個人年金も繰り下げで増額、「お宝保険」効果大きく
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
2022年7月27日付け日本経済新聞電子版に、「個人年金保険」とくに「お宝保険」と呼ばれる活用術について掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。
個人年金保険の繰下げは?
主に現役の間に保険料を払い込み、一定の年齢から「年金」を受け取るのが民間の個人年金保険ですが、その多くは受給開始時期を契約時に決めた時点から繰り下げると、受給額を増やせることはほとんど知られていないといいます。
過去、運用利回りのメドである予定利率が高かった時期の「お宝保険」では、繰り下げによる増額が特に大きくなりやすくなります。このような「お宝保険の活用術」を探っていきます。
「受給開始を65歳から75歳に繰り下げたら、総受給額が1000万円から1550万円に増えることがわかった」。埼玉県の個人投資家、藤浪正実さん(64)は顔をほころばせます。藤浪さんが個人年金を契約したのは1994年で予定利率は年4.75%。65歳から年100万円ずつ10年間受給できる契約だったといいます。
「公的年金は受給時期を繰り下げれば年金額が増える。民間保険もできるのでは」。受給開始が近づいた藤浪さんが営業担当者に問い合わせたのは今年初め。明確な回答が得られず、本社の相談窓口に再質問をしました。
しばらくして営業担当者の上司から「繰り下げ可能で、受給額も増える」との回答がありました。受給開始を遅らせるほど増額率は高まり、70歳からなら年約125万円(総受給額約1250万円)に、75歳からなら年約155万円(同1550万円)に増やせることが分かりました。
しかも藤浪さんの契約する商品では、受給開始の時期を現時点で決める必要はない商品でした。毎年、健康状態などをみながら、さらに繰り下げするかを検討することができます。藤浪さんは「当面は生活資金に困っていないので繰り下げ状態を継続したい」と話しています。
繰り下げによる増額は契約時の予定利率をベースに経費などを考慮して計算していきます。このため、予定利率が高いほど繰り下げ増額の効果が大きくなります。
お宝保険とは?繰り下げは可能?
予定利率は払った保険料のうち、保険会社の経費を除いた部分に関し保険会社が約束する利率で、会社や商品で異なります。最近は1%を大きく下回る商品が多いのですが、大手生保の場合、予定利率は1980年代後半から1990年代前半は年5.5%程度、1990年代中後半も5%弱~3%弱で推移していました。こうした時期の高利率の商品が「お宝保険」と呼ばれています。
個人年金で繰り下げ増額が可能かどうかは会社や商品にも違いがあります。しかし「大半の商品が可能」(日本生命保険)、「65歳から70歳に変更するケースでは保険料払込中の契約で75%程度は可能」(第一生命保険)、「2022年度に年金開始の商品で6割程度は可能」(明治安田生命保険)など、大手生保では多くの個人年金が対象とみられています。
繰り下げや増額の仕組みも会社や商品ごとに異なっています。前出の藤浪さんのように、受給開始時期を当面決める必要がない場合もあります。ただ「最初に一度だけ選択可能年数の中から繰り下げる期間を選択」、あるいは「最初に予定通りか5年遅らせるかを選択」し、その後は変更できなくなる商品が多いようです。
最大の注意点は受給を始めてしまうと、その後の繰り下げはできなくなることになります。受給開始前に手続きが必須になります。契約時に決めた受給開始時期の数カ月前になれば、保険会社は通常、受給手続きの説明資料を契約者に送付します。繰り下げ増額ができる商品なら「年金開始日の変更」という項目があり、これが繰り下げの説明部分になります。
ただ資料の説明は必ずしも丁寧ではない場合も多いようです。「繰り下げで一般的に年金額は増加します」と明確に書いていたり、具体的な増額の金額を別途送付する資料で開示していたりする会社もあります。一方、「年金開始日の変更が可能」としているだけで、増額になることが資料だけでは読み取れない例も目立つといいます。
