ペットもご長寿 万一に備え保険や終活も
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
今回は、2022年2月25日付け日本経済新聞にペット飼育にまつわる諸問題に関係した記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。
ペット保険に加入する人は増加
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、ペットに癒やしを求める人が増えています。家族の一員として迎えたら、必要なお金をかけて長く飼い続けたい。犬も猫も人間同様、長生きになっており、医療や終活など万一のときの備えを知っておきましょう。
私は未就学児の孫と同居していて、日曜日の午前などに近くのペットショップへ犬猫を見せに孫と一緒によく出掛けるのですが、孫たちは「にやーにゃー」「わんわん」などと言いながら非常に喜びます。ペットショップでもお目当ての犬や猫を抱っこさせてもらっている来店客もたくさんいます。コロナ禍で増えたような気もします・・・
ペットフード協会(東京・千代田)の調査によりますと、2021年の犬の飼育頭数(推計)は約710万頭で猫は約894万頭でした。合計で1600万頭を超え、1500万人を切った人間の子ども(15歳未満)の数を上回っています。(どちらかというと孫の方が希少だったのですね(笑))
全体の頭数では犬は減少、猫は増加しました。ただ、飼い始めて1年以内の新規の飼育をみると、犬が約40万頭、猫は約49万頭で、コロナ禍以前の19年(犬約35万頭、猫約39万頭)を大きく上回っています。
ペットの飼育にお金はいくら必要か――。犬や猫は譲ってもらう場合などは除き、購入するならまずその費用が発生します。種類によって値段は異なるが、犬では人気のトイプードルやチワワは数十万円することも多いです。さらに飼い始めるときには、犬はサークル(囲い)や食器、持ち運び用のクレートなど、猫もトイレや食器といった様々なグッズが必要になります。この初期費用には数千~数万円必要となります。また犬は市区町村で畜犬登録をし、毎年狂犬病の予防接種をしなければならず、それぞれ数千円程度かかります。
年間支出、犬34万円・猫は16万円
ペット保険最大手のアニコム損害保険が、20年の1年間に犬や猫にかけた支出を契約者に調査したところ、犬が約34万円で猫が約16万円でした。前年に比べて犬が10%、猫は4%増えています。犬はサイズが大きくなるほど費用が膨らみ、大型犬は約48万円と小型犬の約1.5倍に膨らんでいます。
支出の内訳で一番多いのは犬も猫もフード・おやつでした。最近は高級なタイプが目立つようです。
また、支出が大きく増えたのはケガや病気の治療費で、犬も猫も前年より3割以上増えています。「飼い主が在宅勤務でペットと一緒に過ごす時間が増え、ささいな不調に気づき、病院に連れていくようになった可能性がある」とアニコム損保は説明しています。
支出内訳で犬が猫を大きく上回ったのはシャンプー・カット・トリミング料でした。3割以上の飼い主が美容院と医療費は、自分よりペットにお金をかけていると回答しています。(ある意味笑えます)
一方、外出自粛で旅行が減って、ペットホテル・ペットシッターの費用は減っています。
犬も猫も長生きになっており、20年以上生きるケースもあります。平均寿命は犬が14.65歳、猫は15.66歳で、10年に比べてそれぞれ0.78歳、1.30歳長くなっています(ペットフード協会)。年によってかけるお金に変動はあるが、ペットが生きている間はこうした支出が毎年続くことになります。
意外とかかる医療費、保険も選択肢
「愛犬の椎間板ヘルニアの治療に年50万円近くかかった」「猫が腎不全になって診療費を年10万円以上払った」――。このように犬や猫の医療費は高額になることが珍しくありません。ペットには人間のように公的な医療保険がないため、費用は動物病院ごとに異なり、全額が飼い主の負担となるからです。高額の負担を避けるにはペット保険への加入も一案です。
ペット保険は本格的に始まったのが2000年代と欧州などより歴史は浅く、加入率は1割強とされています。近年のペットブームもあって「保険の中では伸びしろが大きい商品」と専門家のファイナンシャルプランナーは説明しています。損害保険と少額短期保険の15社以上が取り扱っており、直近の保有契約件数はアニコム損害保険が100万件、アイペット損害保険も70万件を突破しています。
