個人間の少額送金サービス「ことら」開始!

日暮れの速さを実感する今日この頃です。みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

新たな個人間の送金サービスが始まりました。これは大手銀行が主導するスマートフォンを通じた個人間の少額送金サービス「ことら」です。

参照したのは、日本経済新聞電子版10月8日・10月11日記事です。

以前、銀行間の振込手数料引き下げと個人間無料送金新事情を投稿しましたが、またまた新たな無料送金サービスの登場です。

当職ブログ(2021年12月24日付け)

個人間の少額送金サービス「ことら」始まる!

大手銀行が主導するスマートフォンを通じた個人間の少額送金サービス「ことら」が10月11日に始まりました。

振込先の相手の口座番号を知らなくても、携帯電話番号などを使って無料もしくは安く送金できるのが特徴です。すでに約40行の金融機関がこのサービスへの参加を表明しています。

この新サービス「ことら」は小口の銀行振り込みを置き換える可能性があり、個人利用のデジタル通貨を開発するキャッシュレス決済企業なども無料を意識せざるをえなくなる状況です。銀行は決済手数料では稼げない時代になってきます。

先頃、長野県に本店をおく「八十二銀行(第一地銀)」と「長野銀行(第二地銀)」の合併が報道されました。突然の発表でしたので県民皆、一様に驚きました。地元新聞によれば、当事者である銀行支店長も事前に知らされていなかったようです。

銀行が決済手数料では稼げなくなっている時代、県内の2銀行も合併という道を選んだのでしょうか。

新サービス誕生の背景は?

日本の銀行間の送金は全国の金融機関が接続する全国銀行データ通信システムを通じて決済され、送金ごとに銀行がコストを負担してきていました。

近年、キャッシュレス決済の普及により少額送金が増え、全銀システムを毎回通ると利用料がかさむ問題が浮上してきました。

3メガバンクやりそな銀行、埼玉りそな銀行が出資することら(東京・中央)は全銀システムではなく、日本電子決済推進機構が運営する別の決済システムを使うことで、少額なら安く送金できるインフラを新設したということです。

この決済システムを利用することで、利用者は個人間で10万円以下であれば、アプリに携帯電話番号やメールアドレスを入力するだけで送金できるようになります。

「ことら」の手数料は各行が決める前提ですが、従来の銀行振り込みと比べて安くなる可能性が高いといいます。とくに3メガバンクは無料を表明しており、地銀でも横浜銀行が同行のスマホ決済サービス「はまPay」利用なら無料にする方針のようです。

こうした送金手数料の無料化が広がるのは、キャッシュレスでの個人間送金は無料が当たり前になってきたからです。例えば、PayPayやLINEペイでは1円単位でも無料送金ができます。

「飲食店での割り勘」などでの利用だけでなく、家族同士の仕送りなどでも活用されています。デジタルネーティブ世代は1回ごとに手数料がかかる銀行振り込みやネットバンキングを敬遠しつつあったようです。

「ことら」の仕組み(出典:日本経済新聞)

世界のフィンテック事情は?

世界の小口決済改革の口火を切ったのは英国で、英銀行業界は即時決済可能な新システムを2008年に稼働させた上で、2018年に銀行以外の事業者との接続を認めました。

こうした動きはシンガポールや香港に波及し、個人顧客の小口決済手数料は原則無料となっていきました。これらの国では数十万円を送れるのと比較すれば、日本は「超小口」に限定した格好のサービス提供となっています。

フィンテック企業への影響は?

