生涯未婚率が上昇基調、おひとり様は備えを厚くする必要が!

いよいよ日本各地が梅雨に入りましたね。みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

令和5年6月2日に厚生労働省が公表した2022年の合計特殊出生率は過去最低の1.26という数字でした。日本人の出生数も77万747人と、この7年で2割以上も減少しています。少子化が加速するなか、生涯未婚率も上昇を続けています。

「生涯未婚率=50歳時未婚率」が上昇基調

「生涯未婚率」とは、50歳までに一度も結婚しない人の割合を示す統計指標のことです。生涯未婚の人の割合を示す数値ではありませんが、50歳まで未婚の人は将来も結婚しない可能性が高いという前提で、生涯独身の人の比率を示す指標として用いられてきました。「45~49歳」と「50~54歳」の未婚率の平均値として算出し、配偶者と離婚したり死別した人は含まないようにします。

日本では1990年代以降、この生涯未婚率が急速に上昇し、国立社会保障・人口問題研究所の国勢調査に基づく算出では、1980年(昭和55)に男性2.60%、女性4.45%でしたが、2020年(令和2)に男性28.25%、女性17.81%となりました。

上昇の要因としては、「女性の社会進出の拡大」、「結婚・家族観の多様化」、「長寿化・晩婚化の進展」、「非正規労働者の増加」、「見合いや縁談などマッチング機会の減少」などが指摘されています。なお、日本政府は2019年、生涯未婚率という用語を「50歳時未婚率」にいいかえることを決めています。

2020年の国勢調査の年齢別未婚率の推移をみますと、25~29歳は男性で76.4%(1980年55.2%)、女性で65.8%(同24.0%)、30~34歳は男性で51.8%(同21.5%)、女性で38.5%(同9.1%)、35~39歳は男性で38.5%(同8.5%)、女性で26.2%(同5.5%)となっており、今後も生涯未婚率は上昇していくとみられています。

また、国立社会保障・人口問題研究所が2022年に発表した「出生動向基本調査(独身者調査)」(対象は18~34歳未婚者)によりますと、「一生結婚するつもりはない」と考える未婚者の割合は、1987年(男性4.5%、女性4.6%)以降、上昇傾向にあり、2021年には男性17.3%、女性14.6%となっています。

おひとり様は備えを厚く 収入減に保険、介護へ貯蓄

こうした、一度も結婚しない「おひとり様」が増えている状況ですので、今回はお一人様の備えを考えていきましょう。

結婚や家族についての考え方は人それぞれですが、結婚せずにずっと一人で暮らすことを考えているのであれば、早めに将来の家計について考えていきたいものです。

それは配偶者がいる場合に比べて家計の基盤が不安定で、想定外の事態に弱いためです。

直近の国勢調査(2020年)によりますと、世帯人員が1人の単独世帯の比率が4割近くに達しており、夫婦や夫婦と子の世帯を大きく上回っっています。

未婚の割合はどの世代でも上昇しており、40歳では男性が30%、女性は20%、50歳でもそれぞれ26%、16%に上っています。

また、前出の国立社会保障・人口問題研究所の調査からみましても、今後も「おひとり様が増える傾向」は続きそうです。

おひとり様の家計では「余力」が乏しいことが挙げられます。収入に対し、家賃や水道光熱費など生活に必須となる支出の割合が大きいためです。

同居する配偶者やパートナーがいれば、片方の収入が大きく減っても生活への影響は比較的抑えやすいものですが、おひとり様の場合は収入が大きく下がると、家計が苦しくなりがちです。

まず、意識しておきたいのは「病気などで働けなくなるリスク」です。短期的ならば、貯蓄や公的な医療保険(健康保険)でカバーできるケースも多いと思います。

健康保険では連続4日以上休業すると、傷病手当金として給与の約3分の2を受け取れます。ただし、傷病手当金の支給は通算1年6カ月までで、病気やけがなら治療費もかかってきます。特に30〜40代になったら、療養が長引いたケースを考えておきたいものです。

療養の長期化への備えは貯蓄のほか、民間保険への加入が一案となります。就業不能保険は病気などで保険会社が定める「働けない状態」になると、60歳までなどの一定期間、毎月10万円や15万円といった給付金を受け取れます。

加入する年齢や商品にもよりますが、月15万円の給付を65歳まで受け取れる契約を40歳でした場合、保険料は月3000円台といった例があります。いったん給付が始まれば、復職しても保険期間中は給付金が出続ける商品も出ているようです。

病気やけがで入院した場合に給付がある医療保険も選択肢になります。「治療費の支払いなどで減った預貯金を給付金で補うことができる」とファイナンシャルプランナー(FP)の畠中雅子さんは話しています。

民間の保険への加入を検討する際には、保障内容や保険料をよく見極めたいものです。深刻な事態への備えは必須ですが、それ以外は保険料を抑えて、貯蓄に回すほうが家計の自由度は高まります。例えば就業不能保険では、傷病手当金が出ている間は給付金の金額を半分に抑え、その後は満額を受け取るタイプを選ぶなどして保険料を抑えるのも一案となります。