ペット保険というのは、対象のペットが通院・入院・手術をするとかかった医療費の一定割合を補償するものです。加入の際は「補償割合や範囲をどうするか。ペットの年齢も考慮して決めたい」と前出の専門家は話しています。補償割合は50%か70%が一般的で、70%なら医療費1万円に対し7000円を補償し、飼い主が3000円を負担することになります。1年契約の掛け捨て保険で、通院・手術・入院すべてを補償するプランもあれば、手術・入院に限定したものもあります。
保険料は補償の割合や範囲などで変わります。補償割合が50%と70%なら70%の方が保険料は高くなります。ペットの年齢でも異なり、更新の都度などに上がります。7歳や12歳など保険会社が決めた年齢を超えると新規の加入ができなくなるので注意が必要です。猫の保険料は1種類だが、犬は犬種や体重などで3~5種設定するところが多く、小型犬より大型犬の方が保険料が高くなっています。
商品選びのポイントは「窓口精算ができるかどうか」と専門家は指摘しています。窓口精算は病院が保険金の請求をするもので、飼い主は対象の病院の窓口でペットの保険証を提示すれば、補償額を引いた自己負担分を払えばよいことになります。他方、窓口精算できない商品はいったん全額を支払い、後で領収書などを保険会社に送り補償額を受け取ることになります。
損害保険会社のアニコムとアイペットでは主要商品で窓口精算を導入しています。請求の手間がかからず、窓口での負担を抑えやすくなっています。ただし保険料は比較的高く、0歳のトイプードル(70%補償)で見ると、アニコムの「どうぶつ健保ふぁみりぃ」は月額3590円、アイペットの「うちの子」は同3090円。窓口精算でないペット&ファミリー損害保険の「げんきナンバーわんスリム」は同1790円となっています。
通院や入院、手術の1日当たりの限度額や回数なども確認する必要があります。限度額などが大きければ安心の拠り所となります。主要商品では「げんきナンバーわんスリム」に1日の限度額が設定されていません。ただし1日3000円の免責金額(自己負担)と、年間70万円(70%補償の場合)の支払限度額が設定されています。
犬も猫も平均寿命が延びており、長く加入し続けたときの負担も考えておかなければなりません。例えば大型犬が70%補償の商品に0歳から10歳まで入ると10歳時点の保険料は年10万円を超え、0歳からの総額が100万円近くになることがあります。保険会社の中には保険料の引き上げを3歳ごとにしたり、高齢期の保険料を据え置いたりするところもあります。ペットの種類や年齢だけでなく、家計にも見合った商品を選びたいものです。
お別れの時、悔い残さぬ供養に
一度飼い始めたら、最期までペットをみとるのも飼い主の責任です。ペットの火葬や埋葬には費用もかかるため、事前に調べて心づもりをしておきたいものです。
お墓や終活サイトの「ライフドット」が2021年3月にペットを飼っている20代~60代の男女881人に聞いた調査で、「ペットが亡くなったときに向けて準備をしているか」を聞いたところ、回答者の46%が「準備している」と回答しています。
準備の内容では、「葬儀に関する情報収集」(51%)、「火葬する場所を決めている」(48%)、「葬儀の方法を決めている」(43%)が上位でした。
ペットの場合は自宅の庭などに埋めたり、自治体に依頼したりする方法もあります。ただ、マンションなどに住んでいる場合は庭がなく、自治体に依頼すれば費用は数千円で済むものの、ためらう人も少なくありません。このため、最近ではペット霊園など専門の業者に火葬してもらう人が増えています。
業者によって異なりますが、火葬にかかる費用はペットの大きさと火葬の方法で金額が変わるのが一般的です。
合同火葬、少額だが遺骨戻らず
イオングループで葬祭事業を手掛けるイオンライフによれば、ペットの火葬方法はおおむね3つあるようです。
1つは他のペットと一緒に火葬する「合同火葬」。費用は比較的少額だが、遺骨は手元に戻りません。遺骨が手元に戻る「個別火葬」には、立ち会う方法と火葬を業者に一任する方法があります。飼い主が立ち会って、遺骨を拾って持ち帰るのが「個別立ち会い火葬」で、最も金額が高くなります。
火葬の後の埋葬方法では、霊園に埋葬する人が多いようです。「ライフドット」が同調査で、過去5年間でペットをみとったことがある人438人に聞いたところ、「ペット専用霊園で合葬した」という答えが26%と最も多くなっています。「専用霊園で個別埋葬した」(21%)、「民間霊園で専用区画に埋葬した」(11%)も目立っています。
埋葬も他のペットと合同なら費用が安く、個別のお墓や納骨堂になると費用は高めになります。例えばペットの供養にも対応する感応寺(東京・世田谷)では、境内の動物供養塔に合同埋葬する場合の埋葬料は1万1000円。骨つぼのまま供養塔内の棚に安置する場合は埋葬料などが2万6500円、毎年の管理費が1万1000円かかるといいます。
