保健所の機能が低下?(マンパワーを比較)
ディアパートナー行政書士/FP事務所 代表の瀧澤です。
新型コロナウイルス感染症対策拡大防止の最前線、話題に取り上げられることも多い「保健所」について考察していきます。
「保健所」は都道府県、政令市(中核市)、東京都特別区が設置する地域公衆衛生活動の中心となる公的機関です。新型コロナウイルス感染症対策拡大防止の最前線として、PCR検査や治療などの調整の多くを担っていた行政機関です。
長野県内には3月末では、県設置が10カ所、中核市である長野市保健所と合計11カ所の保健所がありました。(長野県の場合は、10保健福祉事務所の中に「保健所」と「郡福祉事務所」が存在する形になっています)。
この4月に中核市への移行した松本市は、移行とともに市単独の松本市保健所を設置しました。
私は元長野県職員(地方公務員)だったので、新任の5年間、長野県内の保健所に勤務していました。
時期的には1979年~1983年の間で、今から40年ほど前になりますね。私は事務職ですので、統計調査や旅館、理美容所など許認可などを担当していました。
保健所は「医師」、「保健師」、「臨床検査技師」、「栄養士」、「薬剤師」、「食品衛生監視員(長野県の場合は獣医師)」、「化学・機械職(分析検査などを担う)」、「運転技師(大型車両)」、「事務職」など色々な職種の方が在籍していて面白かったですし、とても勉強になりました。
当時はまだ、「環境公害業務」なども保健所が業務担当していたので、「化学」や「機械」の技術職員なども在籍していて、そのバリエーションたるは半端なかったです~
保健所は略して「HC(ヘルスセンターの略と思われます)」と言っておりまして、私は長野県飯田市にある「飯田保健所(飯田HC)」に5年間在籍していました。(飯田保健所在籍中に、亡妻と知り合い、婚姻しました。)
最近、「保健所体制の弱体化」について、メディア等からも指摘されていますので、飯田保健所の約40年前と現在について、人員等の体制を比較してみることにしました。
〇人員(総務課) 【40年前】 課員6名(課長含む) 【現在】 課員6名(課長含む)
※現在は40年前にはなかった「郡福祉事務所」の総務部門も加わっています。
〇管内市町村数 【40年前】 20市町村 現在】 14市町村
〇管内人口 【40年前】 約18万人 【現在】 約15.5万人
〇業務の違い 【40年前】 郡福祉事務所業務なし 【現在】 環境関係業務なし
比べた結果、長野県飯田保健所に関していえば、あまり変化はないように思われますが、時代の変遷により「担当業務の増加や複雑化」、「電算化による業務効率化や道路状況向上による出張の効率化」などで相殺し合ってもおり、どちらが業務過多かは一概に判断できません。
ただ、「長野県立」の保健所数は統廃合により減少しており、長野県中南信地域(長野県を半分にした南部と考えていただければ結構です))でいえば、「岡谷保健所」、「豊科保健所」は統廃合されて、すでに無くなっていますので、そういう点では業務が増加しているといえるかもしれません。
ただし、中核市となった長野市(1999年4月に中核市へ移行)、松本市(2021年4月に中核市へ移行)が、市単独で「市保健所」を設置しましたので、長野県10広域のうち、「長野地域」と「松本地域」については、地域のなかに「県設置」1か所、「市設置」1か所となり、体制は手厚くなった感があります。
今年4月1日、長野県松本市が全国で61番目の中核市として新たなスタートを切りました。松本市の人口は約24万人で、中核市で県庁所在都市である福井市や山形市、水戸市とほぼ同じ人口規模です。(中核市移行の人口要件は20万人)
松本市の人口は62中核市(4月1日には愛知県一宮市も中核市になるため)の中で、人口の少ないほうから7番目だそうです。
県庁所在都市である甲府市や鳥取市は約19万人、松江市は約20万人ですので、松本市は、少人口の県庁所在都市に匹敵する人口規模といえます。
長野県から、県が持つ約2500の権限が委譲され、市独自の保健所”松本市保健所”も設置されました。
今回のコロナ禍で、保健所の業務は多忙を極めており、関係の皆様のご労苦に対しまして心から敬意を表したいと思いますし、新型コロナウイルスの早期の収束を願うものです。(昨年度、公務員在職時には、自分たち保健所以外の行政機関も順番で「休日の検体回収・運搬」などでご協力していたところです。)
この4月の松本市保健所開設で、松本市においては、子供からお年寄りまで一体的な保健福祉行政ができるようになることが期待されます。