FPの水島幸代さんは「おひとり様の家計相談では、家に関するものが目立つ」と話しています。賃貸住宅に住み続けるのがよいか、購入するならどれぐらいお金がかかるか、といった内容で、30〜40代の女性が多いといいます。

自分の住まいを確保すれば将来の安心につながりやすく、老後の生活設計も立てやすくなります。ただし、シングル向けのマンションの相場は3000万円台とされ、東京都内ではもっと高額な場合も多いようです。住宅ローンを組む場合は自分の年齢や収入を踏まえ、より無理のない返済計画を立てる必要があります。

資産としての持ち家にこだわらなければ、賃貸住宅に住み続けることも選択肢になるでしょう。仮に家賃が月5万円の物件に40歳から50年住むと、単純計算で3000万円で、費用は持ち家と大きく変わりません。しかし。働き方などに応じて住み替えやすいというメリットがあります。

賃貸住宅に住み続ける場合は、老後に家賃を払い続ける分、現役時代から貯蓄などで備える必要があります。高齢になると家賃の低い物件に移りたくても、年齢が障壁となるケースもでてきます。

持ち家と賃貸のどちらにするかは個人の好みですが「家を買うなら早めに検討することが望ましい」(FPの水島さん)。おひとり様の場合、40〜50代で多額のローンを組むと現役時代に払い終えるのが難しくなるためだといいます。

高齢になると自分自身の介護も大きな問題となりやすくなります。配偶者や子どもがいれば介護の一部を頼めるかもしれませんが、おひとり様は第三者にお金を払って介護をしてもらう必要がでてきます。

生命保険文化センターの調査(2021年度)を基に計算した、1人の介護にかかる費用は平均で約580万円に上ります。しかし、介護が長期化したり、要介護度が重くなったりして有料老人ホームなどの施設に入れば、金額はさらに膨らむことになります。

FPの畠中さんは「おひとり様は施設に入居するケースが多い」と指摘しています。施設に入った場合の費用は「月額20万円以上かかるのが一般的で年金だけでは通常は足りない」(畠中さん)といいます。施設の選択肢を広げるなら、介護費用として1000万〜2000万円を用意するのが理想といわれています。

介護を意識するような年齢になったら、いざというときに様々な手続きをしてくれる人を確保しておくことも重要になります。

例えば入院や介護施設の入居など、保証人がいないと不便なことがあります。親族や友人に頼めると良いのですが、難しければ民間の身元保証サービスを契約することなどが選択肢となります。

自分が入る墓や葬儀についてもあらかじめ準備し、自身が亡くなった後の役所への届けや遺品整理などの支援も、死後事務委任契約として依頼しておきたいものです。民間のサービスでは100万円を超えることもありますが、関係の薄い親族らに負担を掛けずにすみます。

少ない年金、運用でカバー

「女性のおひとり様は男性に比べて年金が少ないので入念な準備が必要」と社会保険労務士の佐藤麻衣子さんは指摘しています。2021年の会社員の平均年収は男性が約550万円で女性は約300万円(国税庁調査)。この金額で40年間勤めると65歳から受け取る老齢厚生年金の手取り額は男性が約14.6万円で女性が約11.6万円になります。夫婦なら配偶者分が加わるが、おひとり様はこれだけが年金の受取り額となります。

一方で支出をみてみますと、総務省の家計調査(2022年)では65歳以上の単身世帯の消費支出は月平均で男女とも約14.9万円。年金での不足分は男性が月約0.3万円で女性が同約3.3万円。90歳までなら、男性が約90万円、女性が約990万円を別途用意する必要がでてきます。

老後資金の不足への対策の一つは長く働くことでもあります。「働いた分の収入を得られ、年金も増える」と佐藤さんは話しています。

親の介護で離職するおひとり様もいるが、親族で負担を分け合ったり、会社の支援制度を使ったりしてできるだけ働き続けたいものです。

また、現役時代の貯蓄や資産運用も欠かせません。「早いうちから積み立て投資などに取り組むのが有効」とFPの中村薫さんは話しています。対策としては、少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)といった税制優遇のある制度を使うことで効率よく老後の資産を形成することができます。

まとめ

今後も増加傾向がつづく「おひとり様」ですが、現役、しかも早いうちから準備がかかせません。特に女性の「おひとり様」は、早めの準備が必要です。

また、できる限り働き続けることで貯蓄や年金支給額を増やすことができますので、心身共に健康に留意することも非常に大切になります。個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)は加入年齢がさらに延長されることが見込まれていて、政府も長く働き続けることができるような制度を充実させています。

ここまでこのブログを読み進めると「暗い気持ち」になるかもしれませんね。しかし、極度の不安は持つのはやめた方がよいかもしれません。人生を楽しみながら自身の人生を全うするのが理想ですので、あまり不安がらずに、しかし準備は怠らずに進めていきたいものです。

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