が預貯金では2025年3月末をメドに、不動産では2026年2月に始まる予定となっています。

戸籍集め、最寄りの役場で完結可能に!

全国の市区町村と法務省をつなぐ「戸籍情報連携システム」が2024年3月から稼働しています。これにより、「相続人の負担が相当軽くなっている」と専門家は、法務省が始めた「戸籍の広域交付制度」について話しています。

相続で財産の分け方を決める際は相続人を確定するため、故人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本をすべて集める必要があります。なぜかといえば、出生から死亡までの戸籍を遡れば、例えば故人に離婚経験があり前の配偶者との間に子どもがいるといったことが分かり、故人の相続人を確定しることができます。

故人に転居などで複数の本籍地がある場合、子どもなど相続人や委任を受けた行政書士等は、これまで各地の役場に出向いたり、郵送で請求したりするなどの手続きを行い、すべての戸籍を集めるだけで数カ月かかることも少なくありませんでした。

しかし、今年3月に全国の市区町村と法務省をつなぐ「戸籍情報連携システム」が稼働したことにより、利用者が自分の居住地など最寄りの役場で申請すると、同システムを通じて例えば故人の出生時、転居時、死亡時の本籍地の役場から戸籍謄本をまとめて入手できるようになりました。

この手続きを申請できる人は「本人」「配偶者」「直系尊属」「直系卑属」に限られます。相続手続きでは本人はお亡くなりになっているので、「配偶者」「直系尊属」「直系卑属」の方になります。

この手続きの申請者は市区町村役場の窓口に出向いて手続きをする必要があり、戸籍謄本の取得に1通当たり450円がかかります。交付までにかかる日数は市区町村によってケース・バイ・ケースです。本籍地があった市区町村が少なければ当日交付も可能とする自治体があれば、数が多いと1週間程度かかるとする自治体もあるようです。

預貯金口座、マイナンバーとひも付けできる!

相続手続きを円滑に進めるには、故人がどんな財産をどれだけ保有していたかを確認することも重要になってきます。

遺言書を残していれば原則として遺言に沿って財産を分けることになりますが、遺言があるケースはまだまだ少ない状況です。遺言が残されていない場合は相続人が自力で財産を調べたうえで、遺産分割協議で誰が、どの財産を、どれだけ引き継ぐかを決めていきます。

まず預貯金は通帳やキャッシュカード、郵便物などを手掛かりに金融機関に口座の有無を問い合わせることになります。取引のあったことを確認できたら、死亡した日の残高証明書を請求します。ただ相続人は心あたりに一つ一つ尋ねるといった手間がかかりやすく、故人の口座のあった金融機関すべてをカバーできているかどうかの懸念も残ります。

預貯金口座探しの負担軽減につながる可能性があるのが、これから稼働が予定されているマイナンバーを活用した「預貯金口座管理制度」です。

個人が取引のある一つの金融機関で自分の口座をマイナンバーで管理することを申請し氏名、住所、生年月日といった本人を特定できる情報も提供します。本人が希望すれば預金保険機構を通じて、口座のあるすべての金融機関でマイナンバーとひも付けることが可能になります。

マイナンバーを活用した「預貯金口座管理制度」によって口座をひも付けた人が亡くなって相続が発生した際に、相続人が一つの金融機関に照会すると、故人の口座情報が一括して通知されます。ひも付けを申請できるのは原則名義人だけのため、被相続人が生前に手続きをする必要があります。

この制度を所管するデジタル庁では「2024年度末ごろに稼働させたい」としています。

全国の不動産所有情報を一覧にできる!

相続財産で預貯金と並んで金額が大きい不動産でも、物件を一括して照会できる「所有不動産記録証明制度」が2026年2月2日にスタートする予定です。

法務省が登記簿の名義人ごとに全国の所有不動産をリストにしするので、名義人が保有している土地や建物の種類、所在地、面積といった情報を一覧できるようになります。この制度を利用できるのは、名義人のほか相続人などが情報を請求できます。相続手続きでは本人はお亡くなりになっているので、相続人の方などが利用できます。

故人の保有不動産を調べる方法としては現在、固定資産税の納税通知書を確認したり、市区町村が固定資産課税台帳を基に不動産の所有者別にまとめた「名寄帳」を閲覧したりするなどの方法があります。ただし、いずれも市区町村役場管轄内の物件に限られています。

新制度となる「所有不動産記録証明制度」は全国の不動産が対象のため、故人の不動産の全容を把握しやすくなることが期待されています。

生命保険では「生命保険契約照会制度」が稼働中!

