シニア住宅、売却や相続が可能な分譲型も選択肢に

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

「シニア向け住宅」について、日本経済新聞電子版(2023年2月19日付)に掲載されていましたので、それについてご紹介していきます。

シニア向け住宅とは?

東京都練馬区に住む男性Aさん(75)は昨年秋、シニア向け分譲マンション「デュオセーヌ江古田の森公園」(東京・練馬)に妻(74)とともに住み替えたそうです。夫婦とも健康面に大きな支障はなく介護を必要とする状態ではありませんが、2人だけでは万が一の際に不安があったといいます。同マンションには24時間見守りサービスや看護師の資格をもつスタッフによる健康相談があり、Aさんは「妻が急に体調を崩したとき、近くの病院を教えてもらえて助かった」と話しています。

シニア向け分譲マンションは、基本的に自立して日常生活を送ることができる人を対象に食事や医療といったサービスを提供します。名称はシニア向けとしているものの、一般の分譲マンションと同じように民間事業者による分譲住宅です。

団塊世代中心に高い関心

シニア向け分譲マンションが急増しています。東京カンテイ(東京・品川)が「区分所有」「高齢者に配慮した設計」「ケア関連サービスを受けるための費用が管理費以外に必要」などを条件に調べたところ、全国の新規供給戸数は2010年代に4439戸と1990年代の4.7倍に達しています。2020年代はすでに2600戸強で2010年代の実績の6割程度になっています。

シニア住宅の専有面積は2020年代の平均で約60平方メートルで、間取りは1LDK〜2LDKが多くなっています。「団塊世代が65歳以上になり、老後の住まいとして関心を持つ人が増えている」と高橋雅之主任研究員は指摘しています。

自立した生活ができる人が入居可能な住まいは、シニア向け分譲マンションや住宅型などの有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)があります。

高齢者施設検索サイト「LIFULL介護」編集長の小菅秀樹氏は「シニア向け分譲マンションと老人ホームなどとの違いは入居者の権利」と説明してします。

シニア向け分譲マンションは物件を購入するため所有権があります。そのため、入居者の退去や死亡後に賃貸にしたり、売却したりすることが可能です。また、子どもなどに相続させることもできます。

一方、有料老人ホームの入居は一代限りの利用権、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は賃貸住宅なので賃借権となり、売却などはできません。

分譲型シニア住宅では付帯施設やサービスが多彩

付帯施設やサービスが多岐にわたるのも分譲型の特徴となっています。物件によって異なりますが、併設レストランでカロリーを計算した食事を用意したり、クリーニングやタクシーの手配などをするフロントサービスを提供したりする例があります。

コスモスイニシアが手掛ける物件では、電球の交換やパソコンの設定など様々な困りごとにも対応するサービスがあるということです(ウェルデザイン事業部)。

分譲型のうえ付帯施設やサービスに力を入れているため、入居者が払う費用は高くなりやすい傾向にあります。LIFULL介護によると購入価格は2000万〜5000万円、月費用は管理費や修繕積立金などで5万〜10万円程度が多いということです。月費用には食費を含まないので、多めに見積もる必要がありそうです。

一方、住宅型などの有料老人ホームは入居費が数百万〜数千万円、食費や家賃を含む月費用は15万〜30万円が目安となります。

入居費(入居一時金)は家賃の前払いに相当し「その分、月額の家賃を抑えられる」と介護大手のSOMPOケアでは話しています。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は入居時の費用が敷金など数十万円程度で済むことが多く、月費用も食費込みで10万〜20万円程度となっています。

シニア向けの住居選びでは医療体制も重要になります。

シニア向け分譲マンション、住宅型の有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とも医師の配置は任意で、病気・ケガの際の対応は施設によって様々です。

外部の医療機関と提携する場合が多いようですが、例えば定期的に訪問診療をするのか、往診や救急対応まで可能なのかなどを確認しておきたいものです。

介護は手薄、住み替えも視野に

とくに注意が必要なのが介護面です。シニア向け分譲マンションは居宅介護支援などの介護サービスを併設する例はありますが、基本的に自立した人を対象とした設計や人員体制になっています。

したがって要介護度が高くなったり、認知症になったりした場合は要介護向けの施設に移らざるを得なくなる可能性があります。

一方、有料老人ホームは自立した人向けと要介護の人向けの施設を併設する例があり、介護が必要になれば要介護向けの住居に移ることが可能です。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も介護のニーズが高いことから「要介護者や認知症高齢者の入居を前提に設計し、介護事業所を併設するところが多い」といいます。

シニア向け分譲マンションは売却できるが、どの程度の資金を確保できるかは不透明です。ファイナンシャルプランナーの岡本典子さんは「将来の介護を想定し、次の施設の費用を別に用意しておいた方がいい」と話しています。

まとめ

終の棲家をどこにするのか、どうしていくのかはシニア世代にとっての大きな課題です。

どの地域に住むのか、また、どのような形態の住居に住むのか。それぞれの希望もあるでしょうし、家族や周辺の状況などによっても大きく変わってくる可能性があります。

しかも、生涯にかかる介護費や医療費がいったいどのくらいかかるのかは、誰にもわかりませんのでなるべく多くの資金を残しておきたいと考えるのが普通かもしれません。

しかし、死亡時にその人生で最大の資産が残っているのもどうかと思います。資産を残すことを第一の目標として暮らしていたのでは、シニア期の生活が味気ないものになってしまうことでしょう。

人それぞれのバランス感覚で、「どう老後の資金を使っていくか」また「残していくか」を考えていくしかないのでしょうね。難しく頭の痛い問題です。

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