新NISAのスタートまでもう少し、準備は?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

2023年も1ヵ月を切りました。2024年1月の新しい少額投資非課税制度(NISA)スタートまで1カ月を切っています。

私がNISA口座を持っている某ネット証券でも、既に「新NISA」の口座が開設され、投信などを積み立てる「つみたて投資枠」と上場株などにも投資可能な「成長投資枠」の口座別に設けられていて、発注もできるようになっていました。

私は2024年の年初から「投信の積み立て」を始めていこうと考えていますので、この年末年始にどの積み立て投信をチョイスするかをじっくりと考えていきたいと思います。

今回は「ドルコスト平均法」を活用した投資信託つみたてについて、日本経済新聞電子版「How To NISA」を参考に資産形成を考えていきたいと思います。

新NISAについては下のブログをご参照くださいね↓

「新NISA」をライフイベントにあわせて活用

新NISAは制度が恒久化するだけでなく非課税投資枠が拡大し、個人投資家に使い勝手のいいツールに生まれ変わります。新NISAでは、投信などを積み立てる「つみたて投資枠」と上場株などにも投資可能な「成長投資枠」に分かられています。もちろん「成長投資枠」でも「投資信託」は活用できますので、有力な投資候補先になります。それぞれの枠をどのように利用していくかは人それぞれでとても悩ましいところですね。

ただ、新NISAでは、途中で資産を売却しても投資元本分の枠が翌年に復活し、投資枠の再利用ができるというのが従来のNISAにはなかった大きな変更点です。ご自分の資金プランを考えながらライフイベントに合わせて柔軟に使いこなせるかが長期的な生活設計を左右していきそうです。

私のようなシニアにとっても、「新NISAでは非課税期間が無期限」という点を活用して、高配当の個別株式を良いタイミングで仕入れて、配当金の非課税を利用して、より多くの株式配当金を「自分年金」として受取っていくという手法をとることができますし、「個別株はちょっとコワイ」という方も投資信託商品の定期的な積み立てによって資産形成していくことも有効かもしれません。

「無期限で非課税」、言い換えれば「死ぬまで非課税」ということですので、60代前半だとしてもおよそ20年くらいは「非課税の恩恵」を享受できるのではないでしょうか。

「新NISAをやらない」という選択もありますが、せっかく政府が用意してくれた「資産形成の制度」ですので、ご自分の環境に合わせて、自身の資産形成の大きな味方にしていきたいものですね。

低コストで幅広く分散できる投資信託がオススメ

冒頭にも述べましたように、今回は「新NISA制度」の中でも「投資信託積み立て」について考察していきます。

新しい少額投資非課税制度(新NISA)は2024年1月にスタートしますが、前述のように既に1月の発注ができるようになっています。

メディアの情報によると、個人投資家の人気が高いのは様々な指数に連動するインデックス型投資信託のようです。運用担当者が銘柄やタイミングを選ぶアクティブ(積極運用)型に比べコストが一般的に低く、長期の資産形成に向くとされているのが理由のようです。しかし、インデックス型でもコストや対象の資産に違いがあり、場合によっては運用成績に大きな差がつくことも考えられます。

信託報酬だけでなく総経費率にも目配りを

楽天投信投資顧問は今月1日、全世界株を対象とする「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」の信託報酬を年0.0561%と、全世界株のインデックス型で最も低い水準に引き下げました。

信託報酬は投信の保有中に運用・販売会社などに毎日払う経費です。今年春から信託報酬の引き下げが相次ぎ、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」など数社が0.05775%で並んでいました。「Slim」は最低水準を目指すことを打ち出しており、今後の対応が注目されます。

「Slim」の今後の対応は?

「Slim」の今後の対応について、AERA 2023年12月4日号において「eMAXIS」シリーズの生みの親が語っている記事が掲載されていますので、ご紹介します。新NISA対象の投資信託で一番やってはならないことは──。

投資信託の中で最大規模なのは三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim」シリーズ。「全世界株式(オール・カントリー)」の純資産総額は1兆6864億円(2023年11月17日現在/以下同)、「米国株式(S&P500)」は2兆9114億円。AERA 2023年12月4日号では、このお化けファンドの生みの親、三菱UFJアセットマネジメント常務取締役の代田(しろた)秀雄さんに取材しています。

「ビールや牛乳など普段の買い物では定番商品を選ぶ人が多いものです。個人の資産運用においても定番商品となる投資信託を作りたいと考えました」(代田秀雄さん)

