働き方改革!週休3日制は進むのか?
こんにちは、ディアパートナー行政書士・FP事務所代表の瀧澤です。
週休3日制のメリット・デメリットを探る!
新型コロナウイルス感染症の流行により、新しい生活様式に合わせた働き方が模索されています。そのような状況の中で、「テレワーク」「リゾートワーク」の進展とともに働き方改革の一手法である「週休3日制」が話題となる機会も増えています。
働き方改革のひとつの手法である週休3日制とはどういう働き方なのか。また、そのメリット、デメリットについて確認していきます。(出典:日本FP協会「FPいまどきウォッチング」)
週休3日制とは
2021年6月8日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」では「選択的週休3日制度について(中略)導入を促し、普及を図る」と盛り込まれており、働き方改革やワークライフバランスの重視から「週休3日制」の注目度が高まっています。
それでは、「週休3日制」とは、具体的にどのような働き方なのでしょうか。
言葉のとおり、1週間に休日を3日設けるという制度のため、今まで週休2日で5日間働いていた人は、週休3日で4日間働くことになります。しかし、休日が増えた分、総労働時間が短くなるとは限りません。
週休2日で1日8時間×5日間、週40時間労働の人の1日当たりの労働時間を変えずに週休3日にした場合は、「1日8時間×4日間=週32時間」の労働時間となります。
しかし、1日当たりの労働時間を8時間から10時間に変更した場合は、「1日10時間×4日間=週40時間」の労働時間となります。この場合は、週休2日の場合と全体の労働時間は変わりません。ただし、労働基準法には「法定労働時間(第32条)」のルールがあります。原則として「1週間に40時間を超えて労働させてはならない」と「1日に8時間を超えて労働させてはならない」の2つです。したがって、1日10時間で毎週40時間労働とする場合は、変形労働時間制の手続きをとる必要があります。
なお、前述の「経済財政運営と改革の基本方針2021」にある「選択的週休3日制」は、希望する人が週休3日制を選択できるという意味になります。
週休3日制のメリット
働き方改革やワークライフバランスの観点からも注目が集まる週休3日制ですが、どのようなメリットがあるか考えてみましょう。
まず、従業員にとっては休日が増えることで柔軟な働き方が可能となります。その結果、子育てや介護を理由に働くことが難しかった人たちも働けるようになるかもしれません。
他にも、趣味や勉強に使う時間を増やすことも可能でしょう。企業が認めている場合には副業をする選択肢も考えられます。家族との時間や自分の時間を有意義に使うことで、本業のスキルアップやモチベーションの向上も期待できます。
一方、企業にとっては従業員の満足度を高めることにより離職率を低下させることが期待できます。
また、週休3日制で1日10時間の変形労働時間制を採用する場合、8時間を超えて従業員が働いても残業代は発生しません。10時間を超えれば残業代は発生しますが、8時間労働に比べると残業時間は減少すると考えられ、企業の人件費は削減されるでしょう。
コロナ禍である現在においては、出社する機会も少なくなるため新型コロナウイルス感染リスクの低減もメリットと言えるでしょう。
週休3日制のデメリット
ここではメリットだけでなく、デメリットについても確認しておきましょう。
従業員においては、労働時間の減少とともに賃金が減少する可能性があります。その場合、税金や社会保険料の自己負担を抑えることもできますが、結果として出産手当金や育児休業給付金・介護休業給付金、将来的な老齢年金まで減少する可能性があることを忘れてはなりません。副業によって収入を増やすことも考えられますが、すぐに収入が増えるとも限りません。
また、出勤日数が減ることでテレワークと同様に企業内のコミュニケーションの減少もデメリットにつながるかもしれません。
単純に従業員の労働時間が減ることで、業務の遂行が困難となり、結果的には増員しなければならないようなことも起こりえます。また、取引先とのコミュニケーションが減ってしまうと、機会損失が発生するかもしれません。
週休3日制を導入する企業においては、これまでと同様の業務をこなせるかどうか、あるいは成長のブレーキとならないかどうかが問題となります。そして、従来の制度を改定するには多くの人の労力が必要となり、導入後も従業員の勤怠管理の複雑化に対応しなければなりません。
