おひとりさまの終活 いつから備える?

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

今回は、日本FP協会「FPいまどきウォッチング」におひとりさまの終活についての記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

「終活」は、人生の最期を迎えるに当たっての準備というイメージがあります。しかし高齢期になって頼れる家族が身近にいない人が増えたいま、生前も含めた準備のアドバイスが必要な時代になってきました。

おひとりさまは、生前のサポートから準備が必要

近年、生涯未婚率が上昇しており、2030年には男性の3人に1人、女性の4人に1人が生涯未婚者になるといわれています。また、少子高齢化の進展により、高齢期に配偶者に先立たれた場合、頼れる子どもが身近にいない人がこれから増えることも考えられます。

将来、高齢期になって頼れる家族がいないと、どんな困ったことが起こるのか、また、どのような対策をとればいいのかを早めに知り、あらかじめ手を打っておくことが必要です。まずは「おひとりさまの終活」において準備しておきたい、生前のサポートについて整理していきます。

身元保証サービス

ひとり暮らしで一番心細いのは、突然、体調が悪くなったり、事故に遭ったような場合ではないでしょうか。入院や介護施設への入所の際には、身元保証人を求められるのが一般的です。

もし、頼れる友人や知人がいなかったり、親戚とは疎遠になっており頼みづらいなどの理由で、身元保証人が用意できないと、必要な治療や介護を受けることが難しくなるかもしれません。最近は、このような場合に利用できる、身元保証(保証人代行)サービスが増えています。

病院の入院保証や、介護施設への入居の際の身元保証を、親族の代わりに第三者(個人や法人)が行ってくれるというものです。当事者にとっては大変ありがたいサービスですが、指導監督を行う行政機関が明確でなく、業界団体も組織されていないため、サービスの質の担保や万一の場合の補償などで不安も残ります。

そこで、利用の際には次の点に注意する必要があります。

・サービス提供側の体制

長期間にわたる契約になる可能性があるため、個人と契約する場合、その個人が病気や死亡により対応できなくなる可能性に留意する必要があります。法人の場合は、資本がしっかりしているか、十分なサービスの提供体制が整っている組織であるかを確認しましょう。専門家との連携をうたう場合、その人の資格や具体的なサポート内容も確認したいところです。

・サービスの対価

入会金や年会費、その都度求められる料金などを事前に十分確認しましょう。料金は事業者によって千差万別ですが、入院や施設入居の際の身元保証をはじめ、日常生活や財産管理、危篤・訃報時のサポートもしてくれるといった内容で数十万円から100万円程度が多いようです。

しかし、たとえ入会金が20万円程度でも、さまざまな名目で初回納入金が100万円以上になることもあります。特に預託金を求められる場合は、団体の信用性や、廃業等万一の場合の返金方法などについても確認する必要があります。

見守り契約

ひとり暮らしは、体調悪化や判断能力の低下を周りの人が気づきにくいため、気がついたときには手遅れになっている恐れがあります。そのような不安がある場合は、支援者が定期的に電話をしたり訪問することで、健康状態や判断能力、生活の状態を確認する「見守り」サービスの利用が考えられます。

電気ポットの使用状況や、トイレのドアの開閉などをセンサーで感知して親族に通知したり、ペンダント型の無線式非常ボタンなどを利用した緊急通報や安否確認サービスもあります。費用の目安は、月1回程度の事業者による訪問や月数回の電話による確認の場合で、月額5,000円から2万円程度。機器による見守りは、機器代や初期費用が数万円程度、サービス料は月額2,000~3,000円程度からです。

財産管理

預貯金の入出金や支払いなどの財産管理については、身体能力が低下した場合(寝たきりなど)と、判断能力が低下した場合(認知症など)に分けて考えるといいでしょう。

・身体能力の低下に備える

年をとると足腰や視力が衰え、年金の引き出しに銀行へ行くのもおっくうになりがちですが、近所の人や友達に毎回頼むわけにもいきません。この契約は、日常生活の財産管理や事務手続きについて代理権を与えるものです。

日常的なお金の管理を継続的に頼みたい場合は、信頼できる第三者と「財産管理等の委任契約」を結ぶ方法もあります。財産管理だけでなく、病院や介護施設への入退所手続き、福祉サービスの申し込み手続きなども委任でき、入院中のお金の管理や、市役所での戸籍謄本の取得など、一部に限定することも可能です。この契約書は、いわば包括的な委任状であり、代理権の濫用の恐れがあるため、何か手続きを依頼する都度、通帳など必要なものと一緒に渡して、用件が終われば返してもらうことが大切です。

