健康なうちに、もう少しお金を使うことを考えてもいい!
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
2月22日の東京株式市場の終値は39,098円68銭となり、じつに34年ぶりに最高値を更新しました。2月23日付の日本経済新聞1面も「日経平均最高値」とトップニュースで伝えています。
生成AI(人工知能)への期待が半導体関連にマネーを呼び込んだようです。日経新聞の記事によれば、この株高の底流には日本企業が守りから攻めの経営に転じ、海外投資家が評価する動きがあるとする一方、この株高の恩恵は家計には行き渡らず、賃上げを起点とした好循環の実現にはなお、課題が残るとしています。
年始から好調だった東京株式市場
年が明けてまもない1月11日の東京株式市場では、日経平均株価は4日続伸し、節目の3万5000円を一時上回って推移していました。東京株式市場の取引時間中に3万5000円台をつけるのは、1990年2月23日以来で33年11カ月ぶりで、なんとも好調なスタートを切った2024年の東京株式市場でした。
新年早々から日本の株式市場は活況を呈していましたが、今年1月からスタートした「新NISAスタート」も影響しているものと思われます。
シニア世代のお金の使い方、遺し方は?
経済コラムニストの大江英樹さんが1月1日に亡くなったことは、私のブログでも書いていますが、日経ヴェリタスの連載コラム「人生100年こわくない」に執筆予定だった未完成の原稿がこのたび編集長により発表されました。
この編集長によれば、大江さんは「まさにマネー教育を模索する国民の水先案内人だった」といいます。遺稿となった原稿のタイトルは「シニアビジネスマンが突然病に倒れたら」だったそうです。
シニアビジネスマンが突然病に倒れたら
初めて重篤な病気で入院する場合、2つの大きな「不安」があるとし、1つは今後、病気がどうなるかという不安、そしてもう1つが、長く入院すると、いったいどれぐらいお金がかかるのだろうという不安だとしています。
大江さんは急性白血病という急な病気で入院生活を送ることになったそうですが、病気の先行きに対する不安は感じたようですが、お金に対する不安はそれほどなかったそうです。その理由としてつぎの2つを挙げています。
まず1つめは、10年以上前から実行していた「自分のお金の”見える化”」。見える化というのは、自分の収支を的確に把握しておくことだといいます。これを常日頃からやっておけば、日常の生活費に関してあまり不安は感じないといいます。
実際、入院すると医療費や入院費はかかりますが、生活費という項目で見れば、だいたい普段の7割ぐらいになるといいます。単身者の場合なら、かかる生活費のほとんどは光熱費や住居費などの固定費であるから、実際にはもっと少なくなるだろうとしています。
大江さんの場合、原稿を書いた入院以降4カ月目では、日常生活費を賄うための口座の残高は逆に増えているぐらいだったようです。
2つめの理由として、「高額療養費制度」の存在を挙げています。公的医療保険に加入していれば(日本人であれば全員加入しているはずです)、どれだけ医療費がかかっても自身は一定割合までしか負担しなくてもいいという制度です。
そして、いろんなファイナシャルプランナー(FP)や評論家の人は「ライフプランで難しいのは、いつ起きるかわからない病気、そしていつお世話になるかわからない介護の費用を予測することだ」といっているとし、こればっかりは人によって全く違うのだから、「自分の場合はどうか」ということをいろんなケースにわたってシミュレーションしておくことが重要だとしています。
参考に今回の大江さんのケースをが紹介されています。入院したのが昨年8月末、退院が11月中頃の約90日間の入院で、病院に払った全ての費用は約72万円だったそうです。このうち個室料が約50万円だったので、純然たる治療費を負担したのは約22万円だったということです。(個室に入ったのは、全く本人の都合だそうで普通の人にとっては、個室は不要という人の方も多いのだろうと書かれています。)
結局、高額療養費制度のおかげで3カ月間の毎月の負担は、平均してならすと7万円ちょっとだったようで、大江さんの想定通りだったようです。ただし、病気や治療、病院によっても違うでしょうから、この金額を上回ることもあるでしょうか、医療や介護についてはいたずらに不安がる必要はなく、制度を正しく知って、それをうまく利用することが必要だろうとしています。
90歳までに使い切る お金の賢い減らし方
大江さんの著書「90歳までに使い切る お金の賢い減らし方」の中で、多くの人が老後不安、なかでも医療や介護に対する不安が大きいために、持っているお金をなかなか使えないということを指摘しています。そして、お金よりも優先すべき4つのことの1つとして「健康」を挙げていました。この意味は「健康を維持するために、もっとお金を使いなさい」ということではないということです。それは、いくらお金を出しても健康をお金で買うことはできないからだといいます。
著書で指摘したのは「健康なうちに、もう少しお金を使うことを考えてもいいのではないか」ということだったそうです。大江さんは実際に自分が病気になってみると、つくづくそう思ったそうです。
手厚い「公的医療保険」に国民全員が加入しているのですから、やたら病気に対する恐怖でたくさんのお金を貯めこんで、使わないようにする必要はあまりないだろうとしています。最低限200万〜300万円くらいの預金があれば、よほど特殊なケースでない限り、それほど心配することはないと述べています。
人生の目的はお金持ちになることではなく、幸せに生きることであり、そのためにはある程度のお金は必要だし、健康維持の努力も大切だとしています。ただ、いくら気をつけても病気になる時はなるとし(大江さんは半年ごとに人間ドックを受けていたそうです。)、そんな困った時のために社会保険制度があるのだから、その仕組みをよく知り、国からもらえるお金をもっと活用すべきだとしています。
ある程度安心のできる「社会保険制度」を知らずに自分のお金を無駄に死蔵しておくのは実にもったいないと述べています。そのうえで、お金を何に使うかは人それぞれでいいとし、旅行、趣味、手弁当での奉仕活動、美食等々、要は自分と家族や友達との思い出づくりができればいいとしています。「結局、人生の最後に残るのはお金ではなく、思い出しかないんだな」と。(断)
人生の最後に残るのは「思い出」
「思い出」のためにお金を使う!しかも健康なうちに。こうした考え方は中高年以降の世代では大切になってくるのではないでしょうか。
健康なうちでないと「思い出」を残すことが困難になる場合も大いに考えられます。例えば、足腰がおぼつかなくなった状態での旅行は、気力・体力の両面でかなりハードルが高くなります。訪問した地域のおいしいものを食べるのにも、おいしいお酒をのむのも、あまり年を取らないうちの方が楽しめそうです。
とすれば、「健康なうちに、もう少しお金を使うことを考えてもいい!」と改めて感じる今日この頃です。
しかしただお金を使うというのではなく、お金の出口戦略(運用や取り崩し方など)をよく考えたうえで使っていくという考え方は非常に重要になると考えています。