副業への課税、帳簿つけたら「事業所得」に!副業促進に配慮

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

今回は副業がテーマです。私は、公務員時代の経験から「公務員の副業・兼業支援」にも取り組んでいます。

2022年9月28日付の当職ブログ「年収300万円以下は損益通算なし? 副業節税にフタか?」の続報です。

令和4年10月7日付の日本経済新聞電子版の記事によりますと、どうやら「副業」に関する国税庁の所得税の基本通達の改正案が固まってきたようですので、今回はそれに関して投稿していきます。

改正案修正の内容は?

国税庁は、8月に公表した副業などに関係する所得税の基本通達の改正案を修正するようです。新たな通達では、帳簿書類がある場合は所得区分を「事業所得」に、ない場合は「雑所得」とするとのことです。

従来の改正案は原則、年間300万円以下の副業などの収入を雑所得とする内容でした。雑所得は他の所得と損益通算できないなど納税者に不利な点もあるために一部から反発が出ていたとのことです。今回のパブリックコメント(意見公募)には、7000件超の意見が寄せられるなど異例の関心が集まっていました。

税法上、所得は給与所得や事業所得、雑所得など10種類に区分されています。いずれも税率は同じですが、各所得区分により黒字と赤字を相殺する損益通算の方法などが違ってきます。

事業所得は他の所得との損益通算を行うことができますが、雑所得は損益通算ができず、納税者側に不利になることがありました。

出典:令和4年10月7日「日本経済新聞電子版」

改正案修正の背景は?

国税庁は8月、「収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証(納税者側の証明など)のない限り、雑所得と取り扱って差し支えない」とする改正案を公表していました。

これに対し「真面目に帳簿を付けて事業をしている場合は事業所得と認めるべきだ」、「副業を推進する政府方針に逆行するのではないか」などといった意見が寄せられていました。

こうした意見を踏まえ、国税庁は再検討を行いました。原則的に「本業」「副業」などは区別せず、帳簿書類などを適正につけている場合は、収入金額に関係なく事業所得として扱うことにしたようです。帳簿書類がない場合は、収入金額が300万円以下なら雑所得とし、300万円超の場合でも極端に規模が大きいなどの例外を除き、原則的に雑所得にすることにしたようです。

ただし帳簿があっても、収入金額が300万円以下でかつ本業の収入の1割未満の場合や、赤字が続いているにもかかわらず赤字解消のための取り組みを進めていない場合などは、状況により個別に判断する方針のようです。

国税当局は、サラリーマンが副業で多額の赤字を計上したうえで損益通算し、本業の所得を減らす「副業節税」などを問題視しています。こうした条件(状況により個別判断)を付けることで、極端な副業節税は防げると判断したとみられています。

通達は国税庁の内規で、法律ではありませんので、こうした取り扱いを不服とした納税者が訴訟を起こした場合は、事業実態を裁判所が総合的に判断することになります。

まとめ

副業に対する課税については、帳簿書類がある場合は所得区分を「事業所得」に、帳簿書類がない場合は「雑所得」とするとのことで落ち着きそうです。国税当局は、副業促進という流れに配慮したようです。

ただし帳簿があっても、収入金額が300万円以下でかつ本業の収入の1割未満の場合や、赤字が続いているにもかかわらず赤字解消のための取り組みを進めていない場合などは、状況により個別に判断する方針ですので、国税当局の裁量に委ねられるケースも出てきそうです。

確かに、ダブルワークなどのようにどちらが本業か判断しかねるケースもあるでしょうから、今後、当該通達が運用されて、個別判断されるケースがある程度出そろってくれば一定の課税ルールが見えてきそうです。

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