相続で最低限保障される「遺留分」、取り戻すには期限内に請求!

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

2022年4月30日付け日本経済新聞に、遺産相続の場面で最低限保障される金額である「遺留分」に関する記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

遺産相続の場面で、最低限保障される相続分の「遺留分」を巡る争いが絶えないといわれています。なぜかというと、相続を円滑に進めようと考えて、遺言を残す人が増える中で、遺留分を侵害する内容の遺言が少なくないことになります。

もし、自分が相続人の立場で「遺留分を侵害」された場合は、どのように対応すればいいのでしょうか。

遺留分が問題になった事例

「500万円の遺留分を支払ってほしい」。大分県に住む専業主婦のAさん(58)は今年初め、兄にこんな内容の手紙を出したそうです。

2021年10月に、Aさんの母親が亡くなりました。Aさんの母親は、父親の死後、自宅を売却しアパートで独り暮らしをしており、遺産として、預貯金が約4000万円あったそうです。ところが母親は「全て長男(兄)に相続させる」という遺言を残して亡くなりました。

兄は「母の近くに住み、世話していた自分が全て相続するのは当然」と話しました。Aさんと妹、弟は「自分に都合の良い遺言を兄が書かせたのだろう」と納得せず、弁護士に相談。弁護士は「遺留分を侵害されているので兄に請求したほうがいい」と助言をしました。手紙を出して間もなく、兄はAさん、妹、弟の全員に「遺留分各500万円を支払う」と伝えてきたそうです。

公証人とは?

法律の専門家である公証人が、被相続人から聞き取った内容をまとめる「公正証書遺言」の作成件数はコロナ禍の影響もあり、2020年には10万件を割り込みましたが、2020年は再び10万件台を回復しました。

公証人というのは、国家公務員法上の公務員ではありませんが、国の公務である公証作用を担う実質的な公務員のことです。

公証人が担う公証事務は、国民の権利義務に関係し、私的紛争の予防の実現を目指すものであり、公証人が作成する文書には、強制執行が可能である公正証書も含まれます。

そのため、公証人は、単に高度な法的知識と豊富な法律実務経験を有していることが必要であるばかりでなく、職務の性質上、一方当事者に偏ることなく、中立・公正であることが求められます。この点で、一方当事者からの依頼を受けて、依頼者の代理人等として依頼者の公正な利益のために活動する弁護士や司法書士等とは異なっています。

公証人は、原則として、裁判官や検察官あるいは弁護士として法律実務に携わった者で、公募に応じた者の中から、法務大臣が任命しています。また、多年法務事務に携わり法曹有資格者に準ずる学識経験を有する者で公募に応じ、かつ、検察官・公証人特別任用等審査会の選考を経た者についても、法務大臣が公証人に任命しています。

公証人は、国の公務である公証作用を担う実質的な公務員ですが、国から給与や補助金など一切の金銭的給付を受けず、国が定めた手数料収入によって事務を運営しており、手数料制の公務員とも言われています。公証人は、全国で約500名おり、公証人が執務する事務所である公証役場は約300箇所あります。長野県内にも、松本市や長野市をはじめ、県内7か所にあります。

遺留分を侵害する遺言書

「特定の相続人に遺産の全部または大部分を渡そうと、他の相続人の遺留分を侵害する遺言を残そうとする人は少なくない」と弁護士の上柳敏郎氏)は話します。

そうした遺言内容を残そうとした場合、公証人は一般的に「遺留分を侵害するため紛争の恐れがある」と注意喚起をします。しかしながら、遺留分を侵害する遺言であっても有効なので、内容を再考しない被相続人は一定数存在します。

遺留分は原則、法定相続分の2分の1です。ただし、兄弟姉妹(被相続人・相続人とも兄弟姉妹の場合)には遺留分は認められず、相続人が父母のみの場合(被相続人である子供に配偶者・子がいない場合)には法定相続分の3分の1になります。

法定相続分は相続人の構成によって決まります。相続人が配偶者と子の場合はそれぞれ2分の1で、子が複数ならさらに等分します。遺留分はその2分の1になります。

例えば相続人が配偶者と子2人なら配偶者の法定相続分は2分の1、子は各4分の1。遺留分は配偶者が4分の1、子が各8分の1となります。

冒頭のAさんの相続人は子4人ですので、法定相続分は各4分の1、遺留分は各8分の1になる。母の遺産が4000万円なら、法定相続分は各1000万円となり、遺留分は各500万円となります。

遺留分を請求するには?

