不動産を家族信託した場合、登記はどうなる?
みなさん、こんにちは。認知症対策の強い味方となる”家族信託”を活用した相続対策を専門にしているディアパートナー行政書士事務所 代表の瀧澤です。
ディアパートナー行政書士事務所では「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行っています。
今回は、とかく認知症対策が強調される家族信託ですが、その他のメリットについて解説していきます。(当事務所と業務提携しているトリニティグループのコラムを参考)
トリニティ・テクノロジー株式会社が運営する「スマート家族信託」⇒ https://sma-shin.com/
不動産を購入した時には、「登記情報」というものに、自分の権利(所有権)が表示されます。それでは不動産を信託した場合には、登記情報の書き換えは必要になるのでしょうか?
今回は、不動産の信託と登記情報の関係について解説していきます。
※昔は帳簿を使って登記情報管理をしていて、その帳簿のことを「登記情報」と呼んでいましたが、現在はデータ管理となっているため、登記に関する情報を「登記情報」と呼ぶようになっています。
不動産の登記情報には何が書かれている?
不動産の登記情報には、不動産の所有者に関する事項(甲区)とそれ以外の権利に関する事項(乙区)が記載されます。
登記情報は、手数料を払えば誰でもオンライン上や法務局などで取得することができます。
これは不動産の所有者等を公示することで、その不動産の売買などを行う場合に、誰が現在の所有者であるかを確認することによって、取引を安全に行えるようにするための仕組みです。
それでは信託した不動産についてはどうでしょうか?
信託した不動産については、その管理・処分権は受託者にあります。
すなわち、売却等をする権利は受託者にありますので、これを公示するために、登記情報についても名義を受託者に変更する必要があります。
ただし受託者というのは、所有者とは異なる概念になりますので、登記情報上も 「受託者 〇〇」 という形で名義が登記され、その不動産が信託財産であることが分かるような表示になっています。
所有者が変わった場合の名義変更であれば、その新しい名義人の住所と氏名しか記載されないのが一般的ですが、信託によって名義変更を行う場合は、名義人の変更に加えて、「信託目録」という情報が新たに記載されます。
これは、所有権であればそれがどのような権利であるかは明らかですが、信託の場合は信託契約で様々な内容の権利を定めることができるため、その不動産に対してどのような内容の権利が付帯しているのかを明らかにするために、信託目録という形で表示されるものです。
信託目録の記載事項
信託目録の記載事項については、法律に一定の定めがありますので、それに従った形で作成されますが、おおむね委託者と受託者との間で締結した信託契約の内容を抜粋して反映させたものとなっています。
信託契約の内容をそのまま記載するのではなく、公示をする必要性がある部分につてのみ登記がなされることとなるのです。
信託目録の記載事項は以下の通りです。
・委託者に関する事項
・受託者に関する事項
・受益者に関する事項
・信託の目的
・信託財産の管理方法
・信託終了の事由
・その他信託条項
上記の事項について、信託契約で定めた内容を登記情報に反映させることとなりますが、家族間の非常にプライベートな内容で、かつ委託者の大切な財産について記載した事柄について、信託目録にすべて記載して誰でも見られるようになってしまうのは、プライバシーの観点から望ましくありません。
そこで、信託契約の内容をベースにしつつも、個人的な内容については言及を避ける形で信託目録を作成することも認められています。
また、登記情報の名義が書き換えられたことによって、不動産の権利証(登記識別情報)も新たに受託者名義で作成されます。
つまり、当初の所有者であった委託者が保有している権利証は効力を失ってしまうということです。
このことから、家族信託(自益信託)によって、自分の不動産でなくなってしまってしまうことへの心情的な抵抗を感じる方もいらっしゃいますが、信託目録にしっかりと「受益者」という形で、その不動産の実質的なオーナーであることが表示されますので、登記情報の仕組みをきちんと理解すれば不要な心配をすることはありません。
登記情報記載例
登記情報記載例
補足:登録免許税について
不動産の信託による登記にあたって、登録免許税の納付が必要になります。
信託を開始する際の登録免許税は、土地については固定資産税評価額の0.3%、建物については0.4% です。
(土地の0.3%は軽減税率適用後の税率であり、軽減措置が終了した場合には0.4%に戻ります。)
信託目録の内容を変更する場合は都度1000円。
信託を終了させる場面では、信託財産を誰に引き継ぐかによって登録免許税が異なってきます。
まとめ
今回は、不動産を信託した場合の登記情報の記載内容とその関連知識について解説をしました。
家族信託を組成した後に手元に形として見えるものはそう多くありませんので、実際に不動産を信託した際は、この投稿を参考に記載内容を改めて確認いただけばと思います。
今後も利用者が伸びることが予測される「家族信託」ですが、全国的にみても実績のある専門家が少ない状況が続いています。こうした家族信託を活用した相続対策の組成は、実績豊富な専門家のネットワークが必要不可欠です。
ディアパートナー行政書士事務所では、知識・実績とも豊富な、国内有数の家族信託実績を有する企業(トリニティグループ/トリニティ・テクノロジー株式会社)と業務提携しながら作業を進めますので、安全安心な全国トップ水準のサービスをご提供することが可能です。また、アフターサポートも業務提携と連携し、スマートフォンに連動した「スマート家族信託」を今年から本格稼働させるなど、万全な体制で対応することが可能です。
とくに、受託者候補(子供など)が首都圏に在住している場合は、長野県(当事務所)と首都圏(トリニティG)の連携が極めて有効になります。お問い合わせや初回相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。