「説明資料を見て相談部門に口頭で問い合わせれば詳しく説明する」としている保険会社が多いが、資料に明確に書かれていなければ問い合わせしないことも多いのではないでしょうか。
繰り下げにより大きく増やせることを知らないまま、受給を始めてしまった人も多くいそうではあります。ファイナンシャルプランナー(FP)の深田晶恵さんは「受給開始前にどんな方式での繰り下げ増額が可能か、必ず確認したい」と話しています。
個人年金保険の契約者が受給開始までかなり時間がある時期に、繰り下げ可能かあらかじめ確認したければどうすればいいのでしょうか。契約時の約款に「年金開始日の変更」という項目があれば多くは繰り下げ増額の対象となります。しかし契約時期によっては対象外になることもありますし、約款を無くしている人も多いかもしれません。やはり保険会社に問い合わせるのが早道となりましょう。
営業担当者の中には繰り下げ増額の仕組みを知らない人も多いようです。都内の税理士(61)がこの春、妻の個人年金の繰り下げ増額が可能か営業担当者に聞くと「そんなことをしている人はいません」と言われました。その後、コールセンターに再確認すると、繰り下げで大幅な増額が可能とわかりました。専門家は「営業職員よりコールセンターへ問い合わせる方が確実だろう」と話しています。
「据え置き」という別の仕組みがあることにも注意が必要です。受給開始前に送られる説明資料にも通常、この選択肢が表示されています。据え置きは支払われた保険金を当面使う予定がない場合などに保険会社に預け、利息を受け取る手法です。
しかし、繰り下げと違って現在の利率が適用されるため、各社とも利率はゼロに近くなっています。据え置きはいつでも引き出せる利点はあるが、増額を狙うなら繰り下げを選ぶ方が有利になりやすいのです。
保険料を増やせる商品も
個人年金保険は繰り下げ以外でも年金を増額できることがあります。
都内の会社員(55)は1990年代前半から予定利率5.5%の個人年金に加入しています。60歳で受給を始めると、毎年5%弱ずつ年金が増え、終身で受け取れる「逓増型」と呼ばれる商品です。損得は何歳まで生きるかで変わりますが、90歳まで生きれば払込保険料の2.7倍が受け取れる「お宝」商品です。
この会社員は昨年初め「高い予定利率を生かすため、保険料を増額できないか」と考え、契約時の約款を取り寄せました。すると「基本年金額の増額」という項目があり、受給開始時期の5年前までに手続きすれば可能とわかりました。そこで60歳になるまでの間、払い込む保険料を大幅に増やすことを選択したことで、受給額も大きく増額できる結果になりました。
会社員が契約していた保険会社では払込保険料を増額できる商品は「多くない」と話しています。仮に自分の「お宝」保険がこのようなタイプなら、受給額が増やせるのでかなりお得といえます。繰り下げとともに保険料の増額ができるかを問い合わせてみる価値はありそうです。
一方で何らかの事情で予定より早く受給開始したいとき、繰り上げ受給ができる商品も少数ですが存在します。ただ当然ながら受給額は減るので、お宝保険ではできれば避けた方がよさそうということです。
まとめ
個人年金保険。受給の繰り下げができる保険商品も多いようです。1980年代後半から1990年代後半までのいわゆる「お宝保険」では大幅に受給額を増やすことができるかもしれませんね。
また、「お宝保険」の払込保険料を増額できるような保険商品については、増額を実行することによって受取保険料の大幅な増額が期待できそうです。(対象となる保険商品は少ないようですが・・・)
まずは、早めに契約時の約款を確認した上で保険会社に問い合わせるのが良さそうですね。こうした活用術、営業担当者も知らないということですので、契約者も知らない人は多そうです。ダメもとでも保険会社に問い合わせた方がよさそうです。
世の中って、知っている人だけが得をする仕組みになっていますね。日々の情報収集は大切です!!