従業員の満足度を高めるはずの週休3日制の導入が、従業員の負担の増加、賃金の減少につながり、離職率の上昇などとなっては本末転倒です。
導入や選択の目的が大切
前にも記したように、週休3日制といっても週休2日制と比較した労働時間や賃金の変化にはいろいろなパターンが考えられます。導入する企業も選択する従業員も「何のための週休3日制なのか」をはっきりとさせなければ、期待していた効果は得られません。
導入する企業は、各々の従業員の休日を増やすことが主目的なのか(賃金・労働時間は変わらない)、労働時間を減らすことが目的なのか(賃金は減る可能性が高い)、休日は副業も含めて自由に使ってよいのか等を検討しておかなければなりません。
実際に週休3日制を導入して話題にあがる企業も内容は様々で、ユニクロを擁する株式会社ファーストリテイリングの場合は、1日10時間の週4日労働で週休3日としながら給与水準は変わらないようにしています。
一方、みずほフィナンシャルグループの場合は、従業員が週休3日制(週休4日制も可)を選択できますが、給与は8割(週休4日制は6割)に減少します。
また、みずほフィナンシャルグループは、休日の使い方として育児・介護の他、副業なども認めていますが、ヤフーを擁するZホールディングスは育児・介護の理由に限定して週休3日制を採用しています。
人生100年時代の働き方
厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」における「労働時間制度」(2020年)によれば、現在も週休2日制を採用していない企業が9.2%、労働者100人未満の企業では10.8%あります。
また、完全週休2日制を採用している企業は44.9%、労働者1,000人以上の企業でも65.8%にとどまります。週休2日制の議論が活発になってきたとはいえ、まだまだ、週休3日制よりも手前の段階にある企業が多いのが現実です。
それでも、超高齢社会の人口構成による労働力不足、医療・介護・年金といった社会保障制度の疲弊を考えると、より多くの人が働ける環境を創造していくことは大切です。
副業・兼業との連動性(銀行マンも!)
私が開設している「公務員の兼業・副業支援」専用Webにもブログ投稿していますが↓
金融庁広報誌 アクセスFSA(2021年7月号)に、「副業・兼業の普及・推進に寄せて~赤澤副大臣メッセージ~」が掲載されてます。
副業・兼業は時代の流れ。金融機関も例外なし!!
今年6月11日に、公務員と金融機関等の交流・対話の場「ちいきん会-Tottori」というオンラインミーティングが開催され、そこに赤澤副大臣も参加しました。
その中で参加者から「副業を行いたくても金融機関内部の規程によりできない事例がいまだにある。副業を通じて様々な方とネットワークを構築し、経験も積んで、本業支援にも活かしていけるようにするべきではないか。」という意見が出たらしく、赤澤副大臣の印象に強く残ったということのようです。↓
https://www.fsa.go.jp/access/r2/215.pdf
もちろん「印象に残ってそれで終わり」、ではなく、赤澤副大臣は以下の文書を金融機関向けに発出しています。
↓
「経済財政運営と改革の基本方針2021」及び「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」を踏まえた兼業・副業の普及・促進について
https://www.fsa.go.jp/news/r2/sonota/20210623.html
金融機関の職員が兼業・副業を希望する場合に備え、「兼業・副業」を可能とする就業規則等を含む、環境整備に向けた取組を進めることについて、周知徹底方よろしくお願いしたい・・・という通知です。改革と成長戦略に「副業・兼業」が必要だから、もう一度就業規則等のルールを見直してみてね、といお願いの通知です。
これぐらい、「副業・兼業」というのは、時代の強い要請なんだと感じます。
金融機関も、今はまだ副業兼業を禁止しているところも多いようですが、赤澤副大臣のこの例のように、「政府は本気で副業・兼業を推進」しています。多くの金融機関が副業兼業を解禁するのは時間の問題でしょう。
多くのビジネスマンや公務員が、銀行マンがタッグを組んで地域貢献したら、相当な効果が期待できるのではないでしょうかね。楽しみですね~
週休3日制は「兼業・副業」推進にもすごく連動性が良い制度です。銀行員も公務員も「副業兼業の解禁」は間近に迫っている感があります。すぐにでも動き出せるよう今から準備してみてはいかがでしょうか。