介護保険、健康な人にも恩恵があるメニューとは?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

令和5年7月16日付日本経済新聞電子版に「介護保険」についての記事が掲載されていました。健康なシニアの介護保険の使い方について考えてみましょう。

高齢化社会を支える車の両輪とは?

厚生労働省のホームページによりますと「介護保険制度」は、平成12年(2000年)4月からスタートした公的な社会保険制度です。介護保険は介護が必要な方に、その費用を給付してくれる公的な社会保険です。

同じく平成12年(2000年)4月にスタートした成年後見制度とともに、よく高齢化社会を支える車の両輪にたとえられます。

成年後見制度は、ひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行い、共に考え、地域全体で明るい未来を築いていく国(法務省所管)の制度です。

例えば、認知症を発症して判断能力が著しく低下、または失われた場合、その 認知症の人は契約行為ができません。そんな時には成年後見人を通じて契約行為をすることになります。

2000年当時、高齢化の進展に向けて講じた国の制度が介護保険制度と成年後見制度であり、まさに高齢社会を支える車の両輪の関係といえます。

では、介護保険の内容は?

介護保険は、それぞれの方々が住んでいる市区町村(介護保険の保険者)がこの介護保険制度を運営しています。

私たちは40歳になると、被保険者として介護保険に加入します。

そして、65歳以上になると、市区町村(保険者)が実施する要介護認定において介護が必要と認定された場合、いつでも介護保険のサービスを受けることができます。

また、40歳から64歳までの人は、介護保険の対象となる特定疾病により介護が必要と認定された場合は、介護サービスを受けることができます。

40歳以上の人は、介護保険料を毎月支払うこととなっており、この保険料は、介護保険サービスを運営していくための必要な財源になります。

平成27年(2015年)4月からは介護保険の予防給付(要支援の方に対するサービス)のうち、介護予防訪問介護と介護予防通所介護が介護予防・日常生活支援総合事業に移行され、市町村の事業として実施されています。

介護予防・日常生活支援総合事業には、介護予防訪問介護と介護予防通所介護から移行し、要支援者と基本チェックリストで支援が必要と判断された方(事業対象者)に対して必要な支援を行う事業(サービス事業)と、65歳以上の方に対して体操教室等の介護予防を行う事業(一般介護予防事業)があります。

それでは、上記のことを頭に入れながら、「介護保険」について考えていきましょう。

健康なシニアの場合は?

「公的介護保険の保険料の負担が重い」と東京都調布市に住む男性Aさん(73)はこう話します。Aさんは8年前にリタイアし、2カ月に1回受け取る公的年金を中心に生活費を賄っています。

年金から毎回2万円強の介護保険料が天引きされ、年間の支払額は2022年度で13万円あまりになるということです。Aさんは現在心身とも健康で介護を必要としていないため、「保険料は掛け捨て状態」といいます。

介護保険料は右肩上がり

介護保険制度は40歳以上の人が加入対象で、被保険者の種別は65歳以上の第1号と64歳までの第2号に分かれています。それぞれ保険料を払う必要があり、原則として第1号は年金から、第2号は会社員であれば給与から天引きされる仕組みです。

介護保険料は高齢化に伴って介護保険サービスの利用者が増加していることを背景にほぼ右肩上がりの状況です。

65歳以上の保険料は基準額の全国加重平均で2021〜2023年度に月6014円と、制度が始まった2000年度の2911円から2倍強となっています。加入者が実際に払う保険料は、基準額をもとに所得や世帯の課税状況などに応じて変わる仕組みになっています。

政府は3年に1度の介護保険制度見直しを2024年度に控え、所得の高い高齢者の保険料負担を引き上げる案を示しています。今年末までに結論を出す方針で、引き上げるかどうかは現時点で不透明となっています。

Aさんは「自分が介護保険を将来利用する可能性はあり、公的制度を社会全体で支える必要性も分かるが、保険料がさらに上がるとしたら割に合わない」とも話します。

要介護認定不要のサービスも

ここで知っておきたいのは健常者も対象になる公的介護保険のサービスがあるということです。

このサービスメニューは、2014年の介護保険法改正で創設され、各自治体が現在実施している「一般介護予防事業」というサービスメニューです。

65歳以上の人が介護保険制度の予防給付サービスや介護給付サービスを受けるには、住んでいる市区町村に要介護認定を申請し、要支援や要介護の認定を受ける必要がありますが、この一般介護予防事業は認定が不要で65歳以上なら原則だれでも利用できることになっています。

