死ぬときに一番お金を持っている!75歳以上の純貯蓄高が最も多いという現実~家計調査報告(貯蓄・負債編)から~
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
先日、「家計調査報告(貯蓄・負債編) -2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」(総務省統計局)が発表されました。この統計のなかで、人生の終盤といえる75歳以上が保有する純貯蓄高が一番多い年齢層だとわかりました。私のブログでもたびたび書いていますが、「人生最期の時が一番お金持ち」という実態が統計上も裏付けられました。
上のブログでも紹介していますが、アメリカで刊行された「Die With Zero」という本の中では「死ぬときに一番お金を持っているというのではあまりにも悲しい人生だ。元気な内にお金を使って楽しい思い出を作ることができればどんなに素晴らしいだろう」と語られています。ところが現実は多くの人がやりたいことを我慢し、ひたすら老後に向けてお金をためようとしているのが現状です。このような状況が日本でも起こっていることがこの統計上で裏付けられたカタチです。
二人以上世帯の1世帯当たり貯蓄現在高
二人以上の世帯における2023年平均の1世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は、1904万円で、前年に比べ3万円、0.2%の増加となり、5年連続の増加となるとともに、比較可能な2002年以降で最多となっています。このうち勤労者世帯では、1474万円で、前年に比べ34万円、2.3%の減少となっています。また、二人以上の世帯の貯蓄保有世帯の中央値は、1107万円となっています。
勤労者世帯で貯蓄現在高が減少しているにもかかわらず全体では5年連続で増加しているということは、年金受給世帯などの勤労者世帯以外の貯蓄現在高は増えているということなのでしょうか。
二人以上の世帯について貯蓄現在高階級別の世帯分布をみますと、貯蓄現在高の平均値(1904万円)を下回る世帯が約3分の2(67.4%)を占めていて、貯蓄現在高の少ない階級に偏った分布となっています。
平均値が1900万円台にもかかわらず、中央値が1100万円台ということは、貯蓄現在高の少ない階級に偏った分布となっていて、年金受給世帯などの勤労者世帯以外の世帯(統計上は少数階級)の貯蓄現在高が多くなっていて、全体の平均値を押し上げているといった状況なのがよくわかります。
貯蓄現在高の内訳は、通貨性預貯金が15年連続の増加しており、定期性預貯金が2年連続の減少となっています。
貯蓄の種類別に貯蓄現在高の推移をみると、通貨性預貯金及び有価証券は、前年に比べ増加となっています。通貨性預貯金は、660万円で、前年に比べ26万円、4.1%の増加となり、15年連続の増加となっています。 定期性預貯金は、537万円で、前年に比べ41万円、7.1%の減少となり、2年連続の減少となっています。
このことから「普通預金」や「株式」などは増加する一方、「定期預金」は減少していることがわかります。世の中が「貯蓄から投資へ」という流れになってきているのでしょうか。
二人以上の世帯の1世帯当たり負債現在高
二人以上の世帯における2023年平均の1世帯当たり負債現在高(平均値)は、655万円で、前年に比べ79万円、13.7%の増加となっています。このうち勤労者世帯では、1009万円で、前年に比べ130万円、14.8%の増加となっています。また、二人以上の世帯の負債保有世帯の中央値は、1422万円となっています。
二人以上の世帯に占める負債保有世帯の割合は約4割(39.3%)となっており、住宅・土地のための負債が負債現在高の約9割を占めている状況です。負債保有世帯では、負債現在高の平均値(1667万円)を下回る世帯が約6割(55.3%)を占めています。
負債の種類別に負債現在高をみると、負債現在高の約9割(91.8%)を占める住宅・土地のための負債は、601万円で、前年に比べ75万円、14.3%の増加となっています。
やはり、大都市圏をはじめとした不動産価格の上昇の影響で、住宅ローン残高が膨らんでいることを物語っているということなのでしょうか。
純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)は70歳以上の世帯が最多
二人以上の世帯について世帯主の年齢階級別に純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)をみますと、50歳以上の各年齢階級では貯蓄現在高が負債現在高を上回っており、70歳以上の世帯の純貯蓄額は2425万円と最も多くなっています。一方、50歳未満の世帯では、負債現在高が貯蓄現在高を上回っており、負債超過となっています。
負債保有世帯の割合は40~49歳の世帯が67.9%と最も高く、40歳以上の世帯では年齢階級が高くなるに従って低くなっています。
40歳以上の世帯では多く世帯が多額の住宅ローンを抱えてつつ、なおかつ教育資金の支出も多くなっているということでしょうか。そして年齢があがるごとに住宅ローンの返済も進み、教育資金の支出も減ってくるということなのでしょうね。
人のためにお金を使う、思い出を作るためにお金を使う
今回の統計調査からも明らかなように、日本では70歳以上または75歳以上の世帯の貯蓄額が多いという実態が浮かび上がってきました。なぜ多くの人が「生涯お金を貯めよう」とするのでしょうか?
以前のブログでも書きましたが、やはり「老後不安」という「恐怖」があるのだと思います。ただ、恐怖のあまり必要以上に貯蓄を積み上げていくということに、私は少々疑問を感じています。
私も還暦を過ぎ、もう少しで厚生年金受給者になる年齢に差し掛かります。こういった年齢になって、体力や気力、記憶力、味覚なのの感覚などの衰えを徐々に感じ始めています。
例えば、「旅行に行く」とか「美味しいものを食べる」、「合いたい人に会いに行く」などの「思い出づくり」には、こうした衰えていくであろう能力がまだまだ残っている間に行動しておくことが自分の人生にとって大切なことなのではないかと考えています。
シニア層にとっては収支のバランスも大切ですが、「思い出づくりの時期を逃さない」という思考も必要になると改めて感じた統計結果でした。私はこれからも「人生の思い出づくり」に励みたいと思います!