2009年10月に「eMAXIS」シリーズが設定されました。

「『eMAXIS』は数多くの金融機関で取り扱っていただけるようになりました。ただ対面販売のケースも増え、紙の目論見書(パンフレット)などを発行する必要が生じました。こうした書類の作成・印刷コストは軽視できない負担となります」(代田秀雄さん)

こうしたコスト負担が増すと低コストの維持が難しくなります。そこでペーパーレスのネット販売に限定し、種類を絞り、業界最安水準のコストを実現したのが2017年2月登場の「eMAXIS Slim」です。

eMAXIS Slimは、後から安い競合商品が出ると、信託報酬を同率まで引き下げてきました。記憶に新しいのは今年7月に野村アセットが「はじめてのNISA・全世界株式」を信託報酬0.05775%で出してきた時、「eMAXIS Slim 全世界株式」の信託報酬は0.1133%でした。半額近いコストの競合商品の登場に追従すれば、三菱UFJアセットが得る利益もほぼ半減することになります。「eMAXIS Slim 全世界株式、0.05775%に引き下げ」となったのは9月8日と、いつもより遅い対応でした。

「引き下げを検討する際、当社は超長期で考えます。数十年でどれぐらい残高が伸びれば、健全に運用していけるのか。eMAXIS Slimのスケールメリットを生かした新たなコスト調整を実現できないか──」(代田秀雄さん)だから時間がかかった、と。

投信商品の一番の禁忌は償還

「私どもが心に刻んでいることがあります。投資信託、特に新NISA対象の投資信託が一番やってはならないことは『償還(運用打ち切り)』です。永続的に安定運用を続けることが最重要と考えます」(代田秀雄さん)

12月1日から「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」が信託報酬を0.0561%に引き下げると発表しました。全世界株式に限らず、今後もこうしたコスト競争は続くことになるでしょう。

AERA 2023年12月4日号では、「信託報酬の引き下げの裏に綿密な試算はあるのか?」、「ほぼ永遠に運用を続けられるだけの根拠は?」といった考え方も取り入れながら、ほったらかし新NISAのお供にする投資信託は、20年後も30年後も笑顔で運用していそうな投資信託を選びたいと結んでいます。

信託報酬と総経費率はどれくらい違うの?

運用内容が同じならコストが低いほど資産は増えやすいため投資家には恩恵になりますが、信託報酬だけで判断するのは避けた方がよいようです。

なぜならば、投信の保有中は海外資産の保管費用や連動指数の使用料など「その他費用」もかかりますので、信託報酬にその他費用を加えた「総経費率」に目配りすることが大切になります。「総経費率」は売買手数料を含みませんが、保有コストの全体像に近いからです。

では、信託報酬と総経費率はどれくらい違うのでしょうか? QUICK投信分析評価サービスのデータで計算すると、株式を対象としたインデックス型の信託報酬は新NISA全体で平均年0.44%。総経費率は1.2倍の0.53%となります。個別の投信においては総経費率が信託報酬の2〜3倍に達する例もあるということです。

総経費率も個別のインデックス型でばらつきがあり、0.2%以下が2割を占める一方、0.8%超も2割もあります。

新NISAは金融庁が定めた基準を満たす低コスト投信などが対象の「つみたて投資枠」と、幅広い投信や個別株が選べる「成長投資枠」に分かれており、それぞれを併用することができます。

「成長枠のインデックス型の平均総経費率は、つみたて枠と共通の投信を除くベースで0.70%」(QUICK資産運用研究所の高瀬浩さん)といい、つみたて枠の平均総経費率0.33%の2倍強になります。

この総経費率の違いが資産形成にどう影響するのでしょうか?

コスト控除前の成績が全世界株指数の動きと同じで、1990年1月から月3万円を積み立て投資できたと仮定します。総経費率が0.2%なら、資産は2023年10月時点で6396万円に増えていました。総経費率が0.8%なら5601万円で、約800万円少なくなる計算です。

投資信託の総経費率は従来、年1回や2回などの決算の際に作成する運用報告書で開示してきました。2024年4月以降は購入時の目論見書でも示すようになりるため、より確認しやすくなります。

総経費率は最初の決算までは計算できずにわからないため、信託報酬の低い新規の投資信託商品があってもすぐには飛びつかず、決算後に「総経費率を確認」してから判断するのも一手法です。

すでに低コスト投信を購入している場合、「総経費率」の少しの差なら乗り換える必要性は小さいといえます。ただ新NISA開始後に現在のNISA口座や課税口座から資産を移す場合は売却・買い直しが必要となりますので、低コスト投信に乗り換える絶好の機会といえます。

インデックス型投信、対象資産も成績を左右!