遺留分は請求しないと取得することができません。相続開始に伴って遺言の内容が明らかになり、遺留分の侵害を知った日から1年以内に請求する必要があります。また侵害を知った日が相続開始のかなり後になった場合でも、相続開始から10年を経過すると請求権は消滅します。

遺留分を侵害された場合、相続人の間で話し合って解決する方法と、裁判所に解決してもらう方法があります。後者はまず家庭裁判所に調停してもらい、それでも解決しない場合は地方裁判所での訴訟となります。

相続人同士で話し合う場合もこじれることが多いため、弁護士に依頼することが多いといいます。通常は侵害する人に内容証明郵便で遺留分を侵害されている旨と侵害額(請求額)を伝えることになります。

遺留分に詳しい司法書士は「遺留分算定の基礎となる遺産額には注意が必要」と話しています。被相続人から特定の相続人に生前贈与がある場合、2019年7月以降に発生した相続の場合は、相続開始前10年間の生前贈与分を遺産額に加算して遺留分を計算することになります。

例えば冒頭のAさんのケースで、仮に兄が母から生前の2017年に800万円を生前贈与されていたとすると、遺留分計算の基となる財産は相続開始時の預貯金4000万円に贈与分の800万円を加えた4800万円となり、遺留分は各600万円になります。

また、2019年7月以降に発生した相続の場合、遺留分の解決手段が金銭に限定されていることにも注意が必要となります。金銭以外のものを渡すと「思わぬ税金が発生する場合がある」と相続に詳しい税理士は指摘をします。

例えば金銭の代わりに土地を渡すと、土地を売却して遺留分侵害額を支払ったとみなされることとなり、土地を渡した側に譲渡所得税が課税されることになります。

遺留分争いの要因は?

遺留分を巡る争いが発生するのは、被相続人が特定の相続人に遺産の全部または大部分を渡そうとすることに原因があります。「遺留分を侵害しない公平な遺言にすることが大切」になります。特定の相続人に遺産の全部または大部分を渡さざるを得ない場合は、被相続人を被保険者、特定の相続人を受取人とする生命保険の死亡保険金を活用する方法も考えられます。

公正証書遺言のススメ

私は「遺言書作成のサポート」を行っていますが、この「遺留分」については常に配慮しながら、サポートすることに心掛けています。公証人が関与する「公正証書遺言」の場合、公証人と「遺留分」に関してもしっかりと打ち合わせを行います。

また、遺言書において法的効力を与えることを直接の目的としない記載事項である「付言事項」を活用するようにしています。付言事項には通常、家族へのメッセージや葬儀・納骨に関する希望などを記載します。これを活用し、なぜ、相続分に偏りが生じているのかや、争わずに仲良く助け合って暮らしていってほしいということ、感謝の気持ちなど、相続人に対して、 伝えたいことをしっかり理解してもらえるよう心掛けています。

遺言には、おもに自筆遺言と公正証書遺言があります(そのほか秘密証書遺言がありますが特殊なため除外)が、円滑な遺言執行を行うため、公証人が関与する「公正証書遺言」をお薦めします。

遺言執行者の指定

「公正証書で作成した遺言書」のなかで、遺言執行者を指定しておくことで、極めて円滑な遺言執行を行うことができます。争いを防止するうえでも、遺言執行者は「行政書士」や「税理士」などの専門職を指定することが有効になります。

ディアパートナー行政書士事務所で作成する「公正証書遺言」では、遺言執行者を指定した上で、その遺言執行者に万が一の事態(死亡など)が生じたときのために備えて「予備的遺言執行者」を指定しています。

まとめ

ディアパートナー行政書士事務所では、「公正証書遺言の作成サポート」や「家族信託を活用した相続対策」など、生前の相続対策に特化した取組を展開しています。

初回相談は無料で応じていますので、お気軽にご相談ください。↓

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