「ことら」に参加する金融機関の口座数は1億8000万を超えるといわれています。新しい送金サービス「ことら」が存在感を高めれば、デジタル通貨などを使って低額の決済サービスを実現しようとしていたフィンテック企業への影響も出てきそうです。

例えば、銀行振り込みの10分の1の決済手数料を目指していたデジタル通貨決済会社の幹部は「個人向けではなく企業間決済に力を入れたい」(同社幹部)と戦略転換を示唆しています。

地域金融機関に与える影響も大きいといわれています。10月11日から「ことら」に参加するのは約100行中15行にとどまります。

手数料を安くする趣旨に異論はなくても、大手銀行からの送金に伴う手数料を無視できない地銀は「収益への影響を考えると、参加をためらわざるをえない」といいます。参加を決めた銀行の幹部は「ことらによる減収分は別の手数料上げによって収支を均衡させたい」と話しており、今後の負担増を示唆しています。

こうした背景などもあり、まだお互い企業体力のあるうちにということで、長野県が地盤の八十二銀行と長野銀行の合併につながったのでしょうか。

そうなれば銀行は決済手数料では稼げない時代に突入します。

各銀行は、決済関連の業務コストを減らすことに加え、小口決済のデータ収集・蓄積から個人向けローンの審査や融資実行などにつなげたり、非金融事業者のサービスに決済を組み込み収益をシェアするエンベデッドファイナンス(組み込み金融)を推進したりする力が問われることになりそうです。

ことらのシステムは?

3メガバンクとりそな銀行、埼玉りそな銀行が出資することら(東京・中央)がシステムを担い、地銀やネット銀行も参加することなっています。送金手数料は各銀行が決めますが、3メガバンクや横浜銀行などの多くの銀行が無料とする見通しです。ことらを利用可能な銀行は今後さらに増えそう勢いです。

ことらを利用するには、対応するアプリを送り手と受け手がそれぞれスマホに入れておく必要があります。日本電子決済推進機構の「Bank Pay(バンクペイ)」、みずほフィナンシャルグループの「J-Coin Pay(Jコインペイ)」、横浜銀行の「はまPay」など8種類の決済・送金アプリがサービスに対応するとしています。

三井住友銀行は自行のインターネットバンキングアプリ「三井住友銀行アプリ」でも2022年度内に利用できるようにする予定です。利用者の多いネットバンキングアプリで接続できれば、使い勝手は大きく高まることになりそうです。

利用者は対応アプリをスマホに入れた後、口座番号や携帯電話番号などを登録します。ことらの利用者同士であれば、口座とひも付けした携帯電話番号などを使って簡単に送金できるようになるということです。

送金手数料を巡っては、2020年に公正取引委員会が高止まりする銀行間手数料を問題視する報告書を発表し、引き下げの議論が始まっていました。「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」よりも大幅に低いコストで送金できることらを使い、個人間送金の利便性を高めるのが狙いです。

送金手数料を無料にすると、銀行側が受け取る手数料収入は減少することになります。それでも銀行が無料送金サービスに踏み出すのは、日本全体で年間2兆8000億円(経済産業省調べ)といわれる現金決済インフラのコスト削減につなげるためだといいます。

全国に銀行店舗やATMを設置し、現金が途切れないようにするためには多額の費用がかかります。キャッシュレス化がさらに進んで、店舗やATMを削減できれば、サービスの質をあまり落とさずに経営を効率化できるというわけです。

ことらの普及には課題もあります。利用者の多いネットバンキングアプリでの対応を明らかにしているのは三井住友銀行のみで、スタート時点では対応するアプリが限られているのが実態です。当初参加が期待された「PayPay(ペイペイ)」などの資金移動業者からの参加表明は進んでいない状況です。

資金移動業者は独自の経済圏を築き、アカウントの残高を移動させることで個人間送金を担っています。資金移動業者は自分たちのサービスへの顧客の囲い込みを優先しており、遅れて登場したことらが小口決済の主役になれるかは不明といえそうです。

まとめ

個人間の少額送金サービス「ことら」や「PayPay(ペイペイ)」などの資金移動業者、暗号資産(仮想通貨)など、無料で個人間を送金できるサービスが次々と誕生しています。

今後の新たな無料送金サービスが生まれる可能性も高いと思われます。時間の経過とともに、一定の淘汰が進んでいくことでしょう。

私たちも常に新しい情報を把握しながら、より有利なサービスを選んでいくことが今後の資産形成にもつながるかもしれません。

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