定年後、起業する場合のリスクと備えは?

 だいぶ日が短くなってきたのを最近特に感じます。こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所 代表の瀧澤です。

 今回は私自身も体感していますが、「定年起業」という定年後の働き方について、知っておくべきことを考えていきます。

「起業」はやりたいことがある人、組織に縛られたくない人に

 起業は、「やりたいこと」や「好きな仕事」などが明確にあり、それを誰からも束縛されることなく、自分の裁量で自由に仕事をしてみたい人に向いています。

 ただ、定年起業してすぐに安定収入が得られるようなケースはまれだといいます。現在活躍されている諸先輩もそうだったらしく、「決して慌てないこと」と言っておられます。

 そのため起業には、顧客を得るための地道なPR活動をいとわずできること、さらに事業がたとえ失敗したとしても経済的には困らないことが前提条件となります。

 経済的に厳しそうな場合、現在の勤め先が副業を認めているようなら、「再雇用で一定の収入を得ながら、やりたい仕事を副業として起業する」ことも一つの手でしょう。

 そうすれば、自分のペースで事業を軌道に乗せていくことができるはずです。再雇用終了後は、起業した事業をメインの仕事として、自分が辞めると決めたそのときまで、「やりたいこと」を続けることができます。

 いずれにしても、定年のない「生涯現役」は起業した人の特権です。

定年後の「起業」で心掛けたい3つのこと

1.ローリスク&ミドルリターンを目指す

 定年後の起業であれば、収入を増やすこと、事業を拡大することを目指すよりも、そこそこの収入でも事業が安定していればOKと割り切るのが長続きのコツです。リスクを取ることはおすすめしないので、けっして借金はしないことです。

2.「生涯現役」もOK! 引退時期を見据えて働き方を調整

 もはや雇われの身ではないので、いつ引退するかは自由に決めることができます。細く長く働き続けて「生涯現役」を目指すことも可能となります。自身で引退時期を見据えながら、年齢に応じて無理のない働き方や事業形態にシフトしていくことも意識していきましょう。

3.「やりたいこと」に注力する

 定年後の起業ならば、「好きなこと」や「やりたいこと」が仕事であれば、前向きなパワーが出て、いつまでも楽しく続けられます。事業の方向性に迷ったときは、その軸がぶれないようにすることが大切です。

起業では「事業に回す資金はここまで」と決める

 起業したもののお金に困って、「自分がやりたくない仕事」を引き受けた結果、苦労することになっては元も子もありません。最悪の事態を想定し、「事業が失敗したとしても、これまでの蓄えと退職金・公的年金で生活していくことができるかどうか」ということだけは、必ず確認しておきましょう。借金をしなければならないような事業は、シニア起業としてはもともとリスクが高過ぎるのでおすすめできません。

まとめ

 定年起業して、自営業(または”ひとり会社”の代表)になると、これまで会社に任せていた申告や納税、社会保険関係の事務を自分で行う必要があります。こうした「事業に関する基礎知識」も、あらかじめ勉強しておき、起業後は、自分で行うのか、専門家に任せるのかも判断した方がよいでしょう。

 そのような諸手続きを全部自分一人で行うのは、知識や経験のある場合を除き、なかなか困難だと思います。諸手続きに時間がとられて本業がおろそかになるようでは本末転倒かもしれません。

 私自身、今年定年起業してみて感じたことは、「思い切って専門家に委ねるという選択肢も持っていたほうがよい」ということです。一人起業ですと、やらなければならないことがとても多いのが実状で、税法や社会保険など手が回らない可能性もありますので!

 いづれにしても、時間をかけてじっくりと検討していくことが大切です。そのためには、早くから定年後を見据えて検討していくということでしょうか。 

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