【実践記】遺族年金、国民年金部分は要件が厳しい!

 還暦を迎え、今年2月から亡妻の遺族厚生年金を受給しています。

 公的年金制度の遺族年金は、「国民年金からの遺族基礎年金」と「厚生年金からの遺族厚生年金」の二つがあります。

 このうち、「厚生年金からの遺族厚生年金」は、ある程度収入のある私のような者でさえ、60歳から公的年金が支給されるまでの間(私の場合は特別支給の厚生年金が支給される64歳まで)、亡妻の報酬比例部分の年金額の4分の3に相当する額が支給されます。

 「報酬比例部分」は、厚生年金保険加入期間中の報酬及び加入期間に基づいて計算される部分です。

 下は、私の遺族厚生年金の支給額変更通知書です。年金額は下3桁を残して消してあります、決して「159円」ではありまませんよ!

 この表の報酬比例部分額(A)1の金額の4分の3に相当する金額が、合計年金額(年額)となっています。

私の遺族厚生年金の支給額変更通知書

 通知書上部に「「R3.2.19」振込口座 県庁内へ変更届投函」とありますが、妻が亡くなり手続きした時点で記載した年金振込口座では不都合が生じるようになったため、振込口座を変更する変更届を年金事務所に提出したことを示しています。投函した2月19日は私と亡妻の結婚記念日です!

 一方、「国民年金からの遺族基礎年金」の遺族の範囲は、「子のある配偶者(妻または夫)」または「子」となり、「子のいない妻」や「子のいない夫」には支給されません。(※子は「18歳の年度末までの子」、または「20歳未満で国民年金の障害等級の1級もしくは2級に該当する子」です。死亡当時結婚している子は該当しません。)

 ザックリ言ってしまいますと、多くの場合、子供が高校生以下のケースでしか支給されませんので、遺族国民年金の支給要件は、遺族厚生年金の支給要件に比べてかなり厳しいといえます。

 遺族厚生年金の場合は、妻の場合は年齢要件、子の有無を問いません。夫については死亡当時55歳以上という年齢制限がある上に、60歳までの間は支給停止となります。

 歴史的な背景があるのでしょうが、夫に比べて、かなり妻の支給要件が有利に制度設計されています

 妻が亡くなった時、私は55歳8ヵ月でしたので、支給要件に該当し、60歳までは支給停止だったものの、還暦を迎えた時点で支給されるようになりました。(支給額変更通知書の日付をみますと、誕生月から2~3月後の日付になっています。これは、誕生月の翌月から年金支給のカウントが始まり、実際には偶数月15日の支給日となるためまでの誤差の月数と考えられます。)

 私の遺族国民年金は、子が成人して結婚しておりますので、支給要件に該当しませんでした。こうした場合は、国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間が3年以上あれば死亡一時金が支給されます。

 死亡一時金の額は、保険料納付済期間に応じた金額となります。亡妻の場合は、以下の支給決定通知書のように、保険料納付済期間が3年以上15年未満だったので支給額は12万円でした。

国民年金死亡一時金の支給決定通知

 なお、私は夫なので「寡婦年金」の給付対象にはなりませんが、妻である場合は「寡婦年金」という独自の給付制度の支給対象になる場合がありますので、その場合は、「死亡一時金」か「寡婦年金」のどちらかを選択することになります。

 死亡一時金を年金事務所に請求できる権利は2年で消滅しますので注意してください。

 亡妻が実際に支払っていた国民年金保険料(独身の頃は国民年金加入者で、結婚後もしばらくは「国民年金の第3号被保険者」の制度が確立されておらず、独自に国民年金保険料を支払っていましたので、支払った国民年金保険料の総額は「死亡一時金」の金額よりもはるかに大きな納付金額になっていました。

 年金制度は、長生きリスクに対応する公的(保険)制度ですので、「保険料納付総額」と「年金支給総額」を比べること自体はナンセンスかもしれませんが、やはり比べてしまいますね!

 年金制度は、時代の変遷とともに徐々に変化してきていますので、しっかりと新しい知識を身につけて、その都度、適切な選択をしていきたいものです。

 

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