私は、長野県職員としての新任地が”長野県飯田保健所”だったこともあり(5年間も在籍しました)、4月の松本市保健所の設置には感慨深いものがありました。
しかしながら、現在地への市保健所事務室の設置は暫定的なものであり、今後の設置場所は市庁舎の建替え計画とリンクしていくようです。
この松本市保健所の場所は、かつて県松本合同庁舎の食堂が入っていた場所ですが、利用者低迷のため、運営する事業者が撤退して空きスペースとなっていました。
私はかつて、松本合庁(合同庁舎の略称)に3年半ほど勤務していましたので、撤退した食堂はよく利用させていただきました。ランチタイムだけでなく、夕方の時間もオープンしていて、残業する職員にとっては大きな味方だったのですが、時代の趨勢でしょうかね。(松本合庁付近に、コンビニや外食チェーン店が次々のオープンして、利用者は減少していきました。)
松本合庁1階には現在、県松本保健所(県の組織上は現在”松本保健福祉事務所”)と松本市保健所の2つの保健所が設置されています。 ⇒ 2つの保健所が同じ場所になるので、住民にとっては間違って訪問する、ということがなくてよいかもしれませんね!
4月に松本市が中核市になったことで、長野県から様々な事務が移行されました。そのため、申請や届け出などの手続きの窓口が長野県(多くは県保健所や県地域振興局、県建設事務所=土木事務所などの現地機関が扱っています)から松本市に変わることで、利便性が向上するものもあります。
例えば、中核市移行前は、松本市を窓口としていて県が審査・認定を行っていた「身体障害者手帳の交付」などは、全ての手続きを松本市で完結できるようになります。こうしたものについては、迅速化・効率化が図られるため、さらなる市民サービスの向上につながるものと考えられます。
今回の中核市移行に伴い、私たちの市民生活が大きく変化することはないようですが、松本市職員が様々な行政事務を経験することで、将来的に市民サービスの向上につながることが長期的には期待されています。私も松本市民としてその点については、おおいに期待したいと思います!
保健所が担っている業務のひとつに「食品衛生」があります。食品衛生の許認可を行うため、保健所には大きな権限が与えられています。
昨年6月から、食品を扱う全事業者に対して「HACCPによる衛生管理の義務化」が開始されましたが、1年間は猶予期間が設けられているため、今年6月からは、HACCP導入・運用が完全義務化となりますので、注意が必要です。(松本市内は、松本市保健所の食品衛生監視員が携わることになります。)
私は、前述のとおり、5年間、保健所に在籍して、旅館業や理美容院の許認可などを担当したこともあり、そうした経験も踏まえ、”HACCPコーディネーター”の資格を取得しましたので、「小規模な一般飲食店向けに”HACCP”支援」をお手伝いさせていただきたいと考えています。
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〇HACCP構築支援(小規模な一般飲食店向け)のご案内
日本食品衛生協会が発行する「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」を活用して、「衛生管理計画の策定」/「計画に基づく実施」/「確認・記録」を行う小規模な一般飲食店向けに、「HACCP構築支援」を行います。
HACCPコーディネーター資格を有するとともに、5年間の保健所勤務経験を生かして、「HACCPにどう取り組んだらよいのか」と悩んでいる「小規模な一般飲食店向け事業者様向け」にHACCP構築支援を行います。また、保健所(食品衛生監視員)立入時の立会などにも対応します。
日本行政書士会連合会の全国研修会において、HACCP講師を務めた行政書士(愛知県行政書士会)とも連携し、また、地域のHACCPコーディネーター資格を有する行政書士とも協業しています。
長野県内で飲食店を営んでいる事業者の皆さまで、HACCP構築にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
また、「小規模な一般飲食店向け事業者」対象のHACCP勉強会・セミナー開催の際の講師にも柔軟に対応したします。
このブログに、「HACCP」というカテゴリーを設置し、HACCPに関する投稿もしていきたいと思いますので、ご期待ください!
そして、最後の画像はもうこれしかありません、疫病退散の妖怪「アマビエ」です。医療関係者の皆様のご尽力にエールを送るとともに、1日も早いコロナ禍の収束をお祈りいたします。