シニア世代がつくる「消費貯蓄から投資へ」

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みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

60代以上のシニア層に向けた消費の考え方について、日本経済新聞電子版(2023年10月27日付)「人生100年こわくない」60代がつくる「貯蓄から投資へ」に合同会社フィンウェル研究所代表 野尻哲史さんの提案が掲載されていましたので、それに関連してご紹介していきます。

シニア層、「投資から貯蓄」は抑制を

フィンウェル研究所代表 野尻哲史さんは、シニア層=高齢層の「投資から貯蓄へ」の動きが大きいことを懸念しているといいます。

総務省の全国家計構造調査から有価証券を保有している世帯比率を計算すると、2009年調査(2人以上の世帯)では50代26.6%、60代35.5%、2019年の同調査では60代28.7%、70代以上26.9%でした。野尻さんは、この変化が我々のあるべき行動の大切な部分を教えてくれるといいます。

2009年当時の60代のうち、有価証券を保有している世帯の比率は35.5%でしたが、10年たって70代になった段階では26.9%に低下していました。厳密には、統計は70代以上のくくりになっているため80代、90代も入っていますが、それにしても有価証券保有世帯比率が大きく低下していることは、個人金融資産全体に占める有価証券比率を大きく下げる力になっています。

ちなみに全国家計構造調査を使って年代別の有価証券保有額を推計してみると、60歳以上の保有する有価証券の規模は39歳以下の15倍に達していました。若い世代が企業型DC、iDeCo、NISAで有価証券投資を増やしても、その15倍の規模を持つ高齢世代が現金化を進めれば、全体の有価証券比率を上げることは難しくなります。

もちろん高齢になれば資産を取り崩して生活に充てることになるため、有価証券の売却は不可避でしょう。それにしても全く保有しない、すなわち全額売却する必要はないはずです。

高齢者が資産を「投資から貯蓄へ」シフトさせることが多い点はこれまでも指摘されてきました。

例えば確定拠出年金では、大半が一時払いを選択すると言われています。その際にはせっかく資産を有価証券で作り上げてきたのに売却せざるを得ません。

認知・判断能力が低下して成年後見制度を活用すると、資産は全て現金化されます。さらに相続においても有価証券よりも土地や保険の方が優遇措置が大きく、また受け取る側のことを考慮して売却が選択されがちです。

こうした制度面でのハードルに加えて、退職したら現金で保有すると言う考え方がまだ強く残っていることも、ハードルになっています。この面でのマインドセットの切り替えも必要になっていると野尻さんは指摘しています。

高齢層の消費刺激が大事

野尻さんは、少しでも有価証券で資産運用を続けることができれば、高齢者の保有する資産の寿命が長くなり、資産の潜在力も高まるはずだとしています。

この保有する資産の潜在力をどう活用するか、単に投資に回すというだけではなく、その潜在力が高まることで消費にも前向きになることが重要になるといいます。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、これからの50年は高齢層の人口がほぼ横ばいを維持するなかで、現役層の人口が大幅に減少して高齢化率が一段と上昇します。しかも総人口も大きく減少するとしています。

このように人口が減少するなかで高齢層が消費を支える一翼を担わなければ、内需が低下し続けることになります。

野尻さんは、年間50兆円前後と推計されている相続市場の、例えば1割の資産を相続が発生する前に消費に回せば、それは日本の国内総生産(GDP)を1%程度引き上げる力になるはずだとし、高齢層こそ、これからの消費の力にもなるべきだと強調しています。

まとめ

経済コラムニストの大江英樹さんの著書「90歳までに使い切る お金の賢い減らし方」(光文社新書)においても、「死ぬ時に一番お金を持っている日本人」を話題にしていますが、シニア層となった時、自分(及び配偶者)がどのくらい長く生きるのかが分からないため、老後の介護・医療にかかる経費も見込めずに、消費には回しづらいという考え方が根底にあるのでしょう。

そして、「死ぬ時に一番お金を持っている高齢者」が亡くなり相続が発生すると、60代の子世代が相続を受けて、子世代もすでに60代のため「消費には回しづらい」と考え、また、「死ぬ時に一番お金を持っている高齢者」が続いていく状況になり得ます。

せめて、相続を受けた60代の子世代が「消費に回す」ことを意識すれば状況は少し変わるかもしれませんね。

または、亡くなる時に社会貢献として「遺贈寄付」を行い、地域でのお金の循環が生まれれば内需が高まる可能性もあります。

シニア層=高齢層が「消費の力になること」を意識して生活すること。また、それでも老後資金が心配なシニア層は(とくに国内、地域内での)「遺贈寄付」を検討しても良いのではないでしょうか。

人生最後の社会貢献「遺贈寄付」

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