どの国・地域の指数に連動するインデックス型を選ぶかも慎重に考えていきたいものです。個人は直近の成績を基に投資判断をしてしまいがちですが、同じ傾向が続くとは限らないからです。

例えば人気の米国株。米S&P500種株価指数を全世界株指数(日本除く)で割った数値を長期でみると、米国株の上昇が目立つのはここ十数年です。2000年ごろまでは、米株と全世界株は一進一退で、その後2010年ごろまでは全世界株が優位でした。

一方、「アベノミクス相場」が始まる直前の2012年10月末以降で日本株、米国株、新興国株の推移をみると、日本株の上昇率が実は米国株を上回っています。投資家の間で日本は「低成長、低収益」という見方が強かったところに、企業収益がアベノミクスをきっかけに投資家の予測を上回って改善したことが株価を押し上げる結果となりました。

そして、新興国株は日米を大きく下回っています。2010年代前半で成長への期待が過大に織り込まれていた要因が大きいようです。高成長国への投資が常に高リターンとは限らないことも肝に銘じておきたいものです。

こうした点を踏まえると、新NISAのような長期投資では「幅広い分散」というセオリーに立ち返り、日本を含む全世界株に連動するインデックス型を選ぶのも有力な選択肢のひとつになりそうです。

全世界株指数に占める米国株の比率は6割ですので、米国株が引き続き好調でも恩恵を受けることができます。1割弱の日本株や1割強の新興国株が好調な場合も成績に反映されることになります。

分散投資でもう一つ見逃せないのが、為替の変動リスクを抑えられる点です。米国株だけに投資すると米ドルへの集中になります。しかし米ドルの総合的な指数である実質実効レートは現在、1990年以降の平均より2割強高く、反落の懸念もあります。世界株投信では通貨も各国・地域に分散することが可能です。

こうしたメリットをもつ全世界株を運用資産の基本にしたうえで、投資資金に余力があり、米国の配分をより高めたい場合には米国株投信を一部組み合わせるという選択肢もでてきます。

投信の品ぞろえ、ネット証券が優位

新NISA制度の「つみたて投資枠」の対象投信で取扱本数が多いのはネット証券です。SBI証券や楽天証券は200本強から選択できる見通しのようですので選択肢は広がります。対面の大手証券や大手銀行は数十本か十数本の品ぞろえのことが多いようです。地方銀行などでは数本という例もあるとのことです。

実際に積み立てを始める場合に多くの投信商品を使うとは限りませんので、低コストの品ぞろえが数本あればいいという判断もできるかもしれません。しかし新たに好条件の投信が登場したとき迅速に取り入れてきた過去の実績を考えると、品ぞろえではネット証券の優位性が際立っています。

新NISA制度の「つみたて投資枠」の年間の枠は120万円となっています。この枠を利用するには積み立て方式で購入する必要がありますが、年に2回以上の購入をすれば積み立てとみなされるということです。

積立額の設定方式には金融機関各社で違いもあり、定額積み立てに加えてボーナス月などに増額することも可能な場合も多いようです。年数回だけの積み立てを選べることもありますので、あらかじめご自分のNISA口座を確認しておきたいものです。

同じ定額積み立てでも、ネット証券などでは毎月だけでなく毎週、または毎日積み立てできる例もあります。ただ全世界株、米国株、日本株で過去数十年のデータを基に検証すると、毎日でも毎月でも資産額に大きな差はなかったということですので、毎日積み立てができることを金融機関選びの条件にする必要はなさそうだということです。

新NISA、使わないのは余りにももったいない!

若い世代では当然のことですが、60歳代のシニア世代であっても、平均寿命が90歳近くになろうとしている昨今の状況をみれば、およそ20年間は運用の時間が残されていると考えても良いかもしれません。(若い世代では50年以上の運用期間があるといえます!)

世界中の株式市場に影響を与える”投資の神様”といわれている「ウォーレン・バフェットの資産の99%」は60歳以降に形成されたそうです。複利の効果が大きく出ていることはありますが、シニア層でも「新NISA制度」を活用して資産形成する可能性が十分にあるのではないでしょうか。

「新NISAをやらない」という選択もありますが、せっかく政府が用意してくれた「資産形成の制度」ですので、ご自分の環境に合わせて、自身の資産形成の大きな味方にしていきたいものです。

投入する金額の多い少ないは別としても、大前提は「とりあえず資産形成に向けて早く取り組む」ことではないでしょうか。(ただし投資判断は自己判断でお願いします!)

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