定年後も働き続けた方がいい3つの理由
皆さんこんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所 代表の瀧澤です。政局も行方が気になるところですが、今回は”日経ウーマン”の記事から考察します。
「老後はノンビリ過ごしたい。あくせく働きたくないよ」と考える人も多いかもしれません。しかし、定年を迎えて仕事をパッタリとやめてしまうことには、リスクが伴います。定年後も働き続けたほうがいい、その理由は主に3つあります。
【理由1】長く働き続けたほうが健康でいられる
「65歳以上の就業率」と「1人当たり医療・介護費」で、各都道府県のそれぞれの数値をプロットした結果、65歳以上の就業率が高い地域ほど、1人当たり医療・介護費が低くなっていました。
働くことは、体を動かし、頭を使うだけでなく、心にハリを持たせ、自分が社会に必要とされているという自己肯定感を生みます。長く働き続けることは、健康面にもプラスの影響があります。
【理由2】年金以外の収入があると、長生きリスクに備えられる
働くことで得られる「収入」は、言うまでもなく、日々の生活を支えてくれます。生活スタイルや家族構成、年金額の多さにもよりますが、豊かな老後生活を公的年金だけで維持するのは、多くの人にとっては難しいでしょう。65歳以降に年金を受給するようになっても、プラスαの収入があることで、暮らしに余裕が生まれます。
さらに、月々の生活を賄えるだけの一定の収入があれば、年金の受給開始を遅らせることもできるのです。公的年金は、受け取りを65歳の受給開始時期から1カ月遅らせるごとに、0.7%ずつ増額されます。70歳まで遅らせれば42%増額、つまり支給額が65歳時に予定されていた額の1.42倍となります。このように、支給時期を遅らせることを「繰り下げ」といいます。
この繰り下げ受給、現時点では最大70歳までですが、「長く働く」という時代の変化に合わせて、2022年4月以降は75歳まで拡大されることになりました。65歳からの支給予定額が月10万円だったとしても、10年繰り下げれば、75歳以降にはその1.84倍となる月18.4万円が生涯支払われることになります(繰り下げ中に在職老齢年金が適用されるほどの高収入を得ることは考慮しない場合)。
寿命が長い女性(日経ウーマンですので女性向けです!)にとって、「長生きリスク」に備えることは特に重要です。どんなに長生きしても一生涯受け取れる公的年金は、その最大の備えになります。働く期間をできるだけ長くして受給開始を遅らせ、年金額を増やしておくことは、年を取って働けなくなってからの大きな安心につながります。
【理由3】「居場所」があることが、生きがいにつながる
定年を迎えても働き続けるシニアは、仕事を通じてやりがいや居場所を確保できます。仕事という形でなくても、ボランティアや趣味のサークルなど、世の中とつながりのある場を持つことが「心のハリ」にもなります。
厚生労働省の調査によると、「働いている・何らかの活動を行っている」という人が60代では7割以上、70歳以上でも5割近くに上ります。仕事を含め、ボランティアや地域社会活動(町内会、地域行事など)、趣味やお稽古事をしているシニアが多数いる、ということが分かります。こうした活動の場を急に失うと、喪失感や孤独感を覚え、心が不安定になってしまうこともあるでしょう。
「会社」という枠組みから解き放たれて、イキイキと過ごしているシニアの共通点は、「自分が快適に過ごせる居場所」を持っていることです。自宅と職場以外の「サードプレイス」を持つことも、定年後の「居場所」づくりには重要です。趣味や地域活動、ボランティア、生涯学習など、仕事に限らず活動の場を持っておくことで人脈が広がり、思わぬところから「仕事」が生まれることもあります。
自分が快適に過ごすことができる「場」の条件は、1.幸せが感じられること、2.充実感が得られる瞬間があること、3.夢中になれること、の3つ。これらを意識して、自分らしさが発揮できる居場所づくりを、現役時代から始めておくといいでしょう。
自分らしく「第2のキャリア」を築くには、40代から準備を
60代で自分らしくイキイキと働く女性たちのなかには、40~50代から準備していた、という人が少なくありません。
佐藤マリさん(仮名・66歳)は、義母の介護から手が離れた49歳のとき、保険会社で入力業務のパートを始めましたが、正社員と同様に働いても報酬が低いことが不満で、52歳で転職を決意。採用の年齢制限を超えていましたが、面接で熱い思いを伝え、ベンチャーの結婚相談所に正社員として入社しました。65歳の定年後は嘱託社員として再雇用され、婚活のオンラインコンシェルジュとして働いています。
子育てしながら食品メーカーで定年まで勤めた羽澄愛子さん(69歳)は、50歳のときに体調を崩して数カ月休職した際に、「定年後」を意識。以前から関心があった農業を学ぶため、月1回、「都会で学ぶこうち農業技術研修(こうちアグリスクール)」に1年間通い、定年後は長期研修のため、高知・四万十町へ。自然の豊かさに魅せられ、思い切って移住。野菜カフェを経営後、今は高知市でハウスきゅうりの栽培・加工販売や高知野菜の宅配などをされています。
この2人のように、自分らしい第2のキャリアを築くには、40~50代の現役時代に「学び」や「転職」などで興味のある分野に飛び込んでみることが大切です。
これまでに得たスキルで「できること」、「世の中から必要とされること」を棚卸しして、「好き」と重なる部分が、あなたにぴったりの「仕事」となります。
今、イキイキと働いている定年後の女性たちも、実際の行動に至るまでは迷ったり、やってみたらイメージと違ったり……といったこともあったはずです。まずは勇気を出して一歩を踏み出してみる。さらに、「私はこんなことが好き」「こんな活動をしている」と公言することも、「良いご縁」を呼び込むきっかけとなります。
まとめ
税制や年金制度などについても今後、議論が高まってくるのでしょうが、私たち庶民にとっては厳しい方向への改正しかないでしょうね。そうなると健康で長く働き続けるは、自分自身のためでもあり、労働力不足の解消・生産年齢減少の補完に向けた社会のためでもあります。そう考えると若いうちから心身ともに健康で過ごせる工夫と実践が必要になってきますね。