人とペットが一緒に入れる区画を設ける霊園も増えているが、まだ限られるのが現状のようです。自分のお墓が既にあってペットも一緒に入れたいなら、可能かどうかを事前に問い合わせて確認しておくことが必要です。個別の墓の費用は区画の広さや墓石の大きさなどで異なるようです。
ペットの自宅葬も登場
長年連れ添ったペットと最期の時間を大切にしたい飼い主向けに、「自宅葬」という選択も出てきました。イオンライフは2021年6月から「ペットの自宅葬プラン」というサービスを始めました。
サービス内容は、自宅に花などを持ってきてくれて、家族でお別れした後、霊園のスタッフが遺体を預かって火葬、返骨や納骨をするもので、価格は税込みで約13万円となっています。
対象エリアが東京都と東京近郊と限られますが、「HPのアクセス数や問い合わせはあり、需要はある」(イオンライフ)とみています。
高齢飼い主、信託活用の注意点は
高齢者がペットを飼っている場合は、飼い主がペットより先に亡くなった場合の対応も事前に考える必要があります。
まずは、引き取ってくれる人や業者を探すのが最初のステップとなります。多くの場合は、子どもなど相続人が引き継ぐケースが多数です。弁護士の遠藤英嗣氏は「引き取ってくれるのが相続人で、近しい家族である場合、遺言の本文や付言事項に記して飼育を託すケースが多い」と話しています。遺言に飼育を依頼する旨を記載し、飼育を依頼する分、多めに財産を残すようにします。
遺言に書く前には、本当に飼ってもらえるか確認しておくことが大切になります。事前には家族が飼えると言っても、いざという時に住居の事情などで飼育が難しい場合もあります。家族が難しい場合に引き受けてもらえる業者なども、予備として探しておいた方が安心につながります。
ペットの世話を相続人に頼めない場合などは、ペットホームといった業者などを探して、信託の仕組みを利用する方法もあります。信用できる「受託者」に金銭を渡しておき、飼い主の死後などに受託者が飼育者に飼育料を支払う仕組みです。
まずペットを世話する業者などに飼育を依頼します。きちんと飼育してもらえるよう、希望の飼育状況などを書いた契約書を作り、「飼育委託契約」を結びます。一方で、親族や知人、信託会社をお金を管理する「受託者」とし、信託契約を結んで飼育料を「信託財産」として渡しておきます。信託財産は特定の銀行の信託専用口座で保管します。飼育してくれる人と、飼育料を管理してくれる人を決めて契約を結んでおけば、飼い主の死後などに、飼育業者などがペットの世話をし、受託者が飼育料を支払ってくれます。
数年前までは、飼育してくれる人と飼育料を支払う人との契約で十分と考えられてきたが、「飼い主の死後、飼育や飼育料の支払いをきちんとしない事例があり、現在では、『信託監督人』をつけるケースがある」と専門家の弁護士は話しています。
信託監督人は、契約通り飼育されているか、飼育料の支払いや管理がきちんと行われているかを監督する役割を果たします。友人や弁護士、行政書士、NPO法人などに頼むケースが多いといいます。月に1度など、監督のため飼い主を訪ねた際の日当として、信託監督人にも報酬を用意するのが一般的です。
飼い主がペットの世話をできなくなった後、ペットがどのくらいの期間生きるかはわかりません。ペットを預けた当初は業者の運営が健全でも、時間と共に飼育環境などが変化する場合もありえます。このため、専門家は「信託監督人と受託者の合意で飼育業者の変更ができるようにしておくことも大切」と指摘しています。
この仕組みは、飼い主の死後だけでなく、認知症を発症した後からも活用できます。飼い主が認知症になり施設に入居した後に、飼育者に定期的に施設にペットを連れて行ってもらって「面会」する契約にすることもできます。前出の弁護士は「飼い主が80代になったり、高齢で認知症の疑いがあると言われるようになったりしたら、この仕組みを検討した方がいい」と話しています。仕組み作りの手間やお金はかかりますが、ペットの世話をきちんとしてもらえる可能性は高まります。
まとめ
驚きました。ペットも今や、大切な家族として制度面でも処遇されているのですね。この事例の「信託契約の活用」は、まさに「家族信託」といえるかもしれませんね。非常に興味深い記事でした。
死後事務委任契約のひとつになるのでしょうが、このような利用方法もできるのですね。とても勉強になります。
ディアパートナー行政書士事務所では、家族信託を活用した相続対策(遺言や任意後見などを含む)を専門にサービス提供しております。関心をお持ちの方は、ぜひご相談いただきたいと思います。