また、あくまでも本人の意思により事務手続きを行うため、本人の判断能力が十分ある場合でしか利用できません。

・判断能力の低下に備える

将来、認知症などにより判断能力が不十分になった場合、社会福祉協議会の「自立支援事業」を利用すれば、福祉サービスの利用や日常生活費の管理などを支援してもらえます。ただし、高額な財産の管理や、不動産の売却など非日常的な取引は頼めません。そのような場合は、成年後見制度を利用することになります。

おひとりさまは成年後見制度の利用も早めに検討

成年後見制度は、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。

何の準備もしないまま判断能力が低下してしまった場合は、周りの人が裁判所に後見人の選任を申し立てて、後見人が財産管理を行う「法定後見制度」を利用します。この場合、弁護士など本人や家族のことをよく知らない人が財産管理を行う可能性が高いことや、あくまでも本人の財産保護が目的であるため、高額な介護施設を利用したいなど本人の希望がかなえられない可能性があること、また、後見人や後見監督人に対して月額数万円の報酬がかかることに留意が必要です。

一方、まだ十分判断能力があるうちに、信頼できる人に将来後見人になってもらうように契約するのが、「任意後見制度」です。この場合は、任意後見契約書を作成し、将来、判断能力が低下したときに、受任者や周りの人が裁判所に後見人の選任を申し立てることになります。

こうしておけば、将来、自分のことをよく知っている人が財産管理を行ってくれる可能性が高い上、介護施設への入所費用が必要になったときは、特定の不動産を売却して費用を捻出してもらうなどの希望がかなえられやすくなります。

任意後見契約は、前述した「財産管理等の委任契約書」と一緒に公正証書で作成されるケースが多く、これを「移行型」といいます。この契約により、判断能力が十分ある間と、判断能力が低下した後の財産管理などを同じ人にお願いしやすくなり、切れ目ないサポートが可能になります。

なお、法定後見・任意後見とも、財産管理だけでなく、「身上監護」といって、病院や介護施設への入所手続きや、介護保険の要介護認定の申請なども行えます。

死後手続きの委任も忘れずに

おひとりさまの場合、死後のさまざまな事務手続き(葬儀、納骨、埋葬に関する事務や賃貸借契約の解約、光熱費の支払いなど)をする人をあらかじめ定めておかなければ、死後、大家さんや遠い親戚など、周りの人に迷惑をかける恐れがあります。

・死後事務委任契約

本人が第三者に、死後の事務手続きを委任する契約です。弁護士などの専門家やNPO法人など多くの事業者がサービスを提供しており、金融機関でも、三井住友信託銀行が「おひとりさま信託」という商品名で提供しています。

契約前に、事業者の経営状況やサービス内容を十分にチェックし、預託金が必要な場合は事業者が倒産した場合の取り扱いなども確認しましょう。

・遺言の執行

全く身寄りがない場合は死後、財産は国庫に入ります。もし親がいる場合は親が、親はいないけれどきょうだいがいる場合はきょうだいが財産を相続します(きょうだいがいない場合は、甥姪)。それを避けたい場合は、遺言書を作成することで、友人やお世話になった方に財産を残すことができます。

ただし、せっかく遺言書を作成しても、相続発生後、誰にも遺言書を見つけてもらえなかった、執行してもらえなかった、となってしまっては絵にかいた餅になりかねません。あらかじめ財産をあげたい相手や、弁護士などに遺言執行者になることの承諾を得て遺言書に記載するとともに、遺言書を保管してもらったり、万一のときに遺言執行者に連絡が行くように周りの人に伝えるなどの対策をとりましょう。

これまで紹介した制度は、いずれも、まだ判断能力が十分あるうちに、余裕をもって検討する必要があります。仕事をしている人は定年をめどに準備を始めるといいでしょう。

また、「財産管理等の委任契約書」、「任意後見契約書」、「死後事務委任契約書」、「遺言書」などはいずれも公証役場で作成できるので、同じタイミングで作ると効率的です。

シニア世代のおひとりさまの多くは終活の必要性を感じながらも、どこから手を付けたらいいのか、誰に相談すればいいのか分からないのが現実ではないでしょうか。

今後、利用が増えることが予想されるテーマであり、提供サービスも進化していますから、情報はこまめにアップデートをしていきたいものですね。

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