財源は介護保険料と税金が充てられ、高齢者が要介護状態にならないようにすることが目的です。とくに加齢による心身の衰えで要介護と健康の間のフレイル(虚弱)状態になるのを防ぐことを重視しています。

各自治体は運動機能や口腔機能の向上、栄養改善、認知機能の低下予防につながる様々なプログラムを提供するとされています。参加料は無料の場合が多く、費用が発生しても施設使用料など実費ですむ例が少なくないということです。

鳥取市では、65歳以上で通所の介護サービスを利用してない人を対象に「おたっしゃ教室」を開催しています。週1回120分の全12回で、公民館などで3カ月を1期間として開いています。椅子に座りながらできる運動をしたり、認知症予防につながる脳トレーニングをしたりします。費用は週1回当たり500円。毎年400人以上が利用し、リピーターも多いといいます。

東京都江東区は「はじめての体操教室inスポーツセンター」「男性のためのトレーニング」「音楽健康サロン」といったプログラムを用意しています。「はじめての体操教室」は運動習慣がない人や体力に自信がない人が対象で、参加者の8割を女性が占めています。

体操教室は男性の参加が少なかったため「男性のためのトレーニング」を開設し、筋力アップを目的としたメニューを提供。同じ目的の仲間を作りたいなどの理由で参加する人が目立ち、4カ月間の教室終了後も「参加者同士でトレーニングを続けるケースがほとんど」と同区の担当者は話しています。

参加者が一般介護予防事業に期待できるのは健康維持だけではないようです。社会保険労務士の池田直子さんは「地域の介護担当者と知り合ったり、介護に関する情報を入手したりする機会につながり、将来介護を必要とする状態になったときに役立つ」と指摘しています。

保険料未納に注意

こうした恩恵を受けるには介護保険の保険料を払っておく必要があります。

保険料は64歳まで会社員は給与天引きで、自営業者は国民健康保険の医療保険料と併せて徴収されます。

要注意なのは65歳以降も会社員として働き、繰り下げなどで年金を受給していないケース。医療保険料は給与天引きが続く一方、介護保険料は年金を受給していないため年金から引き落とせません。

自治体から届く納付書で振り込むなどの対応が必要となりますが、介護保険料も天引きが続いていると勘違いし、保険料未納になるケースがあるということです。

保険料を滞納すると介護サービス利用時に費用負担が増加します。例えば2年以上滞納の場合は未納期間などに応じて自己負担が1割または2割の人は3割、3割の人は4割の自己負担に増えることになります。

年金繰り下げしている人は要注意!

「特別支給の老齢厚生年金の受給」対象者が、男性は1960年度生まれ、女性は1965年度生まれの人を最後に存在しなくなります。(「特別支給の老齢厚生年金」は報酬比例部分のみです。基礎年金部分は含まれません)

したがって、男性は1961年度生まれ以降、女性は1966年度生まれの人以降の人は、厚生年金部分も原則65歳からの支給となります。

最近は政府をはじめ、さまざまなメディアで「年金の繰り下げ受給」を推奨するコメントが多いので、今後は「年金の繰り下げ受給」を検討し、65歳から年金を受取らない人も多くなるでしょうから、介護保険料の未納には十分注意する必要があります。

私の場合は、「遺族厚生年金の受給権」が発生していますので、基礎年金(国民年金)・厚生年金ともに65歳からの受給となりますので、保険料未納の心配はいりませんね。↓

年金繰り下げの注意点↑

最終的には健康なことが最重要です!

介護保険制度は、介護のリスク、正確に言えば「介護費用の支出」というリスクに対応する保険ですから、健康な状態が続けば、「保険料は掛け捨て状態」になるのは当たり前です。

公的な保険制度ですので「元をとる」という発想、考え方はそぐわないような気がします。たとえ、「元がとれなくても」健康で生活できた方が、本人も幸せなのではないでしょうか。

とすれば、最終的にはシニアと過ごす期間を、できるだけ「長い間健康で生活すること」が重要になってくるのではないでしょうか。

しかし、健康を心がけていても、何かのきっかけで要介護になる可能性は十分にありますので、保険料未納には十分注意したいところです。

心身ともに健康で、楽しく生活したうえで天寿を全うすることができれば本望かもしれません!健康第一です!!

健康寿命に関する記述はコチラ↑

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