死亡保険を受取りなど、生命保険も相続手続きに深く関わってきます。

生命保険では、生命保険協会が提供する「生命保険契約照会制度」がすでに稼働しています。この制度は生命保険協会が契約の有無について生保各社に調査を依頼し、結果をまとめて回答するものです。

また、上場株式や上場投資信託(ETF)などの口座については、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報」に開示請求をすることによる、どの証券会社にあるかが分かります。ただし、非上場の投信などは対象外となっています。

相続税の納付・申告は10カ月内

相続手続きに関する戸籍集めや財産調べは「相続開始から2〜3カ月以内に終わらせたい」と専門家は助言しています。

故人に多額の借り入れがあることが分かったとき、相続人は預貯金などの資産も負債も引き継がない「相続放棄」をしたり、資産の範囲で負債を相続する「限定承認」をしたりすることができますが、相続放棄や限定承認は相続開始から3カ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があるからです。

また、相続税が発生する場合は、相続税の申告・納付は故人が亡くなった日の翌日から10カ月以内が期限となっています。

故人の財産が基礎控除(3000万円+600万円×相続人の数)を上回ると課税対象になり、相続税が発生します。ただし、自宅の土地の評価額を一定の条件で8割減とする特例や、配偶者は相続額が法定相続分か1億6000万円のどちらか大きな額までは課税されない特例などがありますので活用することが可能です。遺言書がない場合、特例が適用されるには期限までに遺産分割協議を終え、分割協議書を作成することが条件となります。

相即手続きの期限も相続人の色々な手間を考えると、結構忙しくタイトなスケジュールといえます。

登記義務付け、過料発生も!

相続手続きで最近制度開始となったものとして、今年2024年4月からスタートとなった「相続登記の義務化」が挙げられます。

この義務化により、不動産を引き継いだ相続人は不動産の名義を故人から自分の名義に変更する必要があります。2024年4月以降に発生した相続については故人の死亡から3年以内、2024年4月より前に発生した相続は2027年3月末までに登記をする必要があります。いずれの場合も正当な理由がなく登記を怠ると、10万円以下の過料が科されます。

相続登記は、故人の戸籍謄本のほか、遺言書がない場合は遺産分割協議書など必要な書類を添えて法務局に申請することになりますが、遺産分割協議がまとまるのに時間がかかったりするなどして期限に間に合わなければ、2024年4月に新設された「相続人申告登記制度」を利用することになります。この「相続人申告登記制度」を活用して、相続人の住所、氏名などを法務局に申し出れば、登記義務の期限が過ぎても過料の対象にはなりません。

相続登記の義務化

また、遺産分割協議についても2023年4月施行の改正民法で協議の期限が次のように設定されました。

2023年4月1日以降の相続は故人の死亡から10年以内、2023年4月1日より前の相続開始ですでに10年が経過している場合は2028年3月末までが遺産分割協議の期限になります。相続税の対象外だったり、相続登記期限の3年に間に合わなかったりしても最長10年の期間がありますが、10年内にまとまらなければ原則として民法で定めた法定相続分で分けることになります。

相続手続きの期限

相続手続きはディアパートナー行政書士事務所へ

ディアパートナー行政書士事務所では、今回ご紹介した「相続手続き」についての業務を承るほか、ご相談に応じております。

また、家族信託や遺言、任意後見、尊厳死宣言など相続対策全般のご相談にも対応しておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

当事務所では、税理士や司法書士、土地家屋調査士など相続に関係する各士業とも連携しておりますので、トータルでワンストップのサービスを提供することが可能です。お気軽にお問い合わせください。(土曜日・日曜日、時間外の対応も可)

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