生命保険信託の活用方法は?
今年も残りわずかとなりましたね。みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
令和4年12月9日付日本経済新聞電子版の「生保損保業界ウオッチ(生命保険)」に「生命保険信託」の活用についての記事が掲載されていましたので、それを参考に投稿します。
子どもが障がいを持っている場合に有効
今月初め、当職も参画している(一社)コスモス成年後見サポートセンター長野県支部中信地区会において、「成年後見制度について~親亡き後を考える」をテーマにお話をする機会をいただきました。
知的障がいの子をもつ親の会である「安曇野市手をつなぐ育成会」の会員様向けの会合でしたが、「親なき後」の知的障がい者の方の行く末を考える上で、国が用意する「成年後見制度」が必要となる場合も出てきます。
成年後見制度やその他に活用できる制度に関して、後見人に就任することが可能な行政書士が、説明項目を分担して説明させていただきました。
当職は、財産管理の一部として「使える制度や保険商品についてのご案内」をさせていただきましたが、その中で「生命保険信託」も詳しく説明させていただきましたので、そのエッセンスも加えて今回、投稿させていただきます。
生命保険信託とは?
「信託」というと、投資信託や金銭信託などの資産運用商品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。また、家族信託をはじめとした民事信託を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。
信託には財産管理機能(財産を管理・処分できる)、転換機能(目的に応じて財産の属性などを転換できる)、倒産隔離機能(財産を託した人が倒産したとしても影響を受けない)が備わっています。それらの機能を活用すると、様々な目的を実現するための仕組みづくりが可能になります。
例えば、子のために親(委託者)が金銭や株式などを信託し、「親亡き後は毎月○万円を振り込む」など、あらかじめ契約で決めた通りに信託銀行などに実行してもらうことが考えられます。
しかし子育て世帯にとって、信託するためのまとまった資金を用意するのはなかなか難しいのではないでしょうか。
そのため、生命保険に加入して死亡時に資金を残そうとする人が多いのでしょう。ただし生命保険だけでは、子どもが幼いとか障がいを持っている場合など、意図した通りの使われ方をするとは限りません。
このような懸念がある場合は、「生命保険信託」を活用して、事前に決めた通りの方法で死亡保険金を受取人に支払うことが可能になります。
私が、知的障がいの子をもつ親の会である「安曇野市手をつなぐ育成会」の会員様向けに「生命保険信託」について、詳しくお話させていただいたのは、こうした理由によるものです。
生命保険信託の流れは?
生命保険信託の具体的な流れは次のようになります。
①生命保険契約者(委託者)が信託銀行等(受託者)と信託契約を締結し、保険金請求権を信託する
②委託者死亡後、受託者は保険会社に死亡保険金を請求する
③保険会社が受託者に保険金を支払う
④受託者は第1受益者に金銭を交付する
⑤第1受益者死亡後、受託者は第2受益者に金銭を交付する
⑥信託終了時に受託者の元に残った財産は残余財産帰属権利者に交付する
①の契約時に、財産を渡したい相手(受益者)や信託終了時に残った財産を受け取る残余財産帰属権利者を決めておきます。
受益者の管理能力に不安がある場合などは、受益者の親権者等を指図権者に定めておき、受託者はその指示を受けて支払いを行います。
指図権者は財産の一部払い出しや支払い条件の変更なども行えます。
死後に使うための利用も
保険金を自分の死後の整理資金に充てるという利用法もあります。
三井住友信託銀行は自行が販売する所定の生命保険加入者を対象に「おひとりさま信託(生命保険タイプ)」を、プルデンシャル信託はプルデンシャル生命保険とジブラルタ生命保険の加入者向けに「終活サポート~マイ・エンディング・ケア~」を提供しています。
いずれの商品も、本人に代わり死亡保険金を請求・受領した上で、事前に指定された死後事務委任契約に関わる費用を精算します。
残余財産はあらかじめ指定した帰属権利者に支払われます。保険料支出のみで、手持ちの貯蓄を減らさずに済むメリットがあります。
利用しやすくなった生命保険信託
当職は、生前の相続対策に注力して取り組んでいますので、障がいのあるお子さんをもつ親御さん向けの対策についても、詳しく勉強させていただいています。
ダウン症の子をもつ税理士 藤原由親さんの著書「障害のある子の「親なきあと」対策」を読ませていただいたり、藤原さん自身のお話を伺う機会も得て、研鑽を積ませていただきました。
藤原さんの著書には、生命保険信託が以前より利用しやすくなったことが書かれています。(もちろん、障がいのあるお子さんをもつ親御さんの立場から書いていらっしゃいます。)以下は著書の一部を要約しています。
生命保険信託は、信託することができる財産は生命保険金のみですが、月々の保険料を支払うことによって(障がいのある子の)「親なきあと」のためのお金を準備することが可能になります。
生命保険信託という商品は以前からありましたが、最近、最低保険金額や手数料を安く抑えた商品が販売されていて、若い親世代にも利用しやすくなっています。
特に、プルデンシャル信託のプルデンシャル生命保険・ジブラルタ生命保険の加入者向けの商品は利用しやすいと書いています。
この商品は、最低保証金額がありません(他の商品は、1000万円以上などと設定されているものが多い)。また、契約時の手数料も5000円と安く設定されています。
なお、プルデンシャル生命保険では、死亡保険金受取人が障がいのある人の場合、死亡保険金を一括で受取ることに代えて、割増された年金額を、その障がいのある人が生涯受け取れる特約(愛の割増年金特約)をつけることができるそうです。この特約を付加することに対する保険料はかからないようです。
ここまで褒めちぎると、P生命保険の回し者のように思われるかもしれませんが、藤原さんの著書「障害のある子の「親なきあと」対策」には、そのように書かれています。
いずれにしましても、生命保険信託という商品は、最近使いやすくなってきているようです。将来の財産管理を考えるうえで、ひとつの有効なツールになる場合もあるかもしれませんね。
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