公的年金の本質は「長生きリスクに備える保険」
ディアパートナー行政書士・FP事務所 代表 瀧澤です。
先般、オンラインで年金づくりについて相談対応させていただきました。公的年金の受給額は、各人の今までの職場環境や給与体系、世帯状況などによって変わりますので、たとえ、同じ職場で同じ年数を勤務していても、同額ということはあり得ないのではないかと思います。
公的年金の限界
サラリーマンが加入する厚生年金において、掛金が上限額の保険料を払い続けた場合の受取年金額についての記事が掲載されていました。
現実的には最高額の掛金を最初から最後まで払い続けるというケースはほとんどないと思いますが、その記事によると、
試算1
現在60歳のサラリーマンが20歳から60歳まで40年間、厚生年金に加入し、上限額の保険料を払い続けた場合に将来受け取れる年金額は?
1)老齢厚生年金:約240万円(月20万円)
2)老齢基礎年金:78万円(月6.5万円)
合計:約318万円(月26.5万円)
試算2
さらに70歳まで10年間継続して同じ条件で働いたと仮定しても、公的年金の合計額は、試算1から約70万円増の約388万円(月32.3万円)です。
ゆとりある老後の生活費
生命保険文化センターによる直近の調査によると、ゆとりある老後の生活費は36.1万円(最低日常生活費は22.1万円)となっています。
考察
上の最高額の掛金の計算は、単身者としての計算ですので、夫婦だとすれば、配偶者が専業主婦(主夫)だった場合には、老齢基礎年金78万円が加えられますので、この額を加えれば、70歳まで最高額の掛金で働いてようやく「ゆとりある老後生活が送れる」レベルに達します。
ただし、所得税などの税金、社会保険料などが年金額から天引きされるので、この額でも厳しいかもしれません。
したがって、公的年金受給の最高額を受取ったとしても、ゆとりある老後は送れないと考えられます。(厳しい現実です!!)
自分年金(私的年金)づくりの薦め
公的年金の本質は「長生きリスクに備える保険」ですが、上でも述べているように、公的年金だけでは、ゆとりある老後の生活費が捻出できません。
そこで、若いうちから長い時間をかけて、自分年金づくりに取り組むことをお薦めします。
私の考える優先順位
私が考える「自分年金づくり」で欠かせないと考えるファクターは以下のとおりです。
1)掛金全額が税額控除&利子等非課税のもの
サラリーマンであれば「iDeCo」
フリーランスであれば「国民年金基金/iDeCo」、「小規模企業共済」
2)掛金の一部が税額控除&利子等非課税のもの
「個人年金保険」
3)利子等が非課税のもの
「つみたてNISA」、「財形年金制度」
この順番で最高額の掛金を掛けていけば、若ければ若いほど(掛ける期間が長ければ長いほど)税額控除や利子等非課税の恩恵も大きくなりますので、時間を味方につけた自分年金づくりが大事になってきます。
給料アップや生活費の見直しでできた余裕資金で、掛金額を徐々に増やしていければ、よりよい自分年金づくりが出来そうです。
若い方々には、ぜひ「時間を味方につけた運用」に心掛けてください。時間はみな平等に与えられていますから。
まとめ
公的年金の将来の受給額は、あまり多くないことが分かりましたが、公的年金というのはインフレリスクには一番対応できている保険商品です。ぜひ、公的年金の掛金の収納忘れがないようにキチンと払込をしてください。
その上で、「税額控除」や「利子等非課税」などの制度を活用して、「時間を味方につけた自分年金づくり